本日の一品

満充電になると2本足で自ら離脱する「マンタン・デタッチャブル」

 ここ3カ月ほどで、満充電になると自ら2本の足を伸ばし、接続した機器を蹴ってUSBケーブルから離脱する奇妙なデバイスがネットで地味な人気を集めている。筆者もすでに、デザインや脚力の異なる数台を入手して遊んできた。

 その多くは中国系ECサイトで見つけた製品だが、今回入手したのは国内企業のエアリアが日本語パッケージで販売する、いわば準日本モデルである。この手の正体不明な製品には懐疑的だった人にも手を出しやすい選択肢が登場した。

ほぼ満充電で自ら離脱する小型アダプター

 この種の製品は、これまで呼び名が実にバラバラだった。「Full Power Power Splitter」「Full Charge Detachable」といった少々怪しい英語表記をはじめ、日本語でも「満充電時分離機」「満タン分離機」「自動切断アダプター」など、販売者が言いたい放題の世界である。

 しかし最近になって、ようやく名称も収束しつつあるようだ。筆者は独断と偏見により、短くて機能も想像しやすい「満電分離機」を採用することにした。

国内向けパッケージのマンタン・デタッチャブル

 今回購入したのは、エアリアの「マンタン・デタッチャブル MS-CDC140」である。パッケージには「ほぼ満充電で物理的に外れるアダプタ」と、機能がそのまま説明されている。Just MyShopでの会員価格は1799円だった。

 中国系ECサイトの類似品と比べれば1.5~2倍ほど高いが、日本企業が商品を選定し、日本語の説明や問い合わせ窓口を用意している。そのフィルタリング込みの価格と考えれば、十分納得できる範囲だ。

動作やモード、仕様を日本語で詳しく表示

 仕組みは極めて単純である。本機を介してスマートフォンやUSB充電機器を充電し、流れる電流などから充電完了に近い状態を検知すると、内部モーターとギアが作動する。そしてUSB Type-Cプラグの左右にある2本のアームが伸び、接続中の機器を物理的に押し出す。

 アプリも設定も不要であり、5~28V、最大5A、最大140WまでのUSB PD充電に対応する。アーム先端には比較的軟らかいPE素材が使われ、接触する機器への配慮もなされている。

プラグ左右の白いアームが機器を押し出す

 本体のボタンでは2種類の動作モードを切り替えられる。ホワイトLEDモードはスマートフォンやタブレット、パソコンなどの画面付き機器向け。ブルーLEDモードはモバイルバッテリー、イヤホンケース、小型家電など画面を持たない機器向けとされている。

 もっとも接続機器によって充電制御は異なるため、必ず画面表示が100%になった瞬間に動くわけではない。商品名が「満充電」ではなく、パッケージに「ほぼ満充電」と書かれているのも、このあたりを正直に表現した結果だろう。

ボタン操作で2種類の検知モードを選択

 届いた製品を、筆者が以前入手したKUWAJIAブランドの製品と並べてみた。外装の細部やUSB Type-Cプラグ周辺には多少の違いがあるが、基本的な形状と動作原理はよく似ている。

 興味深いのは背面だ。KUWAJIAには丸囲みのPSEマークらしき表示があるのに対し、マンタン・デタッチャブルにはない。そもそも本機のような低電圧DC機器は通常、電気用品安全法のPSE表示対象とは考えにくい。むやみにマークを並べず、必要な仕様だけを表示する国内版の姿勢には、むしろ少し安心した。

KUWAJIAと比較。背面表示にも大きな違い

 本機はスマートフォンだけでなく、イヤホンケースやスマートグラスの充電ケース、USB充電式腕時計、ミニカメラなどにも利用できる。筆者宅にある複数の機器で試したところ、ほぼすべてで期待通りに離脱した。

 多くの現代的なスマートフォンや充電機器には、もともと満充電後の充電を制御する保護機能が備わっている。そのため、本機がなければ直ちに危険という話ではない。そんな硬いことばかり言わず、満充電を物理アクションで知らせる変態ガジェットとして楽しむのが正しい付き合い方だ。

イヤホンやスマートグラスなどでも動作確認

 過去に購入した同種製品の中には、静かに抜けてしまい、動作したことが目で見ても分かりにくい奥ゆかしいモデルもあった。しかし、この種の商品に求めたいのは優雅さよりダイナミックさである。どうせなら勢いよく足を伸ばし、見ている人が笑えるモデルを選びたい。


満充電を検知しアダプター側から勢いよく離脱

 ネット上にはすでに多数の動作動画があふれているが、筆者も自宅で実演してみた。今回はスマートフォン側ではなく、ACアダプター側に本機を取り付けた。満充電近くになると2本のアームが伸び、マンタン・デタッチャブルはACアダプターから勢いよく飛び出した。

離脱後はケーブルにぶら下がり空中ブランコ状態

 脚力はなかなか強い。壁のACコンセントやテーブルタップで使う場合は、周囲に壊れ物がないか、落下やケーブルの反動でほかの物を巻き込まないかを確認した方がよい。今回も離脱後の本体は、ケーブルにぶら下がった空中ブランコ状態となった。

 もっと静かで確実な充電管理方法はいくらでもある。しかし、充電完了という目に見えない電子的な出来事を、モーターとギアと2本足で派手に可視化するところに満電分離機の価値がある。今後は脚力、効果音、イルミネーション、そして離脱後の着地まで競う製品が登場してもおかしくない。

 実用品としては少し大げさ、ガジェットとしては実に正しい。充電が終わるたびに本体が自ら飛び出す姿を見たい、そして誰かに見せたい。この無駄に物理的な楽しさこそが、マンタン・デタッチャブル最大の魅力なのである。

形も演出も異なる筆者所有の満電分離機たち
製品名発売元価格
マンタン・デタッチャブル
MS-CDC140
エアリア1799円
(Just MyShop会員価格)