本日の一品

トラック野郎待望のモバイルトラックボール2種

 ここ最近、トラックボールの新製品が立て続けにリリースされている。トラック野郎(トラックボールポインティングデバイス愛好家)としてはありがたい限りで、定期的に発売してくれる各社には足を向けて寝られない日々が続いている。足を向けられない先の一つ、エレコムよりモバイル用途向けの小型トラックボールが、それも2種類同時に発売された。どちらも魅力があり迷ったが、迷ったときは両方だ、という先人の教えに従った。今回は2種とも紹介したい。

トラック野郎待望・エレコムのモバイルトラックボール"bitra"2種

 そもトラックボールとