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ファーウェイのリャン・ファー会長が来日、日本経済への貢献をアピール

 ファーウェイは11月21日、同社の最新の状況に関する記者説明会を開催した。梁華(リャン・ファー)代表取締役会長が来日し、米国の制裁による影響や日本経済への貢献などについて語った。

2018年の日本への経済効果は7660億円、4年で6倍に

 オックスフォード・エコノミクスの調査によれば、2018年の1年間に、日本のGDPに対してファーウェイがもたらした経済効果は7660億円。2014年と比較しておよそ6倍となった。

 内訳としては、日本市場における製品販売などによる直接的効果が200億円、日本企業からの部品調達などによる間接的効果が5210億円。サプライチェーンによる間接的なものを含めて4万6400人の雇用を生み、賃金支払いを通じた誘発的効果が2250億円とされる。

 これらに含まれない形での日本市場への貢献として、日本国内での研究開発への投資、ICTスキル向上のための活動などを挙げる。また、CSR活動の一環として、自然災害に対する通信インフラの強靭化などに取り組む。

製品販売と部品調達の両面で日本を重視

 リャン会長は「日本は非常に重要なマーケットだ」とした上で、販売はもちろん、サプライチェーンにおいても日本に多くのパートナー企業があることを明かした。

 特に、マテリアルや化学の分野で日本には優れた技術を持った企業があるとして、通信やソフトウェアの技術を持つファーウェイとは、同社の製品を作り上げるうえで相互補完の関係にあると語った。2019年1月~9月の日本企業からの部品調達は7800億円に達し、2018年の年間の調達金額を上回っている。

 ファーウェイ・ジャパンのリン・ショウ氏によれば、既存の部品を買い付ける、あるいは部品メーカーに発注するといった単純な売り買いだけではなく、中にはICT機器とは無縁だった企業の技術に目を付けて採用した例もあるという。その例として、ある日本企業の医療用接着剤の導電性に着目してパートナーシップを結び、今後は1000万台規模の機器の基板に採用するという、新たな可能性を引き出した事例が紹介された。

制裁解除への展望は

 米国の制裁などによる影響について、リャン会長は「2019年は大きな外部圧力を受けたが、グローバルでの業績は引き続き成長してきた」と説明。5Gの展開、そしてあらゆる物がインターネットに接続されデジタル化が加速する時代に向けて、チップセットやネットワーク機器などの分野では重要技術を持つ企業同士の連携が必要になり、「封鎖・分割された社会に向かうことはない、鎖国は実現しない」と、状況はいずれ好転するとの見解を示した。

 また、米国が懸念するサイバーセキュリティーの問題については、「(政治的立場ではなく)技術的視点をもって解決に向かってほしい」とコメント。明確な基準のもとで検証を課すことを要望し、政府機関への交渉を行っていくとした。