本日の一品

一太郎そっくりの「ブック型セキュリティBOX」を買ってしまった!

 まだコロナ禍だった2022年の春ごろ、何か面白いモノはないかと相変わらずネットをブラついていてなんと真っ赤なパッケージが懐かしい、日本語ワードプロセッサー“一太郎”の2022年版をオマージュした「ブック型セキュリティBOX」を脊髄反射で買ってしまった。

大事なモノを入れて辞書やレガシーなアプリパッケージの様にカモフラージュするブック型のセキュリティBOX。懐かしい人には懐かしい赤い一太郎ボックスだ

 過去の経験から、脊髄反射的についつい買ってしまったモノは意外にすぐに使うこともなく、本棚や書庫などのどこかに死蔵してそのままということが多かった。予想通り1年近く死蔵していた、ブック型セキュリティBOXをまたしても思い出させてくれたのは以前買ったジャストシステムから、今年になってまた届いた販促メールニュースだった。

 けっこうデカくて、買った当時は置き場所に困ったのか緊急避難的に本棚の本の上に立てかけておいた。何度か探したのだが“一太郎は赤い”という昭和な刷り込みもありレガシーで目立たない大理石模様のケースカバーが本棚に馴染み過ぎていて再発見が遅れてしまった。本物の一太郎にその手のケースカバーがあったのかどうかも記憶にはない。

置き場所の問題か、迅速性の問題か……紙の辞書が減ってきている令和の現代……意外と家庭内でも収まりの良い場所が見つからない

 筆者のように、コンパクトな紙の辞書が自宅に1冊しかないようではケースカバーの“The New English Dictionary”というタイトルも極めて嘘っぽく見えてしまう。もちろん真面目な普通のご家庭なら、書棚での潜伏率は100%近いのかもしれない。

筆者や家族の好みが変態なのか、辞書に成りすましたブック型セキュリティBOXが浮いている

 さて、肝心のブック型セキュリティBOXだが一太郎“2022年版”であって2023年版ではない。筆者自身は本物の一太郎2022年版を見たことがないので、日本語ワープロの元祖“一太郎2022”とブック型セキュリティBOXのそっくり度がイマイチ分かっていなかった。実際にネットで探して比べて見た所120%そっくりだったというかそのモノだ。

一太郎2022のパッケージは知らなかったがネットで見て見たらそのモノだった
ブック型セキュリティBOXの内部は本物の紙をスタックして切り抜いたかのような凝りようだが外装のアプリパッケージのイメージとはミスマッチな感覚が……

 商品名の“ブック型セキュリティBOX”とあるように、使い道は海外のミステリー小説などに時々登場する大事なモノや時には小さな拳銃などを本の内部をくりぬいて収納し大多数の人の予想をあざむくのが、主たる目的のガジェット製品だ。

 ブック型セキュリティBOXの内容量は、なかなか大きなキャパシティが確保されている。実測したところ150×95×35mmくらいはありそうだった。一般家庭で重要そうな通帳や印鑑、キャッシュカードなどは楽にいくつも収納できそうだ。ただ、本体重量は900gなのでブック型セキュリティBOX全体を持ち逃げされる危険度は極めて高い。

 だが、大事なのは本物だと錯覚してしまうカモフラージュ度のデキだ。興味深いのはセキュリティBOXの周囲は、あたかも書籍や辞書のようにページがめくれるほど精密忠実に作られている。しかし表紙はワードプロセッサーである一太郎のパッケージである点はどことなく合点がいかないミスマッチ感だ。

 筆者は、この手のカモフラージュモノが子供のころから大好きだ。TVや映画ではよく見かける、植木鉢の下に自宅のキーを隠すシーンがそれだ。生まれた実家を除けば、ずっとマンション暮らしの筆者には子供のころからのそういった楽しみの体験はなかった。大人になってから、趣味で草木を植えた庭がある家などで使えそうなリスクと楽しみが半々のような“石型 隠しキーボックス”を買ってみたりもした。

屋外型のセキュリティ・ストーンはそれほど必要性も無いがついつい衝動買いしてしまうアイテムだ

 鍵を忘れてしまった緊急時のために、マンションや夜間は誰もいないはずの事務所などの外壁やドアに貼り付ける鍵付きキーボックスも、多少見掛けや安全性は異なるが“石型 隠しキーボックス”(鍵隠し石)の仲間だ。今回ご紹介しているブック型セキュリティBOXは、どちらかと言えば宅内用鍵付きキーボックスをカモフラージュしたイメージだ。

しばらく我が家でも使っていたパスコード入力や指紋認証、スマホで開くキー用の充電式セキュリティBOX。ブック型セキュリティBOXの進化系だ

 ブック型セキュリティBOXのボックスの蓋には、鍵付きキーボックスにもあるような3桁のダイアルと施錠開錠する為のダイヤルが備えられている。レガシーなタイプの旅行用トランクやダイアル式南京錠のように、使用に先立ち持ち主しか知らない3桁の開錠番号を設定する。

秘密の3桁のダイアル設定は極めて簡単だ。中途半端なパスコード解錠や指紋認証、スマホ解錠等を採用せずレガシーテクノロジーに軸足を置いているのが潔い

 設定の方法は一般的な3桁ダイアル錠前とほぼ同じだ。ブック型セキュリティBOXの場合は、蓋を開けてロックつまみをBと描かれた位置に押し込む。続いて蓋を閉じて開錠用の秘密の3桁の数字をセット。貴重品を入れて先ほどのロックつまみをAの位置に戻し蓋を閉める。最後に3つのダイアルを適当に回転させて終了だ。

 ブック型セキュリティBOXと、屋外で自宅の鍵を隠して自分しか知らない場所に置いて安全性を担保する、石型 隠しキーボックスとの共通点はカモフラージュ性能だ。石は石に紛れるとその効果を120%発揮するが、ブック型セキュリティBOXは辞書かレガシーなアプリケーションボックスに囲まれた配置関係でなければその真価は発揮しづらい。

我が家のブックコレクション系にはアプリのパッケージも、重厚長大な英語辞書もアウェイ感満載だ

 鍵のかかる日記帳なら見落とす人もいるかもしれないが、令和の時代にも関わらず昨今ではほとんど見かけることのない、パッケージソフトや大きな辞書の存在は返ってブック型セキュリティBOXが際立って目立ってしまいそうでなかなか落ち着かない。

 ブック型セキュリティBOXは、きっと外部からの侵入者からのプロテクトが目的ではなく家庭内の敵から一時的に目を眩ませるのが主たる目的だろう。筆者の世代ならあの一太郎の皮を被った“対家族戦用カモフラージュ金庫”と言うだけでウケは取れるかもしれない。

ほとんど見かけなったアプリケーションパッケージより現代にマッチするIoT系の大型テーブルタップ型やQi充電のできる大きめの宅内USBバッテリー、ネットワークカメラ型のセキュリティBOXがあっても良さそうだ

 後梁の将軍である王彦章の言葉に「虎は死して皮を留め人は死して名を残す」という有名な一節があるが、昭和な虎のような一太郎のパッケージも、令和の今では皮が大活躍する時代なのかもしれない。

製品名発売元実売価格
ブック型セキュリティBOX(一太郎モデル)ジャストマイショップ3998円