サイバーかつクールでナイスな投影型Bluetoothキーボード

「TK-PBL042BK」

　タッチディスプレイが広く浸透し、折れ曲がるディスプレイや向こう側が透けて見える透過ディスプレイも実用化一歩手前。フロントガラスに投影するカーナビもあると言うし、いよいよ次は、空中に浮かび上がるディスプレイを期待してしまう。何もないようなところに映像が浮かび上がって見えるサイバー感あふれるギミックは、“永遠の少年たち”の長年の夢なのだ。たとえ35歳になっても。

　そんなわけで、4月にエレコムから発売されたPROJECTION Bluetooth Keyboard「TK-PBL042BK」は、まさしくその夢の一端がかなう、サイバーな一品。赤色のレーザー光を手元に照射して、そこに映し出されたキーに触れれば文字入力できるという、信じ難いが、しかし本当に文字入力できるキーボードだ。BluetoothのHIDプロファイルを備えている端末であれば利用でき、実際に筆者のMacBook AirとiPhone 4で使うことができた。

　一方、もう1台所有しているAndroidスマートフォンDIGNO ISW11Kは、HIDプロファイルを備えておらず、そのままでは利用できない。ただし、HIDプロファイルなしでも動作を可能にするサードパーティ製のアプリ「BlueKeyboard JP」を別途インストールすればOK。この場合はAndroid上のIME自体が「BlueKeyboard JP」になってしまうので、WnnやGoogle日本語入力、ATOKなど、使い慣れたIMEを利用できないのがちょっと残念なところ。

　「TK-PBL042BK」はUSキー配列。日本で一般的なJISキーボードとは主に記号の配置が異なるので、最初は少し戸惑ってしまうかもしれないが、慣れれば特に問題なし。きちんと平面に置いて正しく使用している限り誤認識もほとんどなく、わりと普通に実用できてしまう。本体のサイズはスマートフォンと比べて二回り以上コンパクトで、ポケットに入れておけるほど。おそらく大多数の携帯型折りたたみ式キーボードよりも小さいはず。さらに、キーボードとしてだけでなく、マウス代わりに使えるのも魅力的だ。特定のキーを入力することで“マウスモード”に移行し、キーボードが投影されている範囲内で指先を動かせば、その通りにマウスカーソルが動く。かなり大きいタッチパッドみたいな使い勝手で、2本指のスライド操作で画面スクロールできるなど、ジェスチャー機能を備えているのも今風でよい。

　気になるのは、通常ならあるはずのキーの凹凸がなく、手探りでタッチタイプできないこと。かなり頻繁に手元を見ながら入力することになる。また、打鍵時にキーを押し込めないので固い板の上だったりすると打鍵時のショックがストレートに指先を直撃したりもする。勢いにまかせて高速入力していると指先を痛めるかもしれないし、爪の長い人も注意しておきたいところだ。そして、指をキーボードに置くと即反応してしまうので、文章作成中に指をキーボードの上に置いて休むということができないのも、わりとキツいかもしれない……。

　投影場所のおすすめの材質は木や金属、とのこと。試しにガラス素材のデスクの上で試してみたところでは、見映えは美しいのだが、残念ながら認識してくれない。木製のデスクであっても、暗い色だと投影されるキーが見にくくなるので、使い勝手はあまり良くないだろう。白くて少し柔らかめの材質だと、見やすさ、入力しやすさともにグッドなのでは……。

手のひらにすっぽり収まるサイズ	MacBookのキーボードと比べるとこの小ささ
ガラス素材のデスクだと、写真ではやや見にくいが、実際は美しい見映え。しかし入力できない	木製でも暗い色では視認性はよくない。何か工夫する必要がある……

　ということで、「ないものは作るべし」がモットー……ではないけれど、ちょうど段ボールが山ほど余っていたので即席で専用キーボード台を手作りしてみた。できあがりは写真の通り。やっつけだが、安易にやっつけと言うなかれ。段ボールなので指先にも優しく、真っ白なコピー用紙を貼ったのでキーも見やすい。裏は粘着力の弱い両面テープを付けているのでしっかりデスクに固定できるうえに、iPhone 4を見やすく立てかけられる工夫も取り入れているのだ。でも、どうやって持ち運ぶのか、という点については聞かないでほしい。

ならば段ボールを使って……	専用キーボード台を手作り！
きちんとiPhoneを立てかけられるようにした	投影されたキーもはっきり見える
裏面の様子。やっつけ感はある。しかし、粘着テープでがっちり固定できるのだ	こうして快適なテキスト入力ができるようになった……

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