インタビュー
ファーウェイLi Changzhu氏が語るMate 20シリーズの魅力
進化するカメラ機能開発の狙いと裏側
2018年11月21日 10:15
10月にロンドンでフラッグシップモデルとなる「HUAWEI Mate 20」シリーズを発表したファーウェイだが、さまざまな新機能を搭載したことで注目を集めた。Huawei Consumer Business GroupのHandset BusinessでVice Presidentを務めるLi Changzhu氏に深センにある本社でグループインタビューする機会を得たので、本稿ではその模様をお伝えする。
Li Changzhu氏
今、Mate 20 Proを手に持って写真を撮っていただいていますが、使い勝手はいかがでしょうか?
――取材でも十分に使えるクオリティですね。(※本稿掲載の写真は全てHUAWEI Mate 20 Proで撮影している)
Li Changzhu氏
ありがとうございます。このMate 20 Proというのは取材時の写真だけでなく、録音機能も非常に良いのでオススメです。サービスをスタートしたばかりですが、弊社のスマートフォンに搭載された録音機能は、中国語であれば自動的に文字起こしをしてくれるビジネスというものがあります。今後は中国語に限らず、英語やドイツ語、フランス語でも使えるようにしていきます。
そもそもMateシリーズは、ビジネスパーソン向けに作られています。ですから、取材の時にボイスレコーダーとしても使えますし、同時に写真を撮るとマーカーとして記録が残ります。再生しながら、その時に撮った写真が出てくるようになっています。そうしてビジネスシーンのニーズを取り入れて作った製品ですから、会議や取材など、具体的な場面でかゆいところに手が届くというような機能が詰まっています。
――カメラはP20 Proと同じく3つですが、構成が大きく変わり、モノクロに変わり超広角のカメラが搭載されました。なぜそのような構成になったのでしょうか? 絵作りはどう工夫されたのでしょうか? また、ライカとはどのような話があったのでしょうか?
Li Changzhu氏
まずカメラレンズの構成ですが、今の構成をとったのは、実際にユーザーがスマホカメラを使っている過程において、広角の写真を撮るというニーズがあるということをずっと認識していました。例えば、ちょっと遊びに出かけたり、都市部に住んでいても、広角レンズで撮った方がより多くの情報量を写真に収められます。弊社としては、ずっと超広角のレンズを構成の一部として取り入れたかったのです。
以前のモノクロカメラは、確かにたくさんの光を取り込めるので、光の少ない暗い場所でもディテールを強化することできました。今では、レンズはマトリクス型という構成になっています。弊社が開発した画像処理アルゴリズムでは処理能力が大きく向上しました。Kirin 980という新しいチップセットもそれに貢献しています。モノクロカメラは使っていませんが、モノクロの効果は今まで以上に上がるというパフォーマンスを実現できました。
モノクロ写真を好んで撮影するユーザーもたくさんいますから、今のモデルにもモノクロの写真を撮影できるモードも残っています。このモードは、ライカの開発チームと一緒にチューニングしているので、非常にクオリティが高く、ライカ風のモノクロ写真を撮影できます。
――今後のモデルもこうしたカメラの構成になっていくのでしょうか? また、Mateというシリーズの位置づけを改めて教えていただけますか。
Li Changzhu氏
今後も全くモノクロカメラを使わないという風には言えません。今のマトリックスレンズの組み合わせというは、ユーザーのメリットを最大化する目的で搭載したものです。いかなるレンズ構成でも、これが目的となっています。どんな組み合わせでも採用される可能性はあります。モノクロレンズに対する研究も中止したわけではありません。同じようにセンサーもどんどん進化しています。全く可能性が無いという風には言えないと思います。今後はもしかしたらモノクロカメラを搭載してカメラのパフォーマンスが大きく向上することになるかもしれません。
