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KDDIが「スペースチャンネル5」×VR、「HTC VIVE」で

東京ゲームショウに体験ブース

 9月17日から一般向けに開催される「東京ゲームショウ2016」に、KDDIがVR(仮想現実)を舞台にしたコミュニケーションと、往年の人気ゲーム「スペースチャンネル5」を組み合わせた「Linked-door loves Space Channel 5」を出展する。HTCのVRデバイス「HTC VIVE」を使ったものになる。

 「HTC VIVE」はパソコンに繋げて利用するVRヘッドマウントディスプレイ。価格は9万9800円。その特徴は「ルームスケールVR」と呼ばれる機能。一般的にHMDでのVRコンテンツは視聴することが中心になりがちだが、HTC VIVEでは1.5×1.5m~4.5×4.5mの範囲で空間をまるごとトラッキング。その空間の中で歩きまわるプレイヤーやコントローラの位置・向きを検知して、VRコンテンツへリアルタイムに反映させる。

 この特徴をもとに、今回KDDIが提供する「Linked-door loves Space Channel 5」は、KDDIが開発したVRコンテンツ「Linked-door」と、セガが1999年に発売したダンスゲーム「スペースチャンネル5」を組み合わせたもの。9月5日の段階で、「Linked-door loves Space Channel 5」の出展がアナウンスされ、今回、その予告編と言える映像がメディア向けに公開された。

 会場では2つのブースを使い、一方にゲームマスターと呼ばれるスタッフとコンテンツを体験する参加者の2人が、もう一方にもう1人の参加者が配置される。それぞれが「HTC VIVE」を身に着ければ、同じ仮想空間上で3人が一緒にいる、という状況になる。そこではダーツを楽しんだり、音声通話をしたりするなど、仮想空間を通じたコミュニケーションを楽しめる。さらに「スペースチャンネル5」の世界へと誘われ、主人公キャラクターの「うらら」を応援していれば……とバトルを楽しめる流れになる。

KDDIの上月氏

 「昨年から真剣にVRへ取り組んできた。HTC VIVEの“歩けるVR”であれば何を共有できるのか」――そう語るのは、KDDI商品企画部商品戦略3グループリーダーの上月勝博氏。

 かつてはFirefox OSのスマートフォンを担当していた上月氏は、通信事業者という立場から、VRは、電話やメール、ビデオチャットに続く、新たなコミュニケーションの形として有望視していることを紹介。3月、米国のイベント「SXSW2016」で披露した「Linked-door」は一定のストーリーをこなす、擬似的なコミュニケーションを楽しむものだったが、今回はその場にいる他のユーザーと同じVR(仮想現実)空間に滞在してコンテンツを楽しめる。また「スペースチャンネル5」も15年ぶりに登場することもあって、当時、同作を楽しんだ人にとっても期待できるコンテンツとアピールした。

 上月氏は、au向けのスマートフォンを数多く手がけるHTCとは密にやり取りをしており、パソコンに繋げて利用するHTC VIVEは、ルームスケールVRや、ハイスペックな処理による高品質なVR体験をもたらし没入感が高いと説明。その特性を踏まえたコンテンツ開発を進めているとする。

 一方で、KDDIとしてはモバイルでの利用にも期待しているとのことで、「来年(2017年)のバルセロナ(での展示会、Mobile World Congress)では、グーグルのDaydreamを楽しめる環境が本格的に出揃うのではないか。現在でも法人から相談が寄せられている」と述べ、高い市場性があるとの見方を示す。

 今回の「Linked-door loves Space Channel 5」について上月氏は、東京ゲームショウのあと、年内にもau直営店で体験イベントを開催したいとも語っており、より多くのユーザーに体験できる環境を提供する考えとした。

ブース構成
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