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経産省、アプリストア事業者の独禁法違反の可能性を指摘

 「アプリストア事業者がアプリ提供者に優位する市場になっている」「公正取引委員会の調査が必要との指摘も」――経済産業省の報告書の中で、アップルやグーグルによるアプリ提供者との契約手法の問題点が指摘された。

 この指摘がなされたのは、16日に発表された「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会」が取りまとめた報告書。デジタル市場において、「GAFA」(グーグル、アップル、Facebook、Amazon)のようなプラットフォーマーが支配的な立場になっているとしており、その特性を分析している。

 アプリストアについては、アップル(App Store)とグーグル(Google Play)の2社による寡占状態になっている状況下で、アプリ提供者に対して優位な立場となっていると指摘している。

 確認した事例として複数の問題点を挙げており、その中で決済手段の拘束や、不透明な返金処理といった問題について、独占禁止法違反にあたる可能性があるという意見があったと報告している。指摘された事例は以下の通り。

 アプリストアでは、配信されたアプリが購入されるごとに、通常30%程度の手数料を徴収している。これに関して、配信アプリの中で、ストアが管理していない決済手段を提供することを原則禁止している(決済手段の拘束)。

 また、一部のストアでは、販売価格をストア側が提示した価格(120円、240円、360円……)からしか選ばざるをえず、自由な価格設定を阻害している。

 複数のアプリ内で使える共通通貨も禁止されているため、あるアプリ提供者が提供するゲームaで購入したコインを、同じアプリ提供者の別のゲームbで使えず、ユーザーからすれば不便な状況に、アプリ提供者にとっては囲い込みができない状況となっている。

 一部のストア事業者が、自ら提供しているアプリと競合するストア上のアプリで、機能に差をつけていることも問題視している。例えば、あるストア事業者Aの音楽アプリではアプリ内で楽曲購入ができるが、Aが運営するアプリストアで配信されたアプリでは、アプリ内で楽曲を購入する機能が制限されている。

 ユーザーはアプリ提供者と契約してアプリを購入するが、購入したアプリの返金はアプリストア事業者が代行できるようになっている。ストアが返金に応じた際に、その理由や相手の情報について、アプリ提供者に説明されないため、アプリの品質改善につながらないほか、ユーザーから請求があった場合に二重に返金してしまうおそれがある(不透明な返金処理)。

 ストア事業者のアプリ審査基準についても不透明で、配信を拒否された理由が提示されないため、審査内容の予測や対応が困難。

 また、アプリストア以外でサービスを提供する方法として、Web上で展開する方法があるが、OSにプリインストールされている検索エンジンを利用すると、アプリストアのアプリが優先的に表示される。これが実質的にユーザーをアプリストアに誘導する可能性がある。

 報告書では、こうした取引実態は、必ずしも不当なものとは限らないとしつつも、今後も継続的な実態把握に務めていく必要性を指摘している。その上で、アプリストア事業者とアプリ提供者が締結する秘密保持契約が情報提供の阻害となっている可能性があり、公正取引委員会による強制力をともなった調査が必要という意見もあったとしている。