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30万回線突破の「mineo」、“仲間と創る”を明確に100万を狙う

 ケイ・オプティコムは31日、MVNOサービス「mineo」(マイネオ)の事業戦略を説明する発表会を実施した。

 発表会ではサービスを統括するケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田和佳氏が専用帯域を使用する「プレミアムコース」や「通話定額30/60」といった新サービスを発表した(※関連記事)。本稿では、津田氏から紹介されたmineoの今後の展開方針を中心にお伝えする。

ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 津田和佳氏(右)

ファンの繋がりを重視、新サービスも“仲間と創る”

 mineoのユーザーコミュニティ「マイネ王」は会員数5万4000人に達し、ファン同士の議論も活発化しているという。ファンの声を取り入れてサービスを開発・改善していくという方針も本格化させる。

 ファン発の事例として、パケット通信量を共有する「フリータンク」の活用方針をアンケートで決めたり、公式には発信しきれていなかったiOSバージョン別の動作確認方法や設定マニュアルをユーザーコミュニティが完成させたりといった動きを紹介した。

 4月の熊本地震に際してmineoは、発生翌日の4月15日に「フリータンク」の臨時開放を行っている。この決定も、ユーザーの呼びかけがきっかけだったという。

 こうしたファンとの取り組みをより強化したのが、新コミュニティ「アイデア ラボ」だ。通信サービスや端末からサポートやプロモーションまで、ファンのアイデアを募集する。それぞれのアイデアは掲示板でファンの議論を促し、サービスに取り入れていくという。

 津田氏が「どんな評価をいただくか怖いが」と言いつつ紹介した「レビュー」も5月に新設されたマイネ王のコーナー。mineoのサービスや端末について、ユーザーの評価を集約するサイトを、mineo自身で運営する。

 また、一般ユーザーも参加できる“大規模オフ会”として「mineoファンの集い」を開催すると発表した。大阪会場で7月30日、東京会場では7月31日に開催される。ゲストとして同業のインターネットイニシアティブ(IIJ)も来場予定としている。

契約数は30万件に、目標の「100万回線」に目処

 2016年6月でサービス提供から2周年を迎えるmineo。津田氏は2015年度を「さまざまな独自サービスを投入した年だった」と振り返る。特に2015年9月にauプランに加えてドコモプランの提供を開始したこと影響が大きく、2016年5月には30万件を突破した。

 また、従来30~40代の男性に偏っていたユーザー層では女性比率が増え、音声通話プランの加入者が増えるなど、“メイン端末”として利用するユーザーが増えているという。

 加入者数は現在も順調に伸びており、2016年度はさらに30万回線の新規獲得を目指す。当初から目標としていた「早期に契約数100万回線」も2017年度頃に達成する見込みという。

 また、ソフトバンクのiPhone 6s向けにSIMロック解除サービスの提供が開始されたこともあり、津田氏はiPhoneユーザーを積極的に獲得していく姿勢を示した。

新端末は秋頃に、リアル店舗の影響「想像以上にあった」

 発表会の場で津田氏は、新端末を秋頃までに投入する予定と話した。詳細については明かされなかった。

 2015年にオープンしたmineo初の直営店舗「mineoアンテナショップ グランフロント大阪店」は、津田氏いわく「反響があると思わなかった」という盛況ぶりで、1カ月に1000件を超える契約数が続いているという。

 強みとしていたオンライン販売に加えてリアル店舗展開も進めていく方針で、直営2号店を東京・渋谷にオープンする予定を明らかにした。2017年の年頭にオープン予定の渋谷店はmineoのブランドを体験できる拠点となるという。

IoTサービスを開始

 このほか、6月1日に正式サービスを開始する法人向けのIoT機器用の通信サービスや、インバウンド向けの取り組みが紹介された。

 IoT機器用サービスでは工場の製造ラインに設置されたセンサーなどの「組立製造」、自転車や監視カメラなどの「スマートシティ」、交通情報収集や運行管理システムなどの「テレマティクス」の3つの分野に注力していくという。

 3月より提供を開始しているIoT機器向けの「M2Mアクセス」プランは、既に数百件の回線が稼働している。交通分野やセキュリティ監視など、今まで大手キャリアの回線を利用していた事業者が利用を開始するケースが多いという。

 インバウンド向けには、台湾のカリスマブロガーに日本に滞在してもらい、mineoの訪日外国人向けSIMを試しながらに地域での生活を発信してもらうという取り組みを紹介した。

石井 徹