ファーウェイには2つのフラッグシップモデルがあります。一つがMateシリーズ、もう一つがPシリーズになります。まず発表の時期が違います。Pシリーズは毎年春、3月~4月に発表されるもので、Mateシリーズが毎年秋、10月~11月に発表されます。発表の時期が違うため、秋に発表されるMateシリーズにいつもその年の最新のKirinチップセットが搭載されます。翌年のPシリーズもMateシリーズに続いてこのチップセットを採用していきます。
また、Pシリーズはアクティブで軽やかなイメージを持たせたいので、全体の作りも非常に薄くて、ファッション性があって、さらにちょっと女性らしさを持たせようとしています。ですから、Pシリーズにはトワイライト色もあります。
Mateシリーズは、発売当初、ビジネスパーソンに非常に好評でした。このユーザー層というのは、バッテリーの持ち時間に対する要望が強いんです。頻繁に出張に出かけたり、仕事で使うことが多いので、弊社としてもバッテリーの持ちを最優先に掲げています。ですから、Mateシリーズにはいつも最大容量の4000mAh以上のバッテリーを搭載しています。それと同時に、もうちょっと洗練されたスリムな外観で、ファッション性も持たせたりしなければいけません。どちらの要素も持たせたいので、大きなチャレンジになっています。
――以前、Pシリーズはカメラに注力したモデルという位置づけだったと思うのですが、その位置づけは変わってきたのでしょうか。
Li Changzhu氏
理論的にはそうですね。おっしゃる通り、これまでカメラ機能で大きなイノベーションを起こした時には、まずはPシリーズに搭載していました。しかし、今ではPシリーズも、Mateシリーズも、どちらのモデルも出るたびにカメラ機能が大きく進歩しています。それはユーザーがカメラに大きく期待しているからです。弊社のラボの中で、カメラの演算能力やアルゴリズムなどで研究開発に力を入れてきましたから、この分野においてたくさんの蓄積があります。こういった新しい技術が成熟すると、最新のPシリーズもしくはMateシリーズに搭載して世の中に届けていく形になっています。Pシリーズであれ、Mateシリーズであれ、最新のモデルであれば、必ず何か新しい要素が搭載されており、前のモデルと比べると進化しているものです。絶えず進歩し続けていくことで、ライバルとの差を広げられます。この分野においてもリードしていきたいと考えています。
補足になりますが、ファーウェイはカメラに対して特に力を入れていて、さまざまなイノベーションを起こしています。一つの側面だけでなく、全方位で新しい要素を次々に作り出しています。ユーザーがカメラ機能を使っている時のいろんな使い方も含め、ライフサイクル全体に関わるものを全部イノベーションを起こしていきます。例えば、センサーであったり、光学モジュールであったり、設計、アルゴリズム、ライカ風の写真が撮れるようにするなど、常に新しいものを作り出していきます。写真のクオリティも含めて、ユーザー体験から撮影文化に至るまでイノベーションを起こしていこうというような目標があります。
撮影のクオリティを最高にするために最も良い光学モジュールをライカと一緒に作り出し、ソニーと提携することによって最も良いセンサーを製品に搭載し、さらに画像のクオリティをベストなものを作り出すためにライカと協力してチューニングしています。例えば、遠くにフォーカスして、複数のものにピントを合わせることが、アルゴリズムなどを通して実現されており、DxO Mark Mobileで高得点を獲得できました。ユーザーのいろんなシーンに合わせて、職場であったり、普段の生活であったり、さまざまなシーンに合わせた機能が製品の中に詰まっています。
しかし、我々は上手なストーリーテラーではなく、なかなかそういった話を皆さんに伝えられておらず、普段ユーザーが使っているカメラの機能は、我々が実現しているものの1/10程度にとどまっていると推測しています。これからはしっかり宣伝面を強化して伝えていきたいと考えています。
2年前にネクストイメージという新しいプロジェクトをスタートしました。これを新しい撮影にまつわる展示、交流、コミュニケーションをする場として使っています。その一環として、写真コンテストを開催しました。日本のユーザーからも投稿があり、全体で40万枚以上の写真が集まりました。そこで賞を獲得した選ばれた作品を、パリのパリスフォトという、この分野で最も権威ある展覧会に展示することになりました。ファーウェイはパリスフォトの最もランクの高いスポンサーでもあります。この会場にはファーウェイのブースがあり、ファーウェイのスマートフォンで撮影した写真を展示するスペースがあります。
