本日の一品

テクノロジー先行時代こそレガシーな「石型隠しキーボックス」の出番!?

 ICT系企業がクライアントやサーバー事業、そして関連サービス事業で頭打ちになってきた時に思いついたのがIoTビジネスだった。情報産業50年の歴史をゆっくりと振り返ってみれば、その登場は偶然ではなく必然でもあるIoT事業だが、いずれもまだまだ絵に描いた餅の世界で遊んでるレベルで一般社会への浸透や事業の拡大にはもう少し時間が必要だろう。

発売直ぐ導入したQrio。外出時のオートロック機能だけで活躍中

 かくいう筆者も日頃からのミーハーな無駄遣いがたたって、いくつかのIoT鍵系ガジェットをいろいろ買い込んでしまって毎日が後悔の日々だ。鍵には昔から屋外で使うモノと屋内で使うモノ、それら両方で使うモノ等、場所による分類手法もありそうだ。筆者が宅内でもう長く使ってるのがQrio Lockだ。あいにく筆者宅は1階玄関がオートロックのマンションなので、そもそも建物に入るのにも自室の鍵が必要だ。

 そんな環境なので、自室のドアだけがスマホで解錠出来てもありがたみは何も無い。Qrioはそんなこともすっかり忘れてうっかり衝動買いしてしまったモノだ。しかし自宅を出る時はホテルのドアのようにギ~カチャと音を立ててオートロックしてくれるのでワンコを連れて散歩に出る時や両手荷物の時にはなかなか便利だ。

左からYEEUUのK1 Smart Lock Box、NATO軍も使ってるABLOY社のアナログ鍵のスーパースター、クラウドファンディングで買った指紋認証で開く南京錠
鍵の隠し場所としては、令和の時代も植木鉢の下はベストポジションだ

 昨今は昔懐かしい南京錠にも指紋認証で解錠するものや、玄関先の植木鉢の下に隠すキーと同じようなサービスを提供してくれるIoT系ガジェットアイテムも登場してきている。K1 Smart Lock boxはまさにそれだ。家の外のドア付近に取り付けて置き、オーナーが事前登録した訪問客だけがスマホや指紋、パスコードで箱を空けて中に隠しておいた鍵などを取り出して使うことができる。

小規模店舗やオフィスなどで鍵などの受け渡しを可能にしてくれるセキュリティキーボックス。K1 Smart Lock Boxと同じだが100%アナログ。意外に出番は多い

 まあ、小さなオフィスビルなどで、最後に会社から帰る人が玄関の鍵をかけて、その鍵を番号ロックで守られた100%アナログ、100%手作業のセキュリティキーボックスに入れて玄関先にぶら下げて置くのと同じようなモノだ。違いは解錠手段が100%ネットワークと半導体テクノロジー、スマホアプリによることだろう。

 まだまだ中途半端だが1年ごとに確実な進化の感じられるセキュリティ鍵系のIoTアイテムだが、人を対象とするセキュリティの世界ならレガシーなモノにも学ぶべきモノや使っていて楽しいモノもまだまだ多い。

Aタイプの石型隠しキーボックス。単体での見た目は嘘っぽく見えるが周囲の環境が整うととてもリアルなのだ

 ネット通販ショップで「鍵」を検索ワードにしていろいろ探していた時に偶然見つけた「石型隠しキーボックス」という妙な名前の商品が今回ご紹介したいアイテムだ。色や素材、内部容量もなかなか色々なバリエーションがあり楽しい商品だ

早速、なかなかリアルな石型隠しキーボックスが届いた。
一般的なスマートフォンとのサイズ比較。かなり小さい
底面はABS系の引き出しがあり、外すと鍵などの収納空間がある

 ネットでポチって、実際に送られてきた商品をパッケージから出してみた。手に持った表面の感じ、重さ、全てがごく自然界にある石にそっくりだ。外形サイズは約8.0×5.5×4.0㎝。石の背面はABS系の白い蓋(引き出し)があり、そこを引っ張って開けて内部に部屋の鍵等を入れて花壇や路面に伏せて置いて、カモフラージュするためのモノだ。

残念ながら我が家のキーは溢れて収納しきれなかった
貯金箱やロッカーのキーなどは収納できる

 ところが残念なことに裏のくりぬかれた鍵収納部分のスペースがかなり小さい。実測すると55×30×18㎜だ。実際に自宅のキーを収納しようとしたらかなりの部分が溢れてしまう。実際に入ったのは貯金箱や旅行トランクの小さなキーくらいだった。しかし、その後ネットをくまなく探すともう少し大きめの商品も見つかった。

お札やメモリーカードなどを隠すことも出来る

 鍵だけにこだわらず広い視点で隠せて楽しく便利なモノをいろいろ思い浮かべてみたら、microSDカードや小さくたたんだ紙幣などは入りそうだった。実際にこの手のモノを収納して受け渡しするなら、小さなビニール袋に入れて収納するのが良いだろう。

実際に植え込みなどにそっと置いておくと上手く環境に溶け込んでくれる

 実際に近所の植え込みに「石型隠しキーボックス」を置いてみた。置いた本人は多少不自然な感じがするが、しばらく放置したまま、後で家族に見てもらったらなかなか自然で気付かないという意見なので安心した。

 そんな人が居るのかどうか分からないが、この道のプロが見たら、何かを隠していることが一目瞭然なのかもしれないが、うっかり取られても諦めの付く程度のモノを収納して置くなら、この「石型隠しキーボックス」はなかなか楽しい省電力アナログ100%のガジェットだ。

 IoT鍵は、ネットワークテクノロジーと極めて堅牢に設計された本体の2段構えで鉄壁の“守ってる感”を全面的に打ち出しているモノだ。盗もうとする人に理詰めで諦め感を抱かせるのが現代のIoT系のセキュリティ戦略なのかもしれない。

 一方、「石型隠しキーボックス」は、全ての人々がテクノロジーを信頼し溺れた時代に再登場してきた昔からある隠蔽手段の代表だ。節穴だらけの目を持ってしまった現代の人間という哺乳類の節穴を利用したレガシーでノスタルジックで、意外と安全で楽しいガジェットなのかもしれない。

製品名発売元価格
石型隠しキーボックス(Aタイプ)prendre1180円