ケータイ用語の基礎知識

第602回:GPU とは

 GPUとは、“画像演算処理装置”を意味する「Graphics Processing Unit」の略で、パソコンや携帯電話/スマートフォンといった機器において、画面表示するための主要な部品のひとつです。VPU(Visual Processing Unit)と呼ばれることもあります。

 これまではパソコン用の部品として扱われることの多かった「GPU」ですが、最近のスマートフォンやタブレットでも搭載されています。スマートフォンやタブレットでのGPUは、一般的には、アプリケーションプロセッサと同一チップ内に内蔵されて、さまざまなグラフィック処理を担当します。

 たとえば、スマートフォンで動画を再生する際、動画データの処理(デコード)や、カメラを使ったビデオ撮影時の処理(エンコード)など、コンピュータは数多くの演算を行う必要があります。GPUは、こういった演算処理の支援を行うのです。

 また、フリックに合わせて画像が移動する場合に、その画像データの移動(スクロール)処理や、画像の拡大/縮小といった基本的な処理、画像と画像を重ねて、下の画像がにじんであたかも本当に画像が重なったかのように見せる画像のオーバーラップ処理、3D的に画像を表示する処理など、その多くは、GPUが担当して画面上で表現されています。

「PowerVR」「GeForce」「Adreno」らがよく使われている

 スマートフォンやタブレットの場合、主要な処理用コンピューターである「CPU」には、おおむねARM系のプロセッサが採用されています。一方、グラフィック処理を担当する「GPU」は、複数の技術・製品が存在し、機種によって体感上の性能差や個性にも影響を与える要因の1つになっています。

 スマートフォンやタブレットによく使用されているGPUとしては、英Imagination Technologiesの「PowerVR」、米NVIDIAの「GeForce」、米クアルコムの「Adreno」が挙げられます。いずれも、メモリへの負荷が少ないことや消費電力が小さいという特徴を活かしたGPUです。

 これらのGPUはどういった機種に採用されるかと言えば、たとえば「PowerVR」は米TIのOMAPなどに、「GeForce」はNVIDIAの「Tegra」、「Adreno」はクアルコムの「Snapdragon」というようなCPUやチップセットと対になって、スマートフォンやタブレットに搭載されています。さらにこれらの内蔵GPUを4コア、8コア、12コアというように並列に置き、より高性能をアピールするプロセッサも登場しています。

 こうしたGPUを搭載することで、モバイル機器は、より高度な画面処理が可能になると同時に、主要コンピューターである「CPU」への負荷を減らして、省電力化も実現しています。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)