スマホメーカーとして、スマホで撮った写真を展示するという初の試みを行ったわけです。スマホで撮った写真は、今後、撮影文化の一翼を担っていくものだと信じています。これに関しては、弊社の提携相手はニューヨークのICP(International Center of Photography)となります。
今年、パリスフォトはグランドパレスという会場で開催されました。ちょうどP20とP20 Proを発表した会場です。その催しには、たくさんの写真愛好家や画廊の関係者が参加し、弊社の展示場所にはライトボックスがあり、パネルがあるのですが、そのディスプレイには1000枚以上の写真が次々に表示されるようになっていました。たくさんの人がその前に来て写真を撮るのですが、理由を聞いてみたら、友達に頼まれて、友達の写真が受賞したので、出てきたところを記念に写真に収めたいということで、このようにたくさんのユーザーに喜んでいただいて我々もうれしく思います。さらに光栄なことに、日本の著名なフォトグラファーである森山大道先生にお会いすることもできました。
――今回はカメラを3つ搭載していますが、将来的に4つ、5つ、6つと増えていくのでしょうか? 逆にAIの力を借りて、少なくなっていくのか、今後の方向性を教えてください。また、ソニーがファーウェイに対して相当良いセンサーを供給しているようですが、ソニーとの関係について教えてください。
Li Changzhu氏
まずどういった技術を取り入れるかは、あくまでユーザーの使用における問題を解決できるか、ユーザーの撮影体験や動画の視聴体験を上げられるかというのが選定基準になります。もう一つは、見た目の良さです。インターネット上で、6つのカメラや13のカメラが付いているものを見たことがあるのですが、もちろん好き嫌いは人それぞれですが、私から見ればデザイン性はよろしくないと思えるわけです。スマートフォンというのは、今となっては人々にとって最も重要なガジェットとなっていますから、機能面はもちろん、見た目の良さも兼ね備えなければならないものだと考えています。弊社のMateシリーズもPシリーズも外観に曲面を持たせたり、新しいカラーを採用したり、筐体に関しても非常に工夫がなされています。やはりデザインの良さと実用性、機能面は、しっかりバランスを取らないといけないと考えています。
ファーウェイでは、ソニーを含むたくさんのサプライヤーと緊密な戦略的パートナーシップを結んでいます。同じチャレンジ目標をみんなで共有しています。チャレンジをするということは、それなりのリスクを冒さなければいけませんし、それに立ち向かう決心も共に持たなければいけません。もちろん失敗する可能性も大いにありますので、弊社としてもそのリスクを負いますし、成功すれば世の中の消費者に対して多くのサプライズを提供することができます。戦略的パートナーシップは、Win-Winというものが非常に重要になります。弊社の方でしっかりと製品が売れた時にはパートナーに経済面でのお返しを確保してあげないといけないと考えています。
――折りたたみスマホはどうされるのでしょうか?
Li Changzhu氏
弊社はID(Industry Design)に対してもイノベーションを起こすべく研究を続けています。折りたたみもIDの範疇に属します。ただ、やっぱり繰り返しになってしまいますが、何か新しいイノベーションを市場に投入して実際にユーザーに使ってもらう基準は、大きく体験が向上するかどうかです。折りたたみというデザイン、設計に関してはいろんな可能性があり、難しいのは技術的なところだけではなく、安全性や何回折りたためるか、製品の重量など、いろいろあります。中でも最も重要なのはUXとUIにも新しい要素を盛り込むことです。
――インカメラは、P10の時はライカ監修で、P20からライカの冠が外れたかと思いますが、そこは何か基準が変わったのでしょうか? 最近、撮影機能でAIを推すメーカーが増えています。ファーウェイとしてAIの優位性はどこにあるのでしょうか?
