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動物園や水族館のガイドがAIに、KDDIとパソナテックシステムズのソリューション

大手町牧場で実証実験

 KDDIとパソナテックシステムズは、丹後王国が運営する「大手町牧場」で、KDDIが開発した「キャラクターAI」の技術を活用したバーチャルキャラクターが牧場を案内するシステムの実証実験を開始した。期間は2018年12月28日までで、牧場開設時間内に実施される。実証実験は希望すれば誰でも参加することができ、料金は無料。

都会の真ん中のビルで動物が飼育されている大手町牧場
毎月、セミナーが開かれている

 大手町牧場は、酪農分野の人材育成や、食を通じて学ぶことを目的にして東京の大手町に開設された牧場。牛やヤギなどの見学だけでなく、バター作り体験やセミナーなどが行われており、体験しながら学ぶことのできる施設となっている。

 実証実験では、来場者に取っ手が付いた専用のタブレットケースを貸し出し、バーチャルキャラクター「レナ」が、牧場で飼育されている動物の案内や来場者の質問に答えてくれる。動物の好きな食べ物や牧場に掲示されているクイズのヒントなどを聞くと、回答してくれる。

 KDDIのバーチャルキャラクターとARを使った取り組みは、過去に「初音ミク」がその場にいるように表示する「ミク☆さんぽ」や「au SENDAI」併設のカフェで「初音ミク」とのバーチャルデートが楽しめる企画などが行われてきた。今回の実証実験もこれらと同じソリューションだが、プラットフォームが異なる。これまではTangoが利用されていたが、今回はARKitが利用されている。

AIが牧場を案内、撮影した画像は思い出に

 実際に公開されたデモでは、貸し出される端末としてiPadが利用されていた。専用ケースの持ち手が持ちやすく、実際に周りをみながらでも持ちやすく操作ができた。

 タブレットを持ちながら歩いていくと、画面内に映る牧場に、吹き出しのマークが現れ、マークにキャラクターを近づけると動物の説明が行われる。画面のマイクボタンを押しながら話すことで、こちらの音声を認識して、質問などを回答してくれる。「ヤギの好きな食べ物は?」、「ヤギはなにを食べるの?」など違う言い回しで、質問の意味は同じものでも同じ回答をしてくれる。

壁に掲示しているクイズのヒントを聞いた場合
アルパカについて質問した場合

 こちらの言葉が聞き取れなかったときや意味がわからなかったときなどに対しては「回答不能です」といった少し冷たい反応をされてしまったが、この言い回しは今後に向けて改善されていくという。

タブレットで撮影した画像を持ち帰ることができる

 また、画面内のカメラボタンを押すことで画面内の映像を撮影することができ、最後にはダウンロード用のQRコードが表示され、撮影した画像を持ち帰ることができる。

 案内するキャラクターはレナ以外にも、パソナテックシステムズの応援キャラクター「てくのたん」にすることもできる。

AIによるガイドの今後は

KDDI プロダクト開発1部長の早瀬聡氏

 キャラクターAIの技術を提供したKDDI プロダクト開発1部長の早瀬聡氏は、5GやAIなどの技術はパートナーが必要不可欠。一般の“人”が案内するガイドでは、来場者がガイドの時間にあわせなくてはいけないことやガイドごとのスキルのばらつきなどの問題が出てしまうが、バーチャルガイドであればそのような問題が起きないと説明。今後は動物などの物体を認識した案内やIoTデバイスとの連携を実現できるようにするという。

パソナテックシステムズ 代表取締役社長の加藤直樹氏

 KDDIのキャラクターAIを活用し、「バーチャルガイドソリューション」の運用をするパソナテックシステムズ 代表取締役社長の加藤直樹氏は、今回の実証実験を通し、2019年1月以降、同ソリューションを商用展開していくという。他団体への働きかけや、観光施設などを対象の顧客としていると説明。また、ソフトを開発する企業として、同ソリューションを通してAIの技術者を育成していくという。

丹後王国 代表取締役社長の伊藤真人氏

 大手町牧場を運営する丹後王国 代表取締役社長の伊藤真人氏は、実験を通して動物とのふれあいだけでは伝えにくい情報の提供や動物園などの先進事例となり、運営のノウハウを共有できることを期待しているという。

 今後は牧場を案内する機能だけでなく、アンケート回答やクーポン発行を可能にしていくという。