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3キャリアの代表が示す楽天「スモールスタート」への見解

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの主要キャリア3社が2020年3月期第2四半期決算を発表した。その中では、10月に「無料サポータープログラム」の名でスモールスタートを切った楽天に対する各社のスタンスを現したコメントが見られた。

ドコモ

 NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、楽天がMNOとしてサービスを開始しつつもMVNOを継続していることに対して「周波数という資源を与えられて、自分たちで(事業を)やるということなら、その周波数を有効に使ってネットワークを構築し、ユーザーを収容するべき」とした。

 加えて「ネットワーク効率化などの努力をせずにずっとMVNOを続けるのは如何なものか。MNOとしてサービスをやるからにはある時期には終了すべきだと思う」と語り、今後楽天のMVNOについてどうするかを話し合いたいとコメント。

NTTドコモ 吉澤和弘氏

 また、他キャリアに子会社化されているMVNOがドコモの回線を利用し続けている現状があることも含めて、こうした状態がどうあるべきかという議論を総務省にも投げかけていきたいと今後の見通しを示した。

KDDI

 KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏は「前から申し上げていたが、仮想化ネットワークと実際のネットワークを構築することは別問題。基地局整備はそう簡単ではない」と指摘、さらに「10月1日までに基地局が揃うとは思っていなかった。(スモールスタートの形になったのは)まあ、そうだろうなあという感じ」と見解を示した。

KDDI 高橋誠氏

 加えて、「基地局はこれから、2000、3000と増えるだろう。楽天もかなりの態勢をとって臨んでいる。気を引き締めてこちらも態勢を作っていく」とも。

ソフトバンク

 ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員兼CEOの宮内謙氏は「(スモールスタートになることは)技術の連中は全員知っていた」とコメント。楽天の完全仮想化ネットワークは、モバイルネットワーク網の構築には欠かせない基地局建設、用地確保などの壁があり、費用的、時間的なコストが最もかかる部分だとソフトバンクの参入当時を振り返った。

ソフトバンク 宮内謙氏

 バックホール回線の確保への苦労や、ボーダフォン買収時点では1万5000局程度の基地局しかなく、「7~8年はつながらない」と言われていたことも明かす。「技術者からはそう簡単にできるものではない」と思われているのではないかと語った。