Li Changzhu氏
おっしゃる通り、P10にはライカによる認証があり、P20の時にその冠は外されました。それは品質や基準の面で何かが変わったということではありません。ライカとの業務提携は主に2つあります。1つは光学レンズの設計、もう1つはライカ風の写真を撮れるようにすることです。インカメラについても同じようにライカの基準に準拠しています。ただ、セルフィでは異なる味が求められます。そこはライカとは違う方向性ですから、弊社でそこは一致しないということで外しました。
AI技術で撮影機能をどう伸ばしていくかは時間があれば1時間ほどご説明したいところですが(笑)、3つのポイントに絞ってお話ししたいと思います。
まず、ユーザーがより簡単にきれいな写真を撮れるようにAIの機能を使って助けてあげることです。今のAIの機能はさまざまな撮影シーンとさまざまな被写体を識別できるようになっています。例えば、花を撮る時、すでにAIは数億枚の花の写真を学習しています。どういった花の写真がきれいなのか知識として備わっているため、それを実際の撮影環境の光の加減などに照らし合わせてうまく調節することで、誰が見てもきれいな花の写真だと思える効果を出せるわけです。
2つ目のポイントは、AIを使って、これまでの機材や技術ではできなかった効果、エフェクトを作り出したいと考えています。Mate 20では、AIを使って、被写体の人物だけ色を保持したまま、周囲の背景がモノクロになる動画を撮影できるようになりました。これが従来のカメラですと、撮った後にいろいろと処理をしないと、このような効果は出せないものです。非常にイマジネーションが求められる機能です。
3つ目は、潜在能力の非常に大きい技術でもあります。それを一言でいうと、実際に見たもの以上に見せてくれるという意味になります。
例えば、こちらのスマートフォンのカメラでは、肌のきめ、毛穴、しわ、しみなどを非常に細かく見せてくれます。それを識別することで、どういったケアが必要とされるかを教えてくれます。単にフィルターを使って肌をよく見せるだけでなく、実際の美肌のために建設的な意見を伝えることもできるんです。
写真を撮る時、一瞬をずっと残したいために写真を撮ることも多いのですが、単に記録用に写真を撮ることも多いです。見たいと思う映画があればポスターをパシャっと撮ったり、本のポスターがあったらそれを撮って後で買いに行こうという風に記録用に写真を撮ったりします。ここに置いてあるボイスレコーダーが良さそうだ、買いたいと思った時、まず写真を撮ります。写真を撮ったら、2本の指で長押しすると、アリババのeコマースのサイトに飛びます。値段やどのショップで買えるか全部出てきます。中国国内ではeコマース大手のアリババやJDと業務提携しています。将来的には世界各国、現地のeコマース、日本でいうとヨドバシカメラさんやアマゾンジャパンさんとこういった業務提携ができるようになります。AIを使って、1秒でインテンションからビヘイビアに、考えていたことを行動として実現してくれます。
ほかのメーカーもAI機能をいろいろうたっていますが、弊社としてはAIはあくまで実際の問題を解決するためのものであり、仕事の効率、日常生活のクオリティを上げるためのものです。ユーザーにはぜひAIのメリットをしっかりと享受していただきたいと考えています。(Consumer Business GroupのCEOの)リチャード・ユーも発表会の場でAIの能力を使ったデモを披露していましたが、英語をしゃべる人と中国語、フランス語をしゃべる人が、弊社のスマホを使ってリアルタイムに会話できるというデモでした。これもデュアルNPUが搭載され、リアルタイムな演算能力を使って実現したものです。AIの能力というのは、アルゴリズムにしても、演算能力にしても、アプリケーションにしても、弊社のものにはすでに備わっています。ただ、応用面はスタートしたばかりで、まだ直球的な応用しかできていないという認識です。
――Mate 20では、Proに加えてXがありました。これが生まれた理由、バリエーションが増えた理由を教えてください。
Li Changzhu氏
Xが生まれた理由は、Mateのユーザーに対して弊社でリサーチしました。大画面を求めるユーザー層がかなりあるということが分かりました。大画面を使って何をするかというと、主に3つあり、メールを読んだり返信したりすること、動画の視聴、ブラウジングだったりゲームで遊んだり。こういった人たちに画面サイズとバッテリーの容量が求められます。こういったユーザー層がありますので、今回はこの期待に応えられるように大画面のXを出しました。
――ワイヤレスリバースチャージが搭載され、発表会ではiPhoneを充電していました。iPhoneを充電するために搭載したわけではないと思いますが、何のために搭載したのでしょうか?
