石野純也の「スマホとお金」

「iPhone 16」はワイモバイル/UQかApple Storeでの購入、どっちがお得?

 9月にワイモバイルから、10月にUQ mobileから、「iPhone 16」が発売されました。ここ数年、最新のiPhoneが発売された直後に、キャリアのサブブランドが1年前の標準モデルとして展開されてきたiPhoneを取り扱うのが恒例になっています。

 逆に言えば、最新のiPhoneをサブブランドから直接購入することはできません。例外はドコモで、同社はahamoやドコモminiも料金プランの1つという位置づけのため、どの料金プランでも最新のiPhoneを購入できます。

 これは、ワイモバイルやUQ mobileで直接端末を購入して契約したり、機種変更しようとした場合、最新モデルがiPhone 16になることを意味しています。どうしても最新のiPhoneとサブブランドの回線を組み合わせたい時には、アップルなどから購入したオープンモデルのiPhoneと組み合わせる必要があります。

24年9月に発売されたiPhone 16。ワイモバイルは25年9月、UQ mobileは10月に販売を開始した

では、どちらの方法で購入した方がお得になるのでしょうか。ここでは、サブブランドの扱うiPhone 16と個別にiPhone 17シリーズを購入する方法を比較していきます。

本体価格はメインブランドのiPhone 17より安め、ただし実質価格は……?

 ワイモバイルとUQ mobileが9月、10月に取り扱いを始めたのは、9月にアップルが発売したiPhone 17シリーズやiPhone Airではなく、1年前に主力モデルとして販売を開始したiPhone 16になります。

 ワイモバイルはソフトバンク、UQ mobileはKDDIが運営するサブブランドですが、最新モデルを販売しているのはメインブランドのみ。廉価モデルの「iPhone 16e」のような例外はありますが、おおむねこのような状況が続いています。

ワイモバイルは9月に開催した「シンプル3」の発表会で、「謎の新端末」の発売を予告していた。ふたを開けてみると、これがiPhone 16だった

 逆に、2社のサブブランドでは1年前に販売されたiPhoneを"安価な"最新モデルとして取り扱っていると言えます。1年前といっても、当時のハイエンド端末になるため、そこまでスペックが低いわけではありません。

 たとえばiPhone 16の場合は、チップセットに1世代前の「A18」を採用。カメラは超広角と広角のデュアルカメラで、メインカメラの画素数は4800万画素と、現行モデルと同じです。切り出しによる、光学品質の2倍ズームも利用できます。

チップセットはA18で、カメラコントロールなどのこの世代からの新機能にも対応している。Apple Intelligenceも利用可能だ

 iPhone 17が最大120Hzのリフレッシュレートになる「Pro Motion」や、常時表示ディスプレイ、さらにはiPhone 17 ProやiPhone Airと共通の「センターフレームカメラ」を採用したこともあり、少々見劣りしてしまう部分はありますが、パフォーマンスの高さでは依然として優位性のあるモデルと言えるでしょう。もちろん、アップル独自の AI機能であるApple Intelligenceにも対応しています。

 一方で、1年経ったことで価格はこなれてきています。ワイモバイル版は128GBモデルで14万5440円、UQ mobile版は128GBモデルで14万5400円です。

 これに対し、ソフトバンクが取り扱っているiPhone 17は最低容量の256GBモデルが15万9840円、au版は15万2900円。ざっくり言って、1万円前後高くなっています。最低容量が128GBから256GBになったなどの違いはありますが、1年前のモデルのため、より価格がこなれているというわけです。

ワイモバイル版、UQ mobile版はともに14万円台半ば。メインブランドが販売するiPhone 17と比較すると、やや安めに設定されている

 また、ワイモバイルとUQ mobileのどちらも、残クレ的なアップグレードプログラムを用意しており、毎月の負担額を抑えることができます。ワイモバイルは、「新トクするサポート(A)」で、25回目以降の支払いが不要になり、機種変更だと実質価格は月2930円、合計7万320円まで下がります。

ワイモバイルは、新トクするサポート(A)の対象

 UQ mobileも同様で、「スマホトクするプログラム」を利用することで、実質価格は月2847円、合計6万5500円まで料金が下がります。どちらのサブブランドでも、2年間で6万円から7万円でiPhoneが使えると言えるでしょう。

UQ mobileは、スマホトクするプログラムの利用で6万円台半ばの実質価格になる

 これをお得かというと少々微妙なところ。例えばソフトバンクの場合、iPhone 17の機種変更は2年間での実質価格を4万4012円に抑えているため、ワイモバイルのiPhone 16よりも安価と言えます。auもiPhone 17の機種変更をキャンペーン適用で実質6万5000円にしており、UQ mobileのiPhone 16と価格はほぼ変わりません。

