本日の一品

名機の精神的後継作も! サンワサプライ製トラックボール2種

サンワサプライの「手首を楽に。」「絶妙に馴染む」を謳うトラックボール2種

 トラック野郎(トラックボール愛好家)諸氏の間で、今なお語り継がれる名機がある。かつてマイクロソフトから販売されていたTrackball Explorerだ。筆者も当欄にて紹介している。

 2005年の掲載と、デジタル業界では太古と言っていい時代の話だ。そして、これまでにも何回か他社から代替になりそうな機種が発売されてきた。もちろん使いやすいものばかりだったが、形状まで寄せてきているものはほとんど見られなかった。が、ここにきて精神的後継とも呼べる製品がサンワサプライから発売されたのだ。親指操作型も同時に発売されていたので、あわせてご紹介したい。

 本題の前にトラックボールとはなんぞや、のおさらいをしておきたい。ポインティングデバイスの一種で、マウス本体を動かす代わりに大きなボールを指で動かし、その動きがカーソルの動きに反映される。マウスのように本体を動かす必要がないので狭いデスクでも使用でき、移動量が少ないので手首やひじが疲労しにくいと言われている。人差し指~中指でボールを動かすものと、親指でボールを動かすタイプに大別される。機能的に大きな差異はないので、動かすときにしっくりくるものを選ぶのがよいだろう。

MA-BTTB179BK

「手首を楽に。」が売り文句のMA-BTTB179BK。こちらは親指操作タイプ

 最初に紹介するのは親指操作型のMA-BTTB179BKだ。パッケージで「手首を楽に。」と大きくうたっているとおり、エルゴノミクス形状が売りのトラックボールだ。手を置くと自然と親指がボールに、人差し指や中指が左右ボタンに行くような形状となっている。近年は、手に置いた時の角度が60度前後になるようなエルゴノミクス製品が主流で、この製品も60度と自然な手首の状態に近い角度付けだ。

側面、ボール側にボタンが2つと、カウントの切り替えスイッチがある
手を置くと手首に約60度の角度が付くエルゴノミクス形状

 人差し指・中指に左右クリックボタンがあるのはまあ普通だが、左クリックボタンのさらに上にスクロールホイールがあるのが特徴だ。普通のマウスなら左右クリックボタンの中央にあるのが一般的なので最初は戸惑ったが、ホイールにチルトスクロール機能があるため、横方向へのスクロール操作は中指より人差し指の方がやりやすい。最初は奇抜な配置と思ったが、存外に理にかなった設計になっている。

裏面に電源と接続スイッチ。単3電池2本で動作
手を置くと手首は宙に浮く。人差し指のホイール操作は独特だが、操作はしやすい

 そのほかに、ホイールの押し込みと、親指下に2ボタンがあり、全部で5ボタンの構成。ボタン配置はユーティリティソフトのインストールで任意に割り当てができる。また、側面にはカウントの切り替えボタンがあり、一度に大きく動かしたいときや、細かくゆっくり動かしたいときなど、容易にスイッチできる。

MA-BTTB183BK

「絶妙に馴染む」が売り文句のMA-BTTB183BK。かつての名機の面影が……!

 続いては「絶妙に馴染む」が売り文句のMA-BTTB183BKだ。こちらは人差し指・中指でボールを動かすタイプとなる。先述のMA-BTTB179BKはボール径が約34mmなのに対し、こちらは約44mmと大きい。本体もそれに応じて大きくなっている。MA-BTTB179BKは手のひらまでが乗るようなサイズ感だが、こちらは手首までどっしり乗せられる。

大きめのボールを人差し指で操作する。親指の位置にボタン2つとホイールが配置されている
手を置くと、手のひらはすべてボディの上に乗る。筆者の場合、手首が机に接地する

 べたっと手首まで平たく乗せるので、手首の角度は従来のマウスに近いものがあるが、やはり可動範囲が狭いので通常のマウスに比べると格段に楽な印象がある。ボタンは親指側に左右クリックとスクロールホイール、薬指と小指にも2ボタンが配置されているので、全ての指を無駄なく使える。親指の割り当てが3ボタンになるが、実際に使ってみれば忙しない印象はなく、自然な操作感だ。ユーティリティソフトでボタン割り当てが変更できるのは同様である。

 こちらもカウントの切り替えができるが、MA-BTTB179BKとは異なり本体背面にボタンがあるため、とっさに切り替えができない点には注意が必要である。またホイールの押し込みはあるものの、こちらはチルトスクロールは設定されていない。

裏面に電源と接続スイッチのほか、カウント切り替えスイッチも配置される。こちらは単4電池2本で動作

 特筆すべきは名機・Trackball Explorerの精神的後継と読んで差し支えない形状だろう。あいにく経年劣化で廃棄してしまったため手元に残ってないが、おおむね同様に使えると思って差し支えない。かつての名機を知るトラック野郎の多くには、ようやく代替機種が現れたと思えることだろう。

 いずれの製品も静音スイッチを使用しているので、クリック音がほとんどしない。静音スイッチはクリック感が弱く、ムニュっとした押下感になりがちだが、本製品は自然な押し心地に感じた。今回はBluetooth版を購入したが、専用USBドングルをつかう2.4GHz帯版や、有線版もあるため、環境に応じて選択できるのも嬉しいところだ。

 なにより、かつての名機を彷彿とさせる製品の販売に、最初に見たときは驚きと興奮を禁じえなかった。昔を知る人にとっては細かい部分の差異が不満に感じるかもしれないが、筆者としては後継が上市されたことを素直に歓迎したい。ベテラントラック野郎も新人トラック野郎も、一度はお試しいただければと思う。

いずれも甲乙つけがたい操作感。どちらをメインにすべきか悩ましい
製品名発売元実売価格
MA-BTTB179BKサンワサプライ4318円
MA-BTTB183BKサンワサプライ6373円
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