Li Changzhu氏
いかなる機能もユーザーの実際の問題を解決するためにあるものです。そもそもはiPhoneの充電のために開発したわけではありません。この機能を搭載した主旨は、イヤフォンなど、スマートフォンのアクセサリーの多くがワイヤレス充電に対応していますが、バッテリーが長くもつわけではないので、必要な時にアクセサリーを充電できるようにしたい。我々のスマートフォンであれば十分に容量もありますから、いざという時にこうしたアクセサリーを充電できるようにして、いつでも使えるようにしてあげたいということです。
もちろん、ワイヤレスリバースチャージは、安全性や適応性にも配慮しています。ほかのものを充電ばかりして、自分の電池が無くならないように、一定のパーセンテージを下回ると自動的に充電を中止したり、充電を必要としないものが載っていても自分で判断しますので、充電と止めたりできます。
――Mate 20 Proに搭載されている画面内の指紋認証機能は光学式なのでしょうか? 使っていくうちに画面に傷がついたり、保護フィルムを貼ったりした場合には影響は受けないのでしょうか? 決済などでFIDOに準拠することは考えているのでしょうか?
Li Changzhu氏
光学式です。おっしゃる通り、画面に傷がついたり、汚れがついたりした時には指紋認証に影響が出ます。これから弊社が出す純正フィルムを貼れば、そうした影響は受けません。指紋のデータをスマートフォンの中に取り込むのですが、安全性もこれまで同じように、しかるべき基準に則ってしっかりと保護されるようになっています。
弊社としては、利便性のために安全性を犠牲にしたり、疎かにしたりはしません。WeChatの決済機能に弊社の指紋認証が対応するようになったばかりですが、当初からなぜ対応しなかったかというと、支払いプロセスが我々の安全性の基準を満たしていないということで、1年以上弊社で断っていました。WeChatのチームも我々のために協議しながら合意できるプロセスにしていきましょう、ということで合意に至り、対応できるようになりました。利便性のために安全性やユーザーのプライバシーをリスクにさらすようなことは決してありません。社内で非常に厳しい安全性の基準があるからです。
――NMカードを採用した理由を教えてください。また、エコシステムをどう作っていくのでしょうか。
Li Changzhu氏
実際、スマートフォンの内蔵メモリーが十分にあるにも関わらず、ユーザーによっては外付けメモリーが欲しいという声が常にあります。バックアップ用に使いたいなど、ニーズとして存在してします。弊社としては、それを無視することはできません。しかし、スマホに関して言うと、1ミリ平方というすごく狭いスペースでも、スマートフォンの中では貴重な存在です。メモリーカードをSIMカードと同じようなサイズにできないかという発想があり、最終的にNMカードを作りました。1つのnano SIMカードサイズのスロットで、2枚のSIMカードを入れるか、SIMカード1枚、NMカード1枚にするか、ユーザーのニーズに応じて使うことができます。
NMカードも実は中身は従来のものと同じです。ただパッケージングが異なるだけです。ですから、多くのメモリーカードメーカーに声をかけて、このエコシステムの中に入ってもらうようにしています。
――シングルレンズでポートレートモードを実現しているPixelやiPhone XRがありますが、それについてはどう見ていますか。
Li Changzhu氏
メーカーによってそれぞれ違うやり方、違うアルゴリズムが使われています。実際の効果も異なります。例えば、ポートレートモードで人を撮る時、背景をぼかしますが、実は非常に差が大きく出ますので、興味のある方は比較してください。1つ目は、人の髪の毛がくっきりできているか、2つ目は手を腰にあてるポーズで写真を撮ってみてください。そこがきれいに切り出されるかどうかです。弊社は深度を元に人の輪郭などがしっかり判断されます。ぜひ比較してみてください。
