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auのネットワーク、AIで最適化する新手法を導入へ

 KDDIとエリクソン・ジャパンは、AIを活用して、モバイルネットワークの最適化をはかる手法を新たに開発した。今後、全国のau基地局の運用に導入される。

 今回の取り組みは、エリクソンが提供するソリューションを用いたもの。AIが、最適な無線ネットワークのパラメーターを見つけ出し、スループットの向上を図る。

 具体的には、よく使われる周波数帯域と空いている帯域との間でバランスを取るという形になる。もし位置情報を使ったスマートフォンゲームで、とある場所に、レアなキャラクターが登場して人が急激に集まるような場合、あるいは新たな商業施設のオープンで訪れる人が一気に増える場合、そのエリアの通信品質が変化することになる。そうした状況で、基地局のパラメーターを変更して、空いている帯域へ繋げるようにして、通信速度や繋がりやすさの悪化を防ぐ。

 両社では、2019年2月から福岡県福岡市の一部でテスト導入を行ったところ、スループットが約10%向上。また100~200程度の基地局エリア(セル)において、データの収集・分析からパラメーターの算出まで、人力では約80時間かかるところ、AIでは約10分で済むことも判明した。

 テスト導入では、AIが提案するパラメーターを、最終的には人の手を介して基地局に適用してきた。本格展開時も、まずは人力での適用となるが、将来的には自動適用に切り替えることも検討していく。

 LTEではすでにSON(自己最適化ネットワーク)と呼ばれる仕組みが取り入れられており、基地局同士が協調するようになっている。KDDI広報によれば「SONは一定のルールのもとで調整する形だが、今回は、セルごとに異なる状況にあわせて、機械学習により導きだされたパラメーターが自動的に調整されるという流れ」と説明。これまでと比べ、より柔軟かつスピーディな対応が可能になるという。

 データ通信や音声通話に関わらず適用される。まずは4G LTEでの展開となるが、将来的には5Gネットワークの導入も視野に入れる。

【お詫びと訂正 2019/06/26 17:11】
 記事初出時、テストの実施時期を2019年5月としておりましたが、正しくは2019年2月です。お詫びして訂正いたします。