インタビュー
ドコモ吉澤社長、「楽天との勝負、受けて立つ」
2018年7月11日 19:00
NTTドコモの吉澤和弘代表取締役社長は、11日、本誌の取材に応じ、新たな携帯電話会社に決まった楽天との競争について「受けて立たねばならない」と意気込みを語った。
一方、楽天がこれまでドコモ回線を利用したMVNOであることについては、楽天自身のサービスエリア整備が必要で、ドコモ回線に頼り切ることへの違和感を表明。あわせてKDDIやソフトバンクが、ドコモ回線を利用するMVNOを買収したり資本提携を進めたりした中で、今もドコモ回線を利用する姿勢に「スッキリしない」とコメントした。
楽天との勝負
――楽天は、自らの設備を全国で展開する携帯電話会社、いわゆるMNO(モバイルネットワークオペレーター)になります。ドコモがdポイントの会員基盤を軸にする中で、楽天は競争力のあるポイントプログラムを長年にわたって展開しています。今後の競争をどう分析していますか?
吉澤氏
2019年秋からMNOとしてサービスを提供されるとのことですが、日本国内の市場は(飽和しており)新規契約がどんどん増える状況ではありませんから、楽天さんも(ドコモ、au、ソフトバンクの)3社からお客さまを獲得されるのでしょう。
そのときの武器としてポイント、会員向けのサービスとモバイルの融合、料金との融合を展開されるでしょうから、我々としても受けて立たねばならない。完全な競合になりますよね。
通信料金と通信料金の戦いだけではなく、いわゆるエコシステムでの競争になるでしょう。楽天さんは強固な会員基盤をお持ちだと見ています。一方で我々はそうした基盤をこれから強化しようとしています。(通信発とEC発という)アプローチの違いはあれど、最終的なエコシステムの到達点は似ているところがあり、そこでの勝負になるのではないでしょうか。
自らやっていく必要がある
――そういえば最近、楽天モバイルは、最大3年契約を伴うプランを発表しています。
吉澤氏
MNOとしての楽天さんとの交渉はこれからだと思います。ただ、基本的には、MNOとして自ら設備を展開しようとしているわけですから、本来そちらにシフトすべきだと思います。
もちろん最初から全国でエリアを整備することは難しいでしょうから、当社か他社さんかわかりませんが、既存のMNOにローミングすることはあるでしょう。
それはあるにしても、どこかの時点で、MVNOからMNOに切り替えていかないといけないですよね。ずっとそれ(MVNOとしてドコモから回線を借りること)を続けるとなると、たとえば、離島などのエリアはドコモにやらせればいいじゃないか、となってしまう。それはちょっと違うんじゃないかと。(楽天)自らがやっていく必要があるんじゃないかなと思います。
――かつてのイー・アクセスへのローミングのように、ということですよね。
吉澤氏
はい、そうです。
競合への回線提供、「スッキリしない」
――ちなみに、BIGLOBEはKDDIの傘下になりましたが……。
吉澤氏
そういう意味では、(KDDIに買収された後)最初の段階で「だんだん(au網へ)シフトされるんですよね」と話しています。しかし、まだMVNOとして私どもの回線をお持ちですし、私どもも自分たちの回線数としてカウントしています。auさんもBIGLOBEの回線をIDとしてカウントされています。
それはちょっとおかしいというか、不思議な話だと感じています。
――確かに不自然ですよね。
吉澤氏
BIGLOBEさんがKDDIさん側のMVNO回線をどれだけ使っているのか。そちらが増えずに、ドコモ回線がそのままだとおかしな話ですよね。
――競合MNOの子会社にそういった使われ方をすることについて、いわば歯止めをかける術がありませんよね。ドコモ回線を使うMVNOを買収するですとか。
吉澤氏
はい、そういうことですよね。先日のLINEモバイルさんも、(ドコモ回線とソフトバンク回線の)両方をやりますという話でしたけども、ちょっとスッキリしないですよね。