技術的な競争というのは、ディテールをいかに良くしていくかにあると思います。こうした技術面での競争は、消費者にとってのメリットもあり、弊社としてもこれを歓迎しています。
最後に私からも質問させてください。ファーウェイは、消費財のビジネスに入ってから、そんなに日が経っていません。特に日本市場ではまだまだ成長段階にあります。弊社の技術の粋を集めた製品を皆さんにお届けしたいと思っています。さらに、日本のユーザーからのフィードバックが欲しいと考えています。メディアの皆さんにも今後我々がもっと成長できるように、至らないところ、ここはこうした方がいいというところがあれば、ぜひご指摘いただければと思います。それから日本には撮影の文化があります。日本からは有名なフォトグラファーも輩出されています。今、若者にしてみれば、フォトグラフィーといえばスマートフォンを使った撮影になります。ですから、いかに我々の製品に対して、20代~30代の若い人たちを惹きつけられるかということが課題としてあります。何か良い案はありませんか?
――日本はこれから政府の意向により、端末の割引が無くなりますから、コストパフォーマンスが高く、カメラ性能が高い製品を出し続けることが重要だと思います。日本人もみんなiPhoneが高いと思いはじめていますから、かなりチャンスなのではないかと思います。
Li Changzhu氏
ありがとうございます。
――ドコモ版のP20 Proがドコモ仕様になり過ぎて、ファーウェイ仕様がカットされているところもありますから、そこはもう少しファーウェイ仕様にした方が消費者のためになるのではないかと思ったりもします。
Li Changzhu氏
これからも闘っていきます(笑)。たしかに日本の通信事業者からはカスタマイズの要求があります。その背景には消費者からのリクエストがあります。我々としても、日本の消費者のことがより理解できれば、キャリアとコミュニケーションをとって交渉ができるようになると思っています。
――先ほどカメラの機能がたくさんあるのにユーザーが使いこなしていないという話もありましたが、カメラのUIがまだ複雑なところもあります。せっかくいろんなシーンを認識してオートになっているのですが、一方で切り替えるモードに夜景があったり、ちょっと複雑です。そこがもっとシンプルになれば、みんながいろんな機能を自然に使えるようになると思います。
Li Changzhu氏
ありがとうございます。実はもっとシンプルにしていくというような方向性でも考えています。
――ぜひそこはAIを使ってゲーミフィケーションでユーザーを育てるような工夫をして欲しいと思います。
Li Changzhu氏
そうですね。ゲーミフィケーションを通して、ちゃんと機能を把握していただき、ユーザーの思いのままに自分が求める写真を撮れるようにしていきたいと考えています。
――ワイドアパーチャとポートレートモードの違いが分からないので統合してもいいのかもしれません。
Li Changzhu氏
実はポートレートモードでは美肌の効果も入れています。
――AIでいろいろとシーンを認識するのですが、モードを変えすぎていて、スライドを背景に人を撮影するとテキストモードになって人の頭がバッサリ切れてしまったり、AIが気を利かせすぎていて、もう少し何とかならないかというところもあります。
Li Changzhu氏
AIというのは、まだ信じて全てを任せるわけにはいきません。さらに進化が必要です。ありがとうございました。
――ありがとうございました。