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「ファンとの共創」が武器、2019年のmineoの取り組み

 MVNOサービス「mineo」を展開するケイ・オプティコムは18日、記者向けの事業説明会を開催した。

 ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 上田 晃穂氏が登壇し、mineoの今後の戦略や新制度について語った。

新規ユーザーの3割が「ユーザーの紹介」、ファンの力を強調

 2019年1月時点でのmineoの契約数は113万回線。mineoはドコモ回線、au回線、ソフトバンク回線のプランを提供するマルチキャリアMVNOだが、開始当初から提供しているau回線が60万回線弱、次いでドコモ回線が50万回線強となっている。

 MVNOの普及が進むにつれて、契約者のリテラシー比率は変化しつつある。同社の独自調査によれば、サービスの選択や初期設定を自分でできるというユーザーは、2015年9月から2018年9月までの3年間で半減し、15%程度となった。一方で、これらを「人に頼る」というユーザーは倍増し、33%に達した。

 このような状況においてサービスの安心感を醸成する重要性が高まっているとした上で、上田氏はmineoのブランド評価については好感触を得ているという。

 mineoでは以前から、ユーザーコミュニティ「マイネ王」の運営やファンイベントの開催など、ファンの声を取り入れる、あるいはファン同士のつながりを持ってもらうための取り組みを継続してきた。

 こうした取り組みの成果もあり、2018年7~12月の実績では、新規に申し込むユーザーの約3割が“既存ユーザーからの紹介”だという。また、マイネ王の会員数は48万人、イベントの参加者は全38回でのべ962人となった。

 上田氏は、通信料金と端末料金の分離、楽天のMNO参入、MNOの料金値下げなどを背景に、MNO、MVNOという立場の違いを問わない体力勝負の価格競争となる可能性があることに触れ、改めてコアユーザーとなるファンの存在をmineoの強みとしてアピールした。

「共創戦略」としてアンバサダー制度を導入

 「mineo 7つの新施策」として示された2019年の同社の取り組みのうち、特にファンとの共創を重視したものが「アンバサダー制度」。

 同制度は、一般のmineoユーザーの中から参加を希望するファンを「共創アンバサダー」「サポートアンバサダー」「紹介アンバサダー」という3種類のアンバサダーとして認定し、ファンの力を活かしたサービス展開を目指すものとなっている。

 「共創アンバサダー」には、アンバサダー限定サイトを通して従来は非公開としていた事業に関する重要情報を共有する。事務局スタッフとファンの間で、新サービスやmineoの今後についてディスカッションする。

 「サポートアンバサダー」は、初心者ユーザーの悩みをベテランユーザーが解決する、マイネ王の「Q&A(王国教室)」を発展させたもの。より伝わりやすいビデオチャットでの相談ができるサービスを、アンバサダーの協力で提供する。

 「紹介アンバサダー」は、すべてのmineoユーザーがアンバサダーとして知人や友人にmineoを紹介できる仕組み。紹介した人数に応じて、1000~3000円分の電子マネーギフトがもらえる。

 アンバサダー制度のほかにも、「mineoアプリ」の改良にマイネ王会員の意見を取り入れたほか、2月23日から放映される新テレビCMには実際のmineoユーザーが出演。ユーザーのリアルな声を伝えることで、これから契約するユーザーのMVNOに対する不安を和らげたいとしている。

「お試しコース」「お渡し店」で新規ユーザーに安心を

 ファンとの共創と並ぶ大きな取り組みは「安心戦略」。先述のように、ユーザー層の変化に伴ってサービスの安心感が重視される中で、MVNOを初めて使うユーザーやスマートフォンに不慣れなユーザーが抱える、乗り換えにあたっての不安要素を払拭するための新施策を打ち出す。

 手続きや初期設定を自分で行う必要のあるWeb申し込みのほかに、既に対面での店頭申し込みができる店舗を全国に128店舗展開している。3月からは新たに、申し込みはWeb上で行うがSIMカードの受け取りや初期設定は必要に応じて店舗で行える「mineoお渡し店」というサービスを開始する。

 また、宅配で商品を受け取る場合に関しても、ユーザーの声を受けて改良が行われる。端末とSIMカードをセットで申し込む場合、4月以降はSIMカードが端末にセットされた状態で届けられる。

 契約前に通信速度などの使い心地の確認、自分の端末での動作確認などをしておきたい人に向けた「mineoプチ体験」として、2018年12月には200円/200MBの「mineoプリペイドパック」や端末もセットで試せる「mineo無料レンタル」を開始した。

 上記の2つのサービスはデータ通信のみの提供だが、音声通話も含めて試したいユーザーに向けて「お試しサービス(仮称)」を2019年夏に提供予定。