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「Xperia 1 II」のPhotography Proの仕組みに迫る

 まもなく登場するソニーモバイルの5Gスマートフォン「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」の特徴のひとつは、デジタル一眼レフ「αシリーズ」のノウハウを活用したカメラ機能だ。

 発売後には、αシリーズの力を反映した撮影機能「Photography Pro」がソフト更新で使えるようになる予定だ。

Xperia 1 IIに搭載される3つのカメラ

 Xperia 1 IIには、16mm、24mm、そして70mmという3つのカメラが用意される。さらにオートフォーカスやボケ効果で活躍する3D iToFセンサーも搭載する。

カメラスペック
16mm(広角)F2.2、12MP、Dual-PD AF
70mmF2.4、12MP、OIS、PDAF
24mm(標準)F1.7、12MP、OIS、Dual-PD AF

 3つのカメラは、風景に適した広角な16mm、万能な標準の24mm、ポートレート向きな70mmという位置づけ。デジタルズームでは200mm相当の撮影ができる。

 レンズはドイツの光学機器メーカーであるカール・ツァイスの「ZEISS T*(ツァイス ティースター)コーティング」が採用されており、ゴーストやフレアを最小限に抑えている。こうしたあたりも、これまでのソニーのイメージングプロダクト(カメラ)で培ってきたノウハウが採用されたことになるという。

1インチに迫るセンサー

 1/1.7インチ、12MP、1.8μm、デュアルPDというスペックのCMOSセンサー「Exmor(エクスモア) RS for mobile」、画像処理エンジン「Bionz(ビオンズ) for mobile」で、暗がりでのスピーディなオートフォーカスを実現し、先代のXperia 1と比べ、約1.5倍の高感度撮影が可能になった。

 デュアルPDセンサーにおける1.8μmというピクセルピッチは、他の高画素タイプで用いられる0.8μmよりも約2.2倍大きい。

 読み出し速度も、高画素タイプと比べて約3倍速い。

 こうしたハードウェアをフルに活用するのが「Photography Pro」だ。

ソニーのカメラ製品の系譜

 Photography Proは、アスペクト比21:9という細長い形状のディスプレイを横長に構えて使う。

 ディスプレイの右側にはデジタルカメラの各種設定メニュー、左側にはファインダーが表示される。

 そして本体側面のカメラキーでシャッターを切る。まるで「Xperia 1 II」が薄くスクエアなデジタルカメラに変身する格好だ。

 ソニーモバイルでは、今回のXperia 1 IIについて、ソニーのカメラ製品群のファミリーの一角と紹介する。プロユースのカメラを頂点とし、もっともすそ野が広いところに向けた製品がXperia 1 IIになる。

Photography Proの操作画面と概要

 Photography Proでは、本格的なカメラと同じく「撮影モード」「フォーカスモード」「色・露出」などを切り替えられる。

操作画面
機能

 撮影モードではオートのほか、シャッタースピード優先、マニュアル露出を選べるし、フォーカスはコンティニュアス、マニュアル、顔認識&瞳AFのON/OFFなどを切り替えられる。

 将来的なソフトウェアアップデートでもRAW撮影をサポートする。たとえば、Photography Proの目玉機能である秒間20コマ撮影も、画面右の設定のドライブモードを変更して選ぶ。

半押しできるカメラキー

 側面(Photography Pro利用時は右上)にあるカメラキーは、半押ししてAF(オートフォーカス)をロックした状態にできる。AF-Cモードであれば、捉えた被写体へのピントを維持して追従してくれる。

 ソニーモバイルでは、ハードウェアのカメラキーがあるからこそ、寒い環境で手袋をつけていたり、水回りでディスプレイが濡れていたりしても撮影できる、とカメラキーの利点をアピールする。

 このカメラキーは、通常のカメラアプリでも利用できる。

20コマ追従連写

 Photography Proの目玉機能のひとつは「秒間20コマ」の高速連写だ。このとき、AF/AE(自動焦点、自動露出)はもちろん効果を発揮し、被写体を追尾する。

 連写の際、カメラキーの半押しと同時に、秒間で最大60回の演算を実施。

 これにより、どの瞬間でも高速なフォーカス追従を実現した。

 高速・高精度なオートフォーカスがもし実現せず、ブレだらけの写真になれば、それは写真としての用をなさない。

 高速連写の肝となる高速・高精度なオートフォーカスを支える要素のひとつは、測距点がフレーム内の約70%を占め、247点に及ぶスペックになっているということ。

 さらに3D iToF(indirect Time of Flight、間接ToF)センサーも高速・高精度なオートフォーカスに欠かせない。

 被写体までの距離を計測する3D iToFセンサーは、「Xperia XZ」の時代は中央1点のみ測っていた。しかし今回は4万3200点で、撮影領域をすべてカバーできるようになった。

 測距した結果得られた深度マップと、被写体を認識するAI技術により、主要な被写体にあわせて最適な露出になるよう調整する。

 以前は中央に被写体がなければ正確な調整が難しかったが、今回はAIと3D iToFセンサーとの組み合わせで、画面の端にある被写体にもピッタリフォーカスが合う。AF-Sモードであれば、ピントを合わせたい対象をタップするだけで選べる。

 このほか、人に加えて、新たに動物の瞳を認識し、リアルタイムにオートフォーカスできるようになった。

プロからの意見も

 開発にあたっては、αシリーズを使うプロのフォトグラファーの意見を吸い上げいった。

 今回、作例そのものは入手できていないが、資料上で紹介されたプロによる写真もあわせて掲載したい。

 その構図や決定的瞬間、切り取った空気など、スマホとは思えない写真ばかりだが、いずれもXperia 1 IIで生み出されたと考えると、Photography Proを使いこなしたい人も少なからずいるだろう。外出は難しい昨今だが、発売後、本誌でも別途ご紹介する機会を探りたい。