【Mobile World Congress 2013】
Japan Designをアピールするエレコム、クールと言われるその理由
(2013/2/28 23:23)
日本のパソコンユーザーならば、エレコムの名前を知らない人はまずいないのではないか。デジタルガジェットの周辺機器メーカーとして知られるエレコムは、2013年、バルセロナのイベントに初めて出展することになった。
“Japan Design”を掲げるエレコムのブースでは、忍者や侍などの顔の部分をくりぬいたパネルを用意し、さながら日本の観光地のように製品をアピールしていた。スマートフォン関連のケースや、NFC対応のシリコンキーボード、充電機器などがずらり勢揃いした形で、ユニークな製品群に注目が集まっていた。
また、HDMI端子でテレビと接続するドングル型のAndroid端末「SKYLINK DMR01」(LDT-DMR01)が展示されていた。ルーター製品やスマートフォンなどと組み合わせることで、DLNAのメディアプレーヤーとして活用できるものだ。
さらに今回、エレコムの取締役社長の葉田順治氏に、同社の海外展開などについて話を聞く機会を得た。
――まず、Mobile World Congressにエレコムが出展する意図を教えて欲しい。
実は昨年に出展しようとしたがキャンセルしたので、出展は今年が初めて。MWCに出展すればワールドワイドの顧客に対してアピールできる。スマートフォンアクセサリーは売上げの3割程度しかないが、エレコムワールドを紹介していくにはある程度の大きさのブースが必要だった。
――ブースはにぎわっている様子だが。反響は?
無茶苦茶いい。エレコムは海外、とくに欧州では知られていない。しかし反応はとてもいい。量販店がほとんどない欧州において、販売チャネルは携帯ショップとインテリアショップが中心となる。どうやら「ジャパンクール」ととらえてくれたようだ。
――アクセサリーの専売店など作る計画はあるか。
コンピューター関連のアクセサリーショップは海外にはない。だから、頭に来て香港に自社ショップを作ってみた(笑)。なければ自分のところでどんどんどんやっていこうと思う。
――それは欧州にも自社ショップを作るということか?
それはない。というのも、欧州の人はモノをなかなか買わず、商品サイクルが長いためだ。それでは周辺機器はやっていけない。
エレコムは、ヒューマンマシンインターフェイスになろうとやってきた。欧州、とくにイタリアのデザインが好きで、イタリア人になるつもりでやってきたが、なぜかジャパンクールと呼ばれるようなものに落ち着いた。アジアも含めて、日本の製品が好きな地域はたくさんある。まずは宣伝しなくても売れる場所でやっていきたい。
――BluetoothやDLNAなど、なかなか説明が難しいのではないか。
店員が説明するにしても難しいのは事実。説明が簡単になるNFCには期待している。Bluetoothを接続するにしても説明が簡単で、ハードルを低くできる。
――海外での事業展開について聞きたい。
パソコン時代からそうだが、テクノロジーはすぐに陳腐化する。買収することなく、海外ベンダーや海外のベンチャーと積極的に提携してやっていく。海外ベンダーとエレコムの技術を組み合わせる場合もあるだろう。
ドコモのアクセサリーは100%うちがおさえている。エレコムは特定の分野に肩入れしない方針でやってきた。それはリスクが大きいからだ。ソニーやパナソニック、サムスンもそうだが、全部自社でワンストップで展開しようとするが、それでは市場自体がワンストップになってしまう。
アップルもLightningケーブルで自ら拡張性を拒否した。そのため我々はアップルのDockはやめることにした。僕はアップルは間違っていると思う。
――海外と比較すると、販売価格が安いこともあってか、国内のiPhoneユーザーのリテラシーは決して高くない印象がある。
たしかにいつまでも以前のバグを修正しないということもあるようだ。iPhoneに限らないが、エレコムはカスタマーサポートについては徹底してやってきた自信がある。国内では100数十名でサポート体勢を築き、自社運営でやっている。
――エレコムはスマートフォン向けアプリも展開している。
3年前にスマートフォンに参入した。当時スタッフには「おはようございます、スマートフォン」と言え、というぐらい意識改革させた(笑)。しかし、2億円を使って売上げは30万円にしか上がらなかったりとさんざんなものだった。
ただ、徐々に収穫できるようになってきた。それもこれもスマホアプリと周辺機器の組み合わせて、使い勝手を増強させるためだった。まだ秘密だが、4月にもアプリを出す予定だ。
――周辺機器というと、類似の製品も多くコピー製品も多いのではないか。
まだ参入してない市場で、エレコムの名前で売っている製品があったのには驚いた(笑)。コピー製品についてはなかなか対応できない。周辺機器のような商品サイクルの製品では、1つ1つに対応していたのではやっていけない。マネされるような会社になろうと気持ちを切り替えた。
――最後に、スマートフォンについて印象を聞かせて欲しい。
それこそパソコンが8bit時代から見てきているが、スマートフォンはまだまだ使いにくくヒドいものだと感じることもある。これからどんどんテクニカルなって進歩していくのではないか。
――ありがとうございました。