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全面ディスプレイや1億画素カメラのスマホを送り出す、世界4位のスマホメーカー「Xiaomi」の最新動向

 中国の大手スマートフォンメーカー、Xiaomi(シャオミ、小米科技)といえば、9月には全面ディスプレイのコンセプトスマートフォン「Mi MIX Alpha」、11月には量産機としては初の1億画素カメラを搭載したスマートフォン「Mi CC9 Pro」を発表し話題になった。

Mi CC9 Pro

 シャオミは日本市場にはまだ参入していないが、同社系列のZMIのモバイルバッテリーや、ゲーミングスマートフォンに特化したメーカーであるBlack Sharkの「Black Shark 2」が発売されている。

 そして2019年秋、いよいよシャオミ自身が日本市場に参入するのではないかという報道があり、中国のSNS「Weibo」で同社幹部もこれを認めた(※関連記事)。

スティーブン・ワン氏とジユアン・ザン氏

 今後の動向に注目が集まるなか、本誌では、同社のグローバル部門で東アジア地域のゼネラルマネージャーを務めるスティーブン・ワン(Steven Wang)氏、マーケティング部門の副マネージャーを務めるジユアン・ザン(Zhiyuan Zang)氏から、同社の事業展開や最新端末について聞く機会を得た。日本市場での展開については現時点では明らかにされていないが、世界4位のスマホメーカー、シャオミの最新動向をお伝えする。

9年で世界4位のスマホメーカーに成長、価格にも自信

 シャオミは設立から9周年の比較的新しいメーカーだが、2017年には売上高が150億ドルを突破。同様の規模に成長するまで、グーグルは9年、フェイスブックは12年、アリババやテンセントは17年かかっており、7年で到達というシャオミの急成長ぶりがうかがえる。

 2019年時点では、IDCの調査によるとスマートフォン市場では世界第4位のシェアを誇る。サムスン、ファーウェイ、アップルに次ぐ順位で、出荷台数では3位のアップルに迫る。シャオミのスマートフォンは80のマーケットに進出、そのうち42の国・地域ではトップ5に入るシェアを獲得している。

 「MIUI」というAndroidベースのファームウェアの開発に始まり、ハードウェアも手がけるようになったシャオミ。2019年現在のビジネスモデルとしては、ハードウェアの開発・製造、ECサイトなどでの販売、Mi Cloudなどのインターネットサービスという3つの軸を持つ。

スマートホーム製品の操作用アプリ。Mi Ecosystemで製品化された多くのIoT家電を操作できる

 ハードウェアに注目すると、シャオミが取り扱う製品はスマートフォンやタブレット、スマートウォッチといったスマートデバイスばかりではなく、白物家電や雑貨に至るまで、テック系企業の域を超えた幅広いラインアップとなっている。

 この影には「Mi Ecosystem」という仕組みがあり、パートナー企業への出資と製品開発のサポートを行い、厳格な品質基準を満たした上でシャオミのブランドで販売する。シャオミにとっては商品群の拡大、パートナー企業にとっても急速な発展に繋がる仕組みだ。

 製品開発の基本理念は、リーズナブルな価格で品質の良い物を提供すること。ハードウェアに関しては利益率を5%以下に抑えているといい、ワン氏は「高かった物を安く、多くのお客様にハイテクの楽しさを」と価格競争力に自信を見せた。

全面ディスプレイ+1億画素カメラの「Mi MIX Alpha」

 ザン氏は、2019年に発表されて話題を呼んだ2機種のスマートフォンを取り出し、紹介した。「Mi MIX Alpha」と「Mi CC9 Pro」だ。

Mi MIX Alpha

 Mi MIX Alphaの最大の特徴は、前面、側面、背面と、端末全体をほぼ一周するように繋がった「サラウンドディスプレイ」。ほぼ全面が画面であることを活かした情報表示、物理ボタンの代わり圧力センサーを使った操作など、従来のスマートフォンとは一味違ったユーザー体験ができる。

 Mi MIX Alphaは将来的な同社のスマートフォンの方向性を示すコンセプトモデルのような扱いだが、中国では1万9999元(約31万円)という価格で少数ながら市販される予定。

 開発中のため撮影不可ではあったものの、短時間ながらMi MIX Alphaの実機に触れた印象としては、ハードウェアはほぼ完成しており、特殊な端末にあわせたソフトウェアを作り込んでいく最中の様子。ザン氏は「テスト用の物はできているが、実際の生産にはまだ時間がかかる」としており、2019年時点の製造技術で実現可能ではあるが、ディスプレイの製造や端末の組み上げなど、難易度はやはり高いようだ。

 全面を覆うディスプレイに目が行きがちだが、Mi MIX Alphaには1億画素のカメラが搭載されていることも大きな特徴。既存のスマートフォン向けイメージセンサーにはこのような物はなく、専用のセンサーをサムスンと共同で開発した。レンズや周辺部品も含めると、カメラユニットは2年がかりの開発となった。

量産モデルにも1億画素、「Mi Note 10」

 コンセプトモデルのような特殊な立ち位置だった「Mi MIX Alpha」で披露した技術のうち、“1億画素カメラ”を量産モデルに持ち込んだ最初の機種が「Mi CC9 Pro」だ。なお、CC9 Proは中国国内向けの名称で、グローバルモデルは「Mi Note 10」という名称で展開される。

Mi Note 10

 Mi Note 10は超広角、広角、望遠、超望遠、マクロの5眼カメラを搭載。このうち、広角レンズのメインカメラにMi MIX Alphaと同等の1億画素センサーが採用されている。通常モデルとレンズ構成が一部異なる上位版は、カメラ性能を評価している「DXOMARK」のランキングで首位を獲得した。

 カメラ性能に注力した機種である一方、5260mAhの大容量バッテリー、その搭載スペースを捻出するために採用された最薄クラスの画面内指紋センサー、さまざまな独自機能を盛り込んだ独自UI「MIUI 10」などの見どころもある。

日本市場への参入は?

 繰り返しになるが、日本市場への進出や投入予定機種については計画中との回答に留まった。その上で、日本のスマートフォン市場をどう見ているかをワン氏に尋ねると「日本市場は規模が大きく、製品に詳しいお客様も多いと感じるので良い製品を出していきたい」とコメント。また、10月の法改正による市場変化や2020年春の5G商用サービス開始も良いチャンスと捉えているようだ。