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AIによるネットと日常の見守り、トーンモバイルのiPhone向けサービス

アプリやWebを通信で制限可能に

 トーンモバイルは、iPhone向けのSIMカードサービス「TONE SIM(for iPhone)」において機械学習を利用した子ども向けの見守りサービス機能を追加した。iPhone上で利用できるアプリやサイトごとの制限、位置情報を利用した行動検知機能などが利用できる。

 すでに機能追加のアップデートは行われており、ユーザーであれば利用可能。アプリごとの利用制限機能は、モニターテストの形で提供されており、同意することで利用可能となる。モニターテストに参加すると、利用月分の月額料金が最大500円割り引かれる。

通常と異なる行動検知で、“電話着信”の形で通知

 同社は、フィルタリング機能などを備えた家族向け見守りサービス「TONE ファミリー」を提供している。見守りサービスには子どもの移動状況や歩きスマホ検知機能など、ネットだけではない日常生活においての見守り機能も実装しており、今回のアップデートで、子どもが通常とは異なる行動をした際に保護者に通知をするサービスが追加される。

緊急でないと判断された場合の通知
緊急と判断された場合の通知

 位置情報や時間といった情報を利用し、移動を検知すると保護者の見守りアプリに通知がされる。また、“学校の時間に電車に乗っている”などといった通常の行動とは異なる行動が検知されると、緊急性が高いと判断されiPhoneでは電話着信のような形で通知され、「応答」をタップするとアプリが起動する。Androidでは全画面で通知される。

アプリ制限で通信を遮断、Wi-FiやWeb版からでもアクセス不可に

 新たにアプリやWebサイトごとに通信制限ができる機能も追加された。TONE SIM(for iPhone)では、これまでiPhone上のプリインストールアプリは利用制限ができたが、追加されたアプリでは利用制限ができなかった。アップデートされた機能では、Twitter、LINE、Facebook、Instagram、YouTubeで通信制限や時間帯ごとの制限が可能となる。

保護者側の管理画面(左)でYouTubeを制限した場合
LINEを制限した場合は、右の子どもの端末にはスタンプが反映されない

 保護者は、管理のWebページなどから制限したいアプリを選択することで子どものスマートフォンに該当サービスの通信制限をかけることができる。制限された端末は、アプリを開くことはできるが、YouTubeの場合、接続ができずにタイムアウトの表示となる。LINEの場合は、アプリで制限前のトークなどを見ることはできるが、制限後のメッセージが表示されなくなる。

 同機能はモニターテストの形で機能が提供される。ブラウザから制限対象のサービスにアクセスした場合や、Wi-Fi接続でも自動的に通信が制限される。

 なお、子ども側の端末でTONE SIM アプリを削除した場合は、自動的にすべての通信が遮断されるようになっている。

詐欺電話の警告が標準の電話アプリに対応

 IP電話の「TONE電話」において提供されている、詐欺電話などを画面上で警告するする機能「あんしん電話」が標準の電話アプリに対応した。過去に詐欺電話に利用されたことのある電話番号から着信すると画面に警告が表示される。

あんしん電話

 着信した番号が登録されているデータベースと参照され、疑いのある番号の場合は警告が行われる。

ネットと日常の見守りを連携、AIが学習

 これらの機能は、同社がこれまであんしん電話向けに用意していた「TONE あんしんAI」を強化する形で提供される。ネットでのアプリやWebの制限、日常生活での位置情報などによる行動検知といった情報を個人の「あんしんGateway」に集めて相互に連携し、あんしんAIで分析され、最適化された情報が提供される。

 ネットと日常の情報が連携することで、“この場所でこのアプリが利用されている”などといった情報が取得でき、子どもの見守り情報として利用できる。

 現在は、機械学習において最初に提供される“教師データ”が導入されており、これからユーザーのデータが集まることで学習されていく。

アプリごと通信制限には、SDNやVPNなどを利用

 iPhone上でアプリやWebサイトごとに通信制限ができる機能は、ソフトウェアで設定されるネットワーク構成のSDN(Software Defined Network)、VPN、AIによるフィルター機能を組み合わせた「AIファイアウォール」によって提供される。

 MVNOの交換機と同じ層にSDNのコントローラーを置くことで、Wi-Fiなどを含んだすべての通信がSDN経由となり、制限が可能となる。

デモ端末でのVPN表示

 また、すべての通信がSDNを経由しVPN通信となることでセキュリティ対策がされていないフリーWi-Fiへの接続も通信の暗号化により安全になるという。

Wi-Fi通信で設備を経由しても遅延はなし

トーンモバイル 代表取締役社長の石田 宏樹氏

 トーンモバイル 代表取締役社長の石田 宏樹氏は、アプリごとに通信制限をかける機能について、「ガラケー時代にキャリアがネットワーク上で制限していたものと同じ」と説明した。

 Wi-Fiなどを含んだすべての通信がSDNなどの設備を経由することによる遅延などの問題については、同社の親会社であるフリービットがプロパイダー事業者であるため、ネットワークに関する設備には強みがあり、遅延は感じないと説明した。