強大化する一方のG-SHOCKを離れて見直すシンプルCASIO腕時計「F-91W」


世界の平凡腕時計のチャンピオン「F-91W」(中央)。同様のデザインは、TIMEX(左)や、100均腕時(右)にも蔓延?している

 あまり意識しないうちに繰り返した衝動買いによって、あたかもBE@RBRICKのように自然に増える腕時計の最右翼がカシオ社のG-SHOCKシリーズだ。昨今は高級なG-SHOCKや多機能なG-SHOCK、ソーラーパワーモノなど、そのバリエーションの増殖スピードもきわめて速い。

 もう何十年も昔に初めて見たCM、G-SHOCK腕時計がアイスホッケーのパックがわりに叩きつけられても壊れなかったという映像は今も鮮烈に覚えている。結果として、筆者も多くのG-SHOCKをコレクションしてしまった。

 G-SHOCK腕時計は確かに素晴らしい製品ではあるが、昨今、そのスタイリングやデザインコンセプトは、過去にブランドとして獲得、確立してしまった「タフ」という歴然たる事実をただ上塗りするイメージの製品が多すぎる感じがする。

 ある面、タフさの究極を具現化したような「GXW-56」は、その頂点にあるタフイメージとともに、その先の行き場がないようにも感じてしまう。そんなことをぼんやりと考えながら、ウェブを徘徊していていた時に、古き好き時代だった頃のシンプルな“カシオデジタル腕時計”「F-91W」を見つけた。

 F-91Wは、「デジタル」という言葉が今よりもはるかに夢があり、可能性に溢れていた時代だったころの“奇をてらわないスタンダード・デザイン”だ。腕時計として、GXW-56とF-91Wの間に機能的な大きな違いはそれほど多くはない。

 GXW-56は、カシオG-SHOCKブランドの「タフ」というコアバリューに向かって忠実に創っていった結論だとは思うが、現在のG-SHOCKユーザーが製品に対して抱いているイメージの反映かと言うと、ファンの一人として複雑だ。

 タフという基本コンセプトの実現のために「鎧を重ね着した」GXW-56と、1991年の発売開始以来、ほとんどそのデザインを変えていないF-91Wは、どちらもカシオ社を代表するデジタル腕時計の東西のリファレンス・モデルだろう。

 F-91Wは、1991年以来、安定して世界中の市場で入手が容易、販売価格は安く、外装のパッケージ構造がシンプル、他のカシオ腕時計と比較しても、分解組立も極めて容易、装着していても誰も特に注目はされない。安価なわりに防水、ストップウオッチ、アラームなどの昨日も備えており、目立たなさ、入手の容易性もあってアルカイダが爆発物訓練に使うという噂があるほどだ。

 F-91Wを腕に装着して2週間、G-SHOCKとは違って装着していることをほとんど意識させない超軽量な感じと、適度な引っ張り強度を保ちつつ、ペラペラで、誰の腕にも極めてフィットする何の変哲もないシリコンラバーベルト――全ての感覚が世界のベストセラーになったG-SHOCKとは違うイメージだ。きわめて安価なF-91Wカシオデジタル腕時計だが、最近はメインの腕時計の1つとして毎日活躍している。


カシオF-91Wはデジタル時計の中の「平凡チャンピオン」だ大きくサイズの異なるGXW-56(上:88g)とF-91W(下:21g)約4倍も重さが違う。球規模で大型腕時計ブームだが、小さくてもF-91Wはピリリと辛いF-91Wはクラシカルなステーショナリーとの相性が抜群だ。気負いがない分、超現代的だとも言える



商品名実売価格購入場所
カシオ デジタル腕時計 F-91W1980円amazon.co.jp



(ゼロ・ハリ)

2012/7/18 06:00