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「解約金1000円」では新料金プランは成り立たない、携帯3社の2年契約あり・なしでの料金を整理
2019年6月21日 17:01
改正電気通信事業法の施行に向けた省令案の中で、突如浮上した「解約金は1000円まで」という案。一見、消費者目線ではありがたいことのようにも思えるかもしれない。
しかし、そもそもMNO各社の現行の料金プランは、「期間拘束のない契約」と「2年定期契約」という選択肢が用意されており、後者は“2年縛り”の対価として相応の額を割り引く代わりに、もし契約期間の途中で解約する場合にはそれなりの解約金が発生するという構造になっている。これは、一連の“4割値下げ”の流れを受けて登場した新プランも同様だ。
つまり、一定期間は継続して利用されることを前提としてプランを設計しているのであり、極端な解約金の値下げを強いられて短期間で簡単に契約を破棄できるようになってしまえば、“2年縛り”そのものが制限されていなくてもこの前提は成り立たなくなる。
言い換えれば、土壇場で持ち上がった「解約金」騒動は、ようやく出揃った各社の分離プランそのものを根底から覆す行為とも言える。定期契約が破棄された場合の損失を解約金で補うことができなくなれば、短期間での解約も想定した料金設定にせざるを得ず、結果的に頻繁に乗り換えをするわけではない多くの一般ユーザーが割を食う形になる可能性も否定できない。
解約金の金額、そして定期契約の有無による割引額の設定に介入することが、通信料金の値下げという目的を達成する上で必要な行為なのかという点が疑問視されている。
ドコモ・au・ソフトバンクが2019年6月時点で提供している主なスマートフォン向けプランについて、定期契約あり・なしの場合それぞれの料金を以下の表にまとめた。なお、表中の金額はいずれも税別。
ドコモの料金プラン | 定期契約あり | 定期契約なし |
---|---|---|
ギガホ | 6980円 | 8480円 |
ギガライト(~7GB) | 5980円 | 7480円 |
ギガライト(~5GB) | 4980円 | 6480円 |
ギガライト(~3GB) | 3980円 | 5480円 |
ギガライト(~1GB) | 2980円 | 4480円 |
auの料金プラン | 定期契約あり | 定期契約なし |
---|---|---|
auフラットプラン20 | 6500円 | 8000円 |
auフラットプラン7プラス | 5480円 | 6980円 |
新auピタットプラン(~7GB) | 5980円 | 7480円 |
新auピタットプラン(~4GB) | 4480円 | 5980円 |
新auピタットプラン(~1GB) | 2980円 | 4480円 |
ソフトバンクの料金プラン | 定期契約あり | 定期契約なし |
---|---|---|
ウルトラギガモンスター+ | 7480円 | 1万180円 |
ミニモンスター(~5GB) | 8480円 | 1万1180円 |
ミニモンスター(~3GB) | 7480円 | 10180円 |
ミニモンスター(~2GB) | 5980円 | 8680円 |
ミニモンスター(~1GB) | 3980円 | 6680円 |
解約金は各社ともに9500円で、定期契約の有無による月額料金の差額は1500~2700円。少なくとも6カ月以上利用するならば、2年契約を選択して解約金を払っても元が取れる計算となる。果たして、一般的な利用実態を考慮した上で「6カ月以上は継続利用して欲しい」というのは行政の介入に値するほど理不尽な要求なのだろうか。