【2013 INTERNATIONAL CES】
NVIDIA、処理能力向上の「Tegra 4」――Androidゲーム機も
(2013/1/7 19:33)
米国・ネバダ州ラスベガスで開催される展示会「2013 INTERNATIONAL CES」に先がけ、6日(現地時間)、NVIDIAはモバイル端末向けの最新SoC(システム・オン・チップ)である「Tegra 4」を発表した。また、同チップを搭載したAndroidベースのゲーム機「Project SHIELD」も公開されている。
会見にはNVIDIAの社長兼CEO、ジェンスン・フアン氏が登壇。Tegra 4を「世界でもっとも高速なモバイル向けのプロセッサー」と語り、自信をのぞかせた。CPUはARMの「Cortex-A15」を4つ採用したクアッドコアで、同「A9」の「Tegra 3」よりもパフォーマンスが向上している。Tegra 3で12コアだったGPUも、Tegra 4では72コアと数を6倍に増やした。
Tegra 4の高いパフォーマンスを示すため、フアン氏はブラウジングの表示速度を比較。対象となったのはサムスン製のチップセット「Exynos 5 Dual」を搭載した「Nexus 10」。25のWEBサイトを開くのにTegra 4が27秒だったのに対し、Nexus 10では50秒かかっている。同様に、アップルの「A6X」を搭載した「第4世代iPad」、クアルコムの「APQ8064」を搭載した「DROID DNA(HTC J butterflyの米国モデル)」、TIの「OMAP4470」を搭載した「Kindle Fire HD」よりも速度が高いことをアピールした。
イメージ処理技術に注力しているのも、Tegra 4の特徴だ。「コンピュテーショナルフォトグラフィ・アーキテクチャ」と呼ばれる機能を備え、CPUやGPUなどと連携して処理能力を向上させた。たとえばHDR撮影では、合成するための写真を1フレーム0.2秒で撮影でき、被写体が動いてもブレを最小限に抑えることができる。ビデオ撮影や、フラッシュ撮影時など、さまざまな撮影でHDRを利用できるのも、こうした処理能力があるためだ。
省電力技術に関しては、Tegra 3と同様、「+1」のコアが搭載され、パフォーマンスを必要としない処理はこちらが担う。モデムを組み込んだワンチップになっていないのも、従来のTegraシリーズから変わっていない。オプションとして用意されるのが、NVIDIAが2011年に買収したIcera社が開発した「i500」で、サンプルの出荷も今月開始される。ソフトウェアモデムの技術を活用しているのが他社製品との主な違いで、「伝統的なモデムより40%小型化している」(フアン氏)。i500は、LTEにも対応する。
Tegra 4搭載Androidゲーム機
このTegra 4の処理能力を活かし、フアン氏が披露したのが「Project SHIELD」と呼ばれるポータブルゲーム機だ。同製品はTegra 4のほか、5インチ(1280×720)のディスプレイ、バスレス方式のスピーカー、コントローラーなどを搭載。HDMI端子や、microUSB端子なども備える。
OSは「ピュアなAndroid」(フアン氏)とのことで、Google Playからゲームをはじめとするさまざまなアプリをダウンロードできる。また、「NVIDIA GeForce GTX650」以上のGPUを搭載したPCのゲームを、ワイヤレスでプレイできる機能も備える。ただし、本製品はあくまでプロジェクトとして公開されたもの。価格、販路、発売時期などの詳細なビジネスモデルは明らかにされなかった。このほか、会見では、クラウドゲームのプラットフォームとして活用する「NVIDIA GRID」という高性能サーバーが発表されている。