「極太」万年筆で使う、まっ黒なボトルインク「極黒」を買う!


テカッてるパッケージと「極黒」というネーミングに惹かれて衝動買い

  日本国内だけでも多くのバリエーションがある“万年筆のボトルインク”は、基本的には、インクと同じメーカーの万年筆に入れて使うのが原則らしい。製法やインクの粒子サイズ(粒度)や材料がメーカーごとにユニークで、最悪の場合、インクが万年筆の“インクの流れる道”を目詰りさせてしまう危険性があるかららしい。

 当然といえば当然だが、古くから万年筆とインクはその相乗効果で最大限の効果を上げるのが目的らしい。銀座伊東屋で偶然見つけたセーラー万年筆社の“ナノインク”を使用したという「極黒」(きわぐろ)という名前のボトルインクの堂々としたパッケージが気に入り購入した。

 案の定、パッケージの側面の但し書きには、「*セーラー製の万年筆以外には使用しないでください。」と明快に記されていた。道楽の安物買いで、自宅にはメーカー製のものや、雑誌の付録で手に入れた万年筆などがたくさんあるが、あいにくセーラー万年筆社製の万年筆は一本も持っていない。

 筆者がこの「極黒」インクを使いたかった万年筆は、プラチナ製の#3776「極太」万年筆だった。この際、純正推奨の但し書きを理由に一本も所有していないセーラー万年筆の気に入ったモデルを購入するものチャンスだったが、初志貫徹でプラチナ#3776「極太」に入れてみた。

 組み合わせた印象は、当初期待したとおり、粒子の細かな黒インキがふんだんにペン先から流出して、スムースな書き味は極めて快適だ。紙面に残るインキの量が多いために、紙質によっては乾燥するまでに少し時間がかかるが、時間が経ってみた文字は、本当に真っ黒で、サインペンで描いたようにくっきりと筆跡が鮮明だ。

 比較的大きな単票メモ用紙やB5以上の大きなノートなどに、大まかな企画書のポイントや、ToDo、イラスト等を自由に描くには最適の組み合わせだ。「極太」ペン+「極黒」インクの組み合わせは、ともするとサイン専用と思われがちだが、頭の中に展開中のアイデアやイメージをスピーディに外部に吐き出すための筆記具としては最高の組み合わせだと思っている。

 ほぼ同時にプラチナ万年筆社謹製の「カーボンインクBLACK」も購入してみた。実際に使ってみたが、鈍感な筆者にはそれほど大きな差は感じられなかった。こちらは他社の万年筆での使用に関して特に但し書きはなかった。しかし、プラチナ万年筆#3776「極太」の説明書にはプラチナインクの使用を前提にした記載がある。

 ほんの少し、セーラー社の「極黒」の方が売価は高く、逆に容量は少ないが、“ネーミング”と、ちょっとミーハーだが、見た目の“パッケージパワー”の差は歴然だ。今後のプラチナ社のリベンジに期待したい。

気に入ってるプラチナ社の#3776「極太」で使ってみたいと思った「真っ黒けの黒」を目指すのは万年筆メーカーの普通の企画開発行動らしい
「セーラー万年筆以外には使用しないでください」とツレナイ但し書きが……予想通り、プラチナ#3776「極太」万年筆とセーラー「極黒」インクのコンビネーションは最高だった


商品名実売価格購入場所
ボトルインク
ナノインク「極黒」(きわぐろ)
2100円銀座 伊東屋


(ゼロ・ハリ)

2012/6/26 06:00