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KDDIのバーチャルキャラクター「レナ」が飯田市に就職?
地方で育つXRコンテンツの可能性
2018年8月10日 19:16
KDDIが開発したバーチャルキャラクター「レナ」が、長野県飯田市の非常勤特別職員に就任。8月10日~11日にかけて同市内で開催されている国際会議「AVIAMA(人形劇の友・友好都市国際協会)総会」で案内役を務めている。
レナは、スマートフォン向けの音声アシスタントサービスの「おはなしアシスタント」向けに制作されたAIで会話も可能なバーチャルキャラクター。18歳の女子大学生という設定で、過去にはauショップのタブレット上で接客業務を担当するなどしてきた。
8月10日には飯田市美術博物館で飯田市非常勤特別職員辞令交付式が行われ、レナが正式に同市の職員に採用(就任は7月19日)。牧野光朗市長から辞令が手渡された。
交付式の冒頭では、KDDI プロダクト1部 マネージャーの水田修氏が、今回の取り組みについて説明を行った。同氏によれば、「キャラクターとまちの共生」が今回のテーマで、キャラクターへの造詣が深く、それを受け入れ、実行に移す力があったことから、飯田市で実施に至ったという。
メインとなるレナのARサービスはKDDI側で制作しているが、VR足湯や地元のキャラクター「ナミキちゃん」との撮影アプリなどは飯田市側で制作したという。水田氏は、こうした飯田市側から生まれたサービスは、やる気があれば自分たちで制作できることから、地方にXRが浸透していく事例として有望だと語る。
交付式の終わりでは、牧野市長が「こうしたコラボレーションをさらに推し進めていくことで、飯田市が目指すリニア時代に向けての小さな世界都市、KDDIが目指す5G/IoT/AI等のソサエティ5.0と言われている社会へのチャレンジ、こうしたことにお互いに接点を持って進めていくことができればと思う」と述べ、2027年のリニア開業に向けてさまざまなチャレンジを行っていく意向を示した。
飯田市の魅力をレナが6カ国語で説明
従来通り日本語しか話せないレナだが、国際イベントのサポート役ということで、6カ国語(日本語、英語、フランス語、スペイン語、韓国語、中国語)に翻訳された会話内容が画面内に表示されるようになっており、各国からの参加者に貸与されたiPad上で飯田市の魅力を伝えていた。
iPad上では、端末のカメラに映る映像の上にレナが登場。あたかもその場にレナがいるかのように見える。レナによれば、飯田市は人形劇や飯田丘のまちフェスティバル、水引などで有名で、人口あたりの焼肉店が日本一多いのだとか。
iPadが使用されていることからも分かる通り、ARのプラットフォームとしては、アップルのARKitを採用。KDDIでは従来、ARのプラットフォームとしてTangoを活用してきたが、今年に入ってからはARKitを使うことが多くなっている。水田氏は、今後ずっとARKitを使うというわけではなく、その場その場で最適なものを使っていくとしている。
また、会場内では飯田丘のまちフェスティバルのマスコットキャラクター「ナミキちゃん」や、いいだ人形劇フェスタのマスコットキャラクター「ぽぉ」と記念撮影が行えるサービスも提供されていた。撮影体験者には、撮影した写真がプリントアウトしてプレゼントされ、QRコードを表示して自分のスマートフォンに写真をダウンロードできるようになっていた。
さらに、会場の外では、VRゴーグル(Oculus Go)を装着して足湯に入り、ナミキちゃんの声優・高木美佑と二人で足湯に浸かっていることを疑似体験できる「VR足湯」なるイベントもあわせて実施されていた。
これらの体験サービスは、10日はAVIAMAのレセプション参加者向けに提供されたが、11日にはその一部が一般の来場者向けにも提供される。