ニュース
センサー内蔵IoTボールを用いた投球分析サービス、アクロディアとKDDI
2019年7月1日 20:59
アクロディアとKDDIは、センサー内蔵型ボールなどのIoTデバイスから取得したデータを活用し、選手の技術向上に役立てることができる、スポーツIoTプラットフォーム「athleːtech(アスリーテック)」の提供、および「アスリーテック」上に蓄積されるデータを活用したスポーツテックサービスを7月9日より提供する。
スポーツ市場は拡大傾向
スポーツ市場は拡大傾向にあり、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、市場規模は2025年までに15.2兆円まで拡大するとみられている。
アクロディア代表取締役社長の堤純也氏は、スポーツ産業の拡大に合わせて、スポーツとIoT技術の融合により、スポーツ産業のさらなる拡大・発展への貢献をテーマに「アスリーテック」を立ち上げたと語る。
「アスリーテック」で指導が変わる
「アスリーテック」は、アクロディアが提供するセンサー内蔵型ボールを使い、競技者が普段通りの投球や競技を行うだけで投球データが蓄積され、そのデータをスマートフォンやパソコンなどで閲覧しながらオンラインによるコーチングやコンディション管理などに活用できるプラットフォーム。KDDIはコンシューマ向けサービスにおけるマーケティングや運営のノウハウと通信ネットワーク技術を融合し、スポーツの分野を問わず、蓄積した競技データから技術向上に貢献する。
これまで部活など、アマチュアスポーツの現場における選手育成では「“ノビ”のあるボール」「“キレ”があるボール」「“重い”ボール」といった精神論、経験論が主要な判断軸となる指導が主流である。
KDDIの繋田光平氏は、「アスリーテック」を利用することで、特別な設備やトレーナーがない環境でも、球速、回転数、回転軸などの具体的な数値によるデータを軸にした練習、育成を行うことが期待でき、ボールを投げるだけで日々蓄積される投球データから、選手ごとのケガ検知・予防にも活用できるようになると語る。
まずは硬式向けに、軟式向けも提供予定
「アスリーテック」に対応するIoTデバイスの第1弾として、アクロディアが2017年より野球競技の選手やチーム向けに、9軸センサーを内蔵した硬式野球ボール「TECHNICAL PITCH」(関連記事)を販売している。同製品の利用者向けに、「アスリーテック」を通じた「ランキング機能」を提供する。
「アスリーテック」は、「TECHNICAL PITCH」を購入することで無料で利用できる。「TECHNICAL PITCH」は2万7500円(税抜)で、一般ユーザーも購入できる。「アスリーテック」への加入は「TECHNICAL PITCH」アプリから行う。
ランキング機能により、自分の技術の立ち位置や上位者のランキングデータと比較できるようになり、今後の目標が可視化されるようになる。日々のランキングを振り返ることで、自身やチームの成長の軌跡も確認できるようになるという。撮影した動画と投球結果を同期させた高度な計測もすでに開発済みで、今後提供される見通し。
野球以外の競技向けデバイスも開発中
「アスリーテック」は、まずはじめに国内で競技人口の多い野球向けにサービスを提供開始する。野球以外についても、ゴルフ、クリケット、サッカー、バレーボールなど、さまざまな競技に対応したIoTデバイスの開発による対応競技の拡充や、スマートウォッチなどのデバイスとの連携によるデータ管理を実装し、アスリーテックを通じたサービスの拡充を行うことを目指している。
すでに販売されている硬式球のほか、軟式球タイプは内外ゴムと協力のもと2019年秋に発売予定としている。ゴルフボールタイプは住友ゴム、ダンロップと共同開発中。クリケット向けボールはボール自体の開発は完了しているものの、野球と異なる動作をアプリケーションで認識させる課題が残っているという。
今後の展望として、2020年にサービス開始予定の5Gの活用も視野に、野球向けサービスからスポーツ向けのIoTプラットフォームへの展開を目標としている。動画コンテンツの活用や、オンラインによるコーチング、練習メニューのノウハウ共有などアスリートの技術向上に役立つ情報や、AIによる健康管理、ケガの予兆の検知など、練習だけでなくアスリートを全般的にサポートする情報の提供を目指す。
KDDIはこれまでもスポーツのAR観戦やnrealとのパートナーシップ契約、自由視点映像のリアルタイム配信など、xRや自由視点映像を用いた観戦体験のアップデートに取り組んでおり、今後も継続して5GやIoTをはじめとする先端技術を活用した新しい体験価値を創造していくと意気込んだ。