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急斜面を下るスキーヤーをドローンで追跡、KDDIが長野オリンピック開催の地で新たなスポーツ観戦を提供
2020年1月15日 18:15
KDDIは、長野県白馬村で1月18日~1月25日の期間で開催される「Freeride World Tour 2020」に協賛、ドローンを用いる新たなスポーツ観戦体験の場を提供する。
FWTは、スキー競技のひとつで一般的なゲレンデではなく、急斜面など過酷な場所をステージに繰り広げられる競技。今回は長野県白馬村にある八方尾根スキー場が開催地となった。このスキー場は1998年の長野オリンピックの舞台ともなった場所でスポーツゲームとの縁も深い。
雪山を下る選手をドローンで空撮
今回、KDDIが用意する施策は、ドローンとGPSを活用した俯瞰視点映像での観戦体験だ。FWT選手は、京セラ製のAndroidスマートフォン「TORQUE G04」を所持し、GPSを有効にした状態で滑走する。上空を飛行するドローンはカメラが搭載されており、選手が持つTORQUEからのGPS信号をもとに自動で追跡し、飛行する。
さらにTORQUEから送られる情報にもとづいて、選手の速度、高度、位置に加えて滑走軌跡を取得。これらのデータを組み合わせて大型モニターに投影し、選手のパフォーマンスやレースをより分かりやすく表示する。
エリア化にあたっては可搬型基地局を設置、競技エリアを4G LTE化した。ドローンはDJI製で、Red Dot Droneが開発したアプリでドローンとTORQUEが連携。自動飛行で飛ぶことができ、パイロットが手動が良いと判断した場合はマニュアルに切り替えられる。
KDDI アグリゲーション推進部長の繁田光平氏によると、現状のLTE回線ではドローンからのデータをクラウドに上げて処理する段階でのレイテンシーが生じているという。しかし、今後5Gで同じ取り組みを行うとしたら、4K伝送などさらにリッチな体験が可能になるだろうとした。
自然とテクノロジーを融合したい
白馬村観光局 事務局長 福島洋次郎氏は、白馬村が持つ雄大な自然とテクノロジー。これらは対局に位置していると言ってもいいが、テクノロジーを使って自然をさらにアピールできないか考え、2018年のKDDIとの包括連携協定の締結に至ったことを紹介。
「テクノロジーサイドから白馬を楽しんでもらう」という観点から、情報アプリ「HAKUBA VALLEY」のリリースや村内で被害をもたらしていた鳥獣監視用のカメラなどを導入。また、「白馬の自然はまず、白馬に住む人から楽しんでもらいたい」という考えから、いわゆる働き方改革をテクノロジーの面からKDDIから支援してもらうという。
福島氏は「連携はまだ始まったばかり。今後もさまざまな取り組みをKDDIと展開。白馬村に来たことがある人も、まだ来たことがない人にも行きたいと思ってもらえる村にしたい」とコメントした。
他地域にも横展開、今後はフリーシーズンで訪れてもらう施策も
KDDIと白馬村は、2018年に地域活性化について包括的協定を締結。今回の取り組みはその協定の活動しての一環だ。同村ではこれまでも、情報アプリ「HAKUBA VALLEY」のリリースや無人除雪車の実験などの取り組みが行われてきた。
FWTが抱える課題は主に、パフォーマンスの凄さを伝えられていない、見に来られないファンに伝えられていないという点にある。KDDIにとって、あえて都市部ではない地域で取り組みを行うことがひとつのチャレンジでもある。
繁田氏は、これまでの過去の白馬村での取り組みを含めて、新たな地域への横展開も含めて今後の白馬村の発展にも非常に期待しているという。「白馬村はウィンターシーズンにおいて大きな成功を収めている人々。彼らが抱える課題をクリアできれば、他自治体にとっても非常に良い成功例になるだろう」と見解を語る。
ほかの自治体とも一緒に取り組みをできるならば、インバウンドビジネスやウィンターシーズンの課題について共通の悩みを抱える自治体に5Gとともに広げられるだろうと語った。
繁田氏は実際に、ほかの自治体からも声がかかっているという。現在はまだ、何ができるかというところを検討している段階のため、現段階では白馬村に集中しているというが、繁田氏は今後の横展開について大きな熱意を示した。