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米グーグルが新型スマホ「Pixel」発表、Google Assistantを初搭載

 米グーグルは、Androidスマートフォンの新機種「Pixel」を発表した。グーグル自身が初めて開発した機種とされ、AI技術を用いた「Google Assistant」(グーグルアシスタント)を初めて搭載するモデルとなる。5.5インチディスプレイの「Pixel XL」と、5インチの「Pixel」の2種類が用意される。米国での価格は649ドル。

Google Assistant

 「Pixel」はGoogle Assistantが組み込まれた最初のスマートフォンであり、自然な会話でさまざまな情報を得られる。

 利用する際には「OK Google」と呼び掛けてスタート。その日の予定やYouTubeの動画再生、自宅から職場までの交通状況、近くにある薬局などを問いかけると、その声を認識して自然な文章を用意して読み上げつつ、回答を示す。「友人と一緒にキャンプしたときの写真を見せて」と声に出すと、その条件に合致した写真を表示する。

【Pixel 公式動画】

 4日(現地時間)に米国で開催された発表会では、音声でAIと会話しながら操作する場面などが紹介された。デモンストレーションでは英語でのやり取りとなり、日本語への対応状況は明らかにされていない。

ピチャイ氏

 発表会の冒頭に登壇したグーグルCEOのスンダー・ピチャイ氏は「From mobile first to AI-first」(モバイルファーストからAIファーストへ)というキーワードを掲げる。ここ数年で急激にマシンラーニング、ディープラーニング、そして人工知能が発展し、最近では碁でもコンピューターが人間に勝利したことを紹介。過去10年はモバイルファーストの世界が構築されてきたが、次の10年はAIファーストの時代へシフトするという見解を示し、自宅にいても仕事中でも、車に乗っていても、あらゆる場所でAIが人をサポートするようになると説明。そうした未来への展望に向けて、Google Assistantを提供することになった、とした。

AI(人工知能)の進化を示す例として紹介された画像認識。列車の写真に対して、かつては「列車が線路の上に座っている」としていたが、現在は「青と黄色の列車が線路を走っている」

iPhoneを超えるカメラ

 特徴のひとつは、12.3メガピクセルカメラ。「これまでで最高のスマートフォンカメラ」とうたい、HDR Plus機能や動画撮影時の手ぶれ防止機能などが利用できる。スマートフォンカメラの性能を評価する「DxOMark Mobile」において89点を獲得したとして、iPhone 7をふくめ、他のスマートフォンのカメラを凌駕する性能とアピールする。

 レンズはF値2.0で、センサーの画素サイズは1.55μm。像面位相差オートフォーカス(PDAF)とレーザーオートフォーカスをサポートする。

 また自撮りなどに使えるフロントカメラは800万画素となる。

動画の手ブレ補正

 撮影した写真、動画については解像度を落とすことなく無料でクラウドに保管でき、その容量に制限はない。

ユニークな機能

 グーグルのVRプラットフォーム「Daydream」もサポートする。あわせてスマートフォンをマウントするゴーグル「Daydream View」もラインアップされる。価格は79ドル。

 またiPhoneや他のAndroidから機種変更する際には、ケーブルを繋ぐだけでデータをコピーする。対象となるデータは写真や動画、音楽、SMS、iMessagesとなる。

主な仕様

 ディスプレイ面はコーニングのGorilla Glass 4を採用し、端末の縁は2.5Dのラウンドした形状に仕上げられた。ボディ素材には航空機グレードのアルミニウムが採用される。背面には指紋認証センサーも用意される。

 Pixelは5インチ、フルHDの有機ELディスプレイで、大きさは143.8×69.5×8.5mm(最薄部7.3mm)、バッテリー容量は2770mAh。

 Pixel XLは5.5インチのQHD有機ELディスプレイ。大きさは154.7×75.7×8.5mm(最薄部7.3mm)、バッテリー容量は3450mAh。

 チップセットはSnapdragon 821(2.15GHz×2、1.6GHz×2)で、メモリ(RAM)は4GB。ストレージ(ROM)容量の異なる32GBモデルと、128GBモデルが用意される。急速充電機能により、15分間、充電するだけで7時間駆動する。ボディカラーはVery Silver、Quite Blackの2色で、米国限定カラーとしてReally Blueがラインアップされる。USB Type-C端子や3.5mmイヤホンジャックを装備する。

 LTE CAT11(下り最大600Mbps、上り最大75Mbps)に対応。3波キャリアアグリゲーションをサポートする。対応周波数については2つの異なるモデルがラインアップされる。一方は、FDD-LTEでB1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/20/25/26/28/29/30、TD-LTEでB41。もう一方はFDD-LTEでB1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/21/26/28/32/、TD-LTEでB38/39/40/41。

 米国、英国、カナダ、ドイツ、オーストラリアでは本日より、インドでは10月13日より予約受付が開始される。米国では直販サイトのほか、携帯電話事業者のうちVerizon独占で取り扱われる。日本での販売については触れられていない。

 これまで、グーグルでは、さまざまな端末メーカーと協力してNexusシリーズのスマートフォンを展開してきた。Pixelというブランド名を関する製品は、過去、タブレットで登場しているが、今回の「Pixel」について「我々は次のステップに進むことを決めた。グーグルのサービスによるベストの体験を提供するため、我々自身がハードウェアとソフトウェアを、一つ屋根の下でデザインした」と説明している。