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コスト3分の1で利用カンタン、ドコモが提案する新しいコインパーキングとは

 NTTドコモは13日に実証実験を開始する「docomoスマートパーキングシステム」の報道関係者向けデモンストレーションを実施した。

 「docomoスマートパーキングシステム」は、駐車スペースの路面に車を検知するセンサーを設置することで、時間貸しの駐車場(コインパーキング)を安価に実現できるシステム。システムや実証実験の概要は、6日の記事も参照いただきたい(※関連記事)。

 コインパーキングで主流となっているのは、フラップ板と精算機を設置するシステム。一方を、「docomoスマートパーキングシステム」では、フラップ板も券売機も設置せず、センサーとゲートウェイを設置して、クラウド上で入出庫を管理する。決済をクレジットカードで行うのも特徴だ。

 駐車場の利用者にとっては、従来型のコインパーキングより便利に利用できる。スマートフォンのアプリなどから近くの駐車場の事前予約(取り置き)をして、駐車場に入庫する際にアプリで「チェックイン」をすると決済される。出庫時には手間のかかる精算手続きがなく、そのまま出庫するだけで、利用時間分の料金がクレジットカードから引き落とされる。

利用アプリのイメージ。近くの駐車場を地図から予約して、駐車したチェックインするという流れ
出庫時は手続き不要、そのまま出発するだけで決済される

 駐車場オーナーにとっては、フラップ板タイプのシステムと比べ、安価に設置できるのが最大のメリット。従来のコインパーキングでは、費用回収までの平均期間が1年半程度だったが、「docomoスマートパーキングシステム」では、半年程度で費用回収が可能という。

 設置する機器はセンサーとモバイル通信対応のゲートウェイだけで、どちらも電源の配線が不要。車を検知するセンサーはポリカーボネート樹脂で覆われ、地面にアンカー杭で埋め込まれる。バッテリー交換することなく数年間駆動する。

センサー部。あえて基盤より大きい筐体にして、目印になるようにしている。「車の休息」をモチーフにしたアイコン

 ゲートウェイにはドコモのユビキタスモジュールが埋め込まれており、センサーが感知した情報をクラウドサーバー上にアップロードする。センサーの稼動状態を判別するヘルスチェック機能も搭載している。モバイルバッテリーで数週間程度駆動し、点検者が簡単に交換できるほか、太陽光発電との併用も可能。

 設置作業はセンサーを杭で地面に埋めるだけで、最短1日で設置可能。従来型のコインパーキングでは設置できなかった舗装されていない土地にも対応する。

センサー部の電源。現状、このバッテリー1本で2年半程度連続稼働するという
ゲートウェイ部も片手で持ち運べる程度の大きさ。製品版では設置環境にあわせて大容量のバッテリーを搭載する

 利用状況をクラウドでリアルタイム管理することで、不正利用に対する対策も進んでいる。フラップ板タイプのコインパーキングの場合、フラップ板の踏みつけなどの手口で不正利用されていても、利用開始時点では気づけない上、請求も難しい。

 「docomoスマートパーキングシステム」では、入庫時のチェックイン手続きがない場合は不正利用と判断し、すぐに見回り担当者が駆けつける。無断利用が発覚した場合の対応は、一般的なコインパーキングと同様になるが、法的な対処が取られる場合もある。

 チェックイン時にクレジットカードで決済をするため、踏み倒しリスクが減らせるほか、精算機に対する保険などの対策も不要となる。

 同システムは2017年3月まで実証実験を行い、コインパーキング運営事業者向けのソリューションとして展開していく方針。ドコモでは将来的に、カーシェアリングサービスの管理システムとしての展開や、自動運転車と連携し、近隣の空き駐車場を自動で発見して駐車するシステムへの発展も想定している。