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メーカーを超えてIoT機器を連携できる、東大の技術で

 東京大学生産技術研究所の研究成果である、異なるメーカーのIoT製品やサービスを相互接続し、連携ができるようになる技術を社会実装するため、産学連携による新会社、IoT-EXが設立された。IoT相互接続サービス「IoT Exchange」として法人向けに提供される。

サービス概要図

 IoT Exchangeは、各社独自のIoT製品やサービスの連携を可能にしたクラウド上の相互連携サービス。東京大学生産技術研究所と民間企業が2015年から研究してきたもので、Web APIベースの技術となっている。

 各社の連携を図るため、仲介役となる「IoT HUB」が用意されている。そのなかに、各社のクラウドサービスとIoT HUBをつなげる役となる“ドライバー”を用意することで、他社サービスとの連携が可能になる。IoT HUBは閉域網となっており、外部からの盗聴などといったリスクはないという。

 同技術を利用することで、各社が他社と接続するための時間や労力を削減でき、より簡単に他社サービスと連携ができる。

サービスの例

 たとえば緊急地震速報を受信したら、Aメーカーのガスコンロに消化信号を送り、Bメーカーの玄関ドアの鍵を開錠するといった、メーカーや業界の垣根を超えた機器連携が可能となる。

試作されたドライバー

 実証研究用にすでに試作されたドライバーも用意されている。Google Homeに通知し、メッセージを送信する機能、シャープ製のロボホンにしゃべらせたり、踊らせたりできる機能、フィリップス製のHueを操作する機能などがある。

 また、IoT HUB内に仮想IoTデバイスを構築することも可能。これにより、IoTデバイスがなくとも事前にサービスの動作を確認できる。

相互接続サービスだけではなく、IoTビジネスの支援事業も

 IoT-EX社の事業は、各社のIoTデバイスのクラウド同士などを相互接続する電気通信事業者としての電気通信サービスと、IoTビジネスのコンサルティングなどを行う支援事業の2つ。

 支援事業は今後提供予定で、まずは相互接続サービスから提供していくという。

 一方、相互接続サービスは、電気通信事業者としての事業のため、通信の秘密を守りデータの利活用を目的としたデータの保存はしないという。

今後予定されているIoT接続支援事業
設立された会社情報

 サービスの利用料金は、法人が接続するサービスの規模にもよるが、従量制で月々5万~100万円を想定しているという。

IoT Exchangeは“共有の場”、企業からも出資を募る

IoT-EX 代表取締役社長の小畑至弘氏

 IoT-EX 代表取締役社長の小畑至弘氏は、「IoT市場の全部が標準化されている訳ではなく、すべての標準化は待ちきれない」と述べ、「まずは標準的に使えるものを作ったが、標準化を無視しているわけではなく、標準化されれば、順次導入する」と説明した。

 今後の展望について同氏は、「このようなIoT Exchange(共有)の場は、みなさんがつなぎたいと思う場である必要がある。意見の強い会社が支配するのでなく、(サービスを利用する企業からも)共同出資をしてもらいコントロールをしていく必要がある」と述べ、今後は、出資を募り運営していく方針を明らかにした。

 法人向けのニーズだけではなく、スタートアップ企業や学生などに対してのサービス提供について聞かれると「まずはこの考え方を理解いただいて、使えるようなノウハウを持っている方を増やしたい」と述べたが、そのようなスタートアップ企業などに向けた枠組みは用意したいと説明した。