最新モデルを単体購入する選択肢も、アップルも用意する分割支払いの免除

 もっとも、ワイモバイルやUQ mobileの2ブランドではiPhone 17シリーズの取り扱いがなく、回線契約に紐づけた新規契約や機種変更をしようとした際にはそもそもiPhone 17シリーズを選択することすらできません。

 iPhoneでもっとも新しいのはiPhone 16もしくは廉価版のiPhone 16e。サブブランドで料金が安いぶん、端末の選択肢も限られている格好です。

ワイモバイルの端末ラインナップ。最新のiPhone 17シリーズは扱っていない

 一方で、アップル自身もオープンマーケットモデル(SIMフリーモデル)としてiPhoneを販売しており、それらを購入して、ワイモバイルなりUQ mobileなりのeSIMを組み合わせて利用することはできます。

 この場合だと、端末はユーザー自身で購入してくる形になります。過去のiPhoneからeSIMクイック転送でeSIMプロファイルを移すなどすれば、手数料もかかりません。

 一般論として、アップル自身が販売するiPhoneは利益を乗せて販売するキャリア版よりも安く抑えられています。

 そのため、ワイモバイル版やUQ mobile版のiPhone 16と、アップルのiPhone 17では、価格の逆転現象も起こっています。アップル自身が販売するiPhone 17は、256GB版が12万9800円。15万円を超える2社のiPhone 16よりも、割安に入手できます。

アップルは、iPhone 17を12万9800円で販売している。ワイモバイルやUQ mobileのiPhone 16より本体価格は安い

 ちなみに、アップルで購入する場合でも、ペイディによる36回(3年)の分割払いができます。キャリアの購入プログラムより分割期間が短いため、1カ月ごとの支払額は256GBモデルで3605円と高くなってしまうものの、必ずしも一括で12万9800円を用意しなくてもいいのがメリット。

 さらに、iPhone 17シリーズには、24回の支払いを終えると残債が免除される「買い替えオプション」も用意されています。

36回の分割払いだと、1回あたりの支払いは3605円まで下がる
iPhone 17は、ペイディの分割払いで購入すると36回払い中12回の残債が免除される買い替えオプションを申し込める

 免除される金額は、iPhone 17の256GB版で4万3260円。リセールバリューの高いiPhoneの場合、中古店に売却した方がお得になるケースもありそうですが、いずれにしても、毎月の支払いを抑えつつ割賦で買い、なおかつ残価設定型ローン的な買い方も用意されているということは念頭に置いておきたいところです。

 ここでワイモバイル、UQ mobileのiPhone 16と比較すると、本体価格についてはアップルから購入するiPhone 17の方が安くなる一方で、買い替えオプションを使ったときの実質価格はキャリアよりも高くなります。サブブランドを使いたい、かつ毎月の支払いも抑えつつなるべく新しいiPhoneを買いたいというときの選択肢になりうることが分かります。

アップルも継続販売するiPhone 16、どちらで買うのがお得?

 なお、iPhone 16自体は継続販売モデルとしてiPhone 17シリーズやiPhone Air登場後も提供されており、アップル自身も発売当時よりも価格を下げています。128GBモデルは11万4800円。発売当初は、現在のiPhone 17の256GBモデルより5000円ほど安い12万4800円で、新モデルの登場に伴って1万円値下げした格好です。

アップル自身の販売するiPhone 16は、iPhone 17シリーズの登場に伴い値下げされ、現在は11万4800円になっている

 ただし、こちらは分割払いが24回とiPhone 17より回数が少なくなっており、毎月の支払額は4783円まで上がってしまいます。

 また、iPhone 17シリーズのような買い替えオプションもありません。実質価格を抑えるには、端末代を払いきったあと、自ら中古店などに売却する必要があります。

 1年の型落ちで、かつ2年後に売却するということは、発売時点から3年が経過している形になります。現時点で3年前のモデルであるiPhone 14は128GBモデルが5万円強。これは傷などがほぼない場合の下取り価格で、状態が悪いと4万円前後まで下がることもあります。

最新のiPhoneとは異なり、分割払いの回数は24回と少なくなるため、月額での支払いは高くなってしまう

 仮に5万円で買い取られたとすると、実質価格は6万4800円。ワイモバイルやUQ mobileの端末購入プログラムで買い替えた場合と、大きくは変わりません。より手間をかけず、事前に実質価格が確定していることを重視するのであれば、ワイモバイルやUQ mobile版はいい選択肢になりそうです。

 また、ここでは機種変更価格で比較しましたが、MNPだとワイモバイルが1万6500円、UQ mobileが2万9150円の割引が適用され、実質価格はさらに下がります。ワイモバイルは5万3760円、UQ mobileは2万4550円です。

 こうした割引まで考慮すると、サブブランドで購入するメリットが大きくなります。その意味では、2社ともiPhone 16を新規獲得の武器と考えていることがうかがえます。

10月24日にKDDIは割引を改定、iPhone 16の128GBが実質2万4550円で購入できるようになった
石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya