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物流業界とコネクティビティ、そして5Gの可能性――UDトラックスのセミナーにドコモの中村5G推進室長が登壇

 UDトラックスは7月11日、NTTドコモ本社にて「コネクティビティが変革する物流の未来」と題したセミナーを開催した。同セミナーには、NTTドコモの5Gイノベーション推進室長を務める中村武宏氏も登壇した。

「社会の血流」である物流業界が直面する課題

UDトラックス プロセス&ソリューション部 統括責任者 サティシュ・ラジュクマール氏

 UDトラックス プロセス&ソリューション部 統括責任者のサティシュ・ラジュクマール氏は、「物流は社会の血流。持続可能な社会には欠かせないもの」と語り、その一方で物流業界が多くの課題に直面している現状に触れた。

 渋滞などの交通環境の悪化はコスト増につながり、環境問題が重視されれば規制の強化につながる。高齢化などによるドライバー不足、ネット通販の拡大による輸送ニーズの変化など、厳しい状況に置かれている。

 UDトラックスが属するボルボグループは既にコネクテッドカーのための技術を持っており、そのノウハウや成功事例を日本の物流業界に活かしていくとした。

 同社コネクテッドソリューション部 ビジネスアナリストの森弘一氏によれば、UDトラックスは2006年に最初のテレマティクスサービス搭載車両を発売。2019年までに約6万台の「つながる」トラックを送り出している。現在生産している車両はすべて、コネクテッドサービスに対応したものだ。

 UDトラックスのコネクテッドサービスは、「稼働率」「品質」「生産性」「安全性」の向上を目的としている。たとえば、故障個所だけでなく「故障につながりそう」な情報も収集する遠隔診断と予防整備をセットで行うことで稼働率を向上させる。

 これらのサービスを通じて、直接の顧客である運送会社のビジネスを助け、ひいてはその先にいる消費者の暮らしをより安心・安全なものに変えていく。

多くの業界から期待される「5G」

NTTドコモ 執行役員 5Gイノベーション推進室 室長 中村武宏氏

 ドコモの中村氏は、5Gサービス開始に向けた現状を説明。5Gでどのようなことを実現できるのか、さまざまなユースケースを早い段階で見せていきたいと意欲を見せた。

 パートナー企業とともに5Gを活用したビジネスの可能性を探る「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」に参加した企業・団体は6月末の時点で約2800、そのうち運輸・交通関係は5%ほどを占めている。物流業界を含めて多くの業界が5Gに関心を持っていること、そして通信業界としてもコネクテッドカーは重要視されるユースケースの1つだと語った。

 また、MaaS(Mobility as a Service)に関するドコモの取り組みも紹介。従来はタクシードライバーの経験と勘に頼っていた集客を、人流データとAIによって効率化する「AIタクシー」や、移動需要にあわせてルートを最適化する「AI運行バス」といった構想を取り上げ、物流業界においても通信事業者ならではのノウハウやAI基盤などのアセットを活かして貢献できるだろうと可能性を示した。