【IFA2018】

カシオが最新スマートウォッチ「PRO TREK Smart WSD-F30」をドイツで発表

 カシオ計算機は8月29日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開催されている「IFA 2018」においてプレスカンファレンスを開催し、同社のアウトドア向けウォッチ「PRO TREK」シリーズのひとつとして、Wear OS搭載モデル「PRO TREK Smart WSD-F30」を発表した。

カシオ計算機「PRO TREK Smart WSD-F30」、約60.5×53.8×14.9mm、約83g、Red(写真)、Blue、Blackをラインナップ
腕に装着。従来モデルに比べ、ひと回り小さくなった
右側面にはボタンを装備。グローブを装着したままでも押しやすいサイズ
左側面の上部(写真内の左側)にはマグネット圧着式充電端子を備える

 カシオのPRO TREKシリーズは、トレッキングをはじめとするアウトドアでの利用などを想定した腕時計で、高度計や方位計などの各種センサーを搭載するほか、さまざまな環境での利用に耐えられるように防水や耐衝撃などのタフネス性能を追求した腕時計のシリーズとなっている。

 プレスカンファレンスではカシオ計算機の上席執行役員を務める山下和之氏が壇上に立ち、これまでのPRO TREKシリーズを振り返りながら、シリーズとしての特徴を解説し、新製品の「PRO TREK Smart WSD-F30」を紹介した。

シリーズの歩み、スマートウォッチへの進化

 腕時計のPRO TREKシリーズは1994年に初代モデルが発売され、歴代モデルではさまざまな機能が搭載されてきた。タフネス・スマートウォッチとしては、2016年に「WSD-F10」が発表された。同製品は世界初のMIL規格対応のスマートウォッチであるほか、二層構造のデュアルディスプレイや50メートル防水などもスマートウォッチとして世界ではじめて対応したモデルになる。

 2017年にはGPSとオフラインマップを搭載した後継モデルとして、PRO TREKの名を冠した「PRO TREK WSD-F20」が発売され、登山やトレッキングで移動中も手元ですぐに現在地の地図が確認できることなどがアウトドア愛好家に支持され、人気を得てきた。

プレゼンテーションはカシオ計算機の上席執行役員を務める山下和之氏が担当
2016年からWear OS by Google(旧Android Wear)搭載のスマートウォッチを展開

最新のプラットフォームに進化

 今回発表された「PRO TREK Smart WSD-F30」は、プラットフォームに最新の「Wear OS by Google」(従来のAndroid Wear)を採用し、最大3日間のカラー地図とGPSの利用を可能にする「エクステンドモード」などの新機能を搭載しながら、デザインを一新したモデルになる。

 新しくなった点としては、まず、ケースを含め、デザインが一新されたことが挙げられる。従来モデルに比べ、縦で3.8mm、横で2.9mmの小型化を実現し、ケースそのものも薄型に仕上げることで、細身の腕にもマッチし、普段でも使いやすいサイズと形状に仕上げられている。

 ディスプレイは従来モデルからカラーディスプレイとモノクロディスプレイを重ね合わせた二層ディスプレイを採用していたが、今回のPRO TREK Smart「WSD-F30」ではカラー画面側に1.2インチの有機ELディスプレイを搭載することで、地図や情報を精細に表示できるようにした。また有機ELを採用したことで、ケースの薄型化や利用時間の延長などに寄与している。

 連続利用時間については、スマートフォンとの連携をオフにして、時計のみを表示するタイムピースモードで、従来モデルでは約1カ月の表示が可能だったのに対し、今回はモノクロディスプレイに、時計、気圧計、高度計、コンパスを、約1カ月間表示できるようにしている。

 また、スマートフォンとの連携やGPSによるトラッキングなどを有効にした通常モードでは約1日半の利用が可能なほか、新たに搭載された「エクステンドモード」ではオフラインでの地図表示とGPS機能を有効にした状態で、1回のフル充電で最大3日間の利用を可能にしている。

 あらかじめ入力したスケジュールに従い、睡眠中は電力消費が少ないスタンバイに切り替えるなど、ユーザーの行動計画に合わせた電源管理も実現している。

 プラットフォームはWear OS by Googleを採用しており、Android 4.4以上(Goエディションを除く)を搭載するスマートフォン、iOS 9.3以上を搭載するiPhoneと連携して利用することができる。

 ユーザーインターフェイスはWear OS by Google標準のものをベースにしており、スマートフォンからの通知を確認しやすくしたり、設定画面などを表示しやすくするなど、全体的なユーザビリティが向上している。ディスプレイ部はタッチパネルに対応し、防汚コーティングにより、アウトドアシーンでも問題なく利用できるようにしている。

落下や高温、低圧などの項目があるMIL-STD-810Gに準拠
新たに「MULTI-TIMEPEACE DISPLAY」モードなどに対応
従来モデル(左)に比べ、ひと回りコンパクトにまとめられた
「MULTI-TIMEPEACE DISPLAY」であ気圧計、高度計、コンパスを同時表示
「EXTEND MODE」では最大3日間の利用が可能
Wear OS by GoogleはAndroidだけでなく、iOSにも対応

 防水性能は5気圧防水に対応し、対環境性能はMIL-STD-810Gに準拠、マイナス10度の耐低温仕様にも対応する。GPSはGLONASS、みちびきに対応し、センサーは圧力(気圧/高度)センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、方位(磁気)センサーを備える。

 マイクを内蔵し、対応アプリでは音声コマンドが利用できる。通信機能はBluetooth 4.1(Low Energy対応)、IEEE802.11 b/g/n準拠のWi-Fiに対応する。

 バッテリーは本体内にリチウムイオン電池を内蔵しており、本体側面のマグネット圧着式充電端子にケーブルを接続して充電する。充電は常温で約3時間で、電池寿命は通常モードで約1.5日、マルチタイムピースモードで約1カ月間の動作が可能。本体サイズは約60.5×53.8×14.9mm、約83gとなっている。

カシオ計算機の山下氏をはじめ、各対応アプリを提供するCEOたち

 プレスカンファレンスでは「PRO TREK Smart WSD-F30」にアプリを提供する各社のCEOらが登壇し、それぞれのアプリの新機能などを解説した。

 アウトドアアプリの「Viewranger」をはじめ、ゴルフアプリの「Hole19」、サーフィン&ウォータースポーツ対応アプリの「Glassy」、釣りアプリの「FISHBRAIN」、スイミング対応アプリの「MrSwinPro」、乗馬アプリの「Equilab」、エクササイズアプリの「Exercise Timer」、ランニングとゾンビゲームを組み合わせた「Zombies, Run!」、スキーアプリの「Ski Tracks」と、それぞれジャンルで数多くの実績を持つアプリが紹介された。

 さらに、GoogleでWear OS by Googleを担当するEngineering DirectorのMiles Barr氏も登壇し、GoogleアシスタントやGoogle Fitとの連携を紹介しながら、PRO TREK Smart「WSD-F30」への期待を語った。

Wear OS by Googleを搭載したPRO TREK Smartシリーズは3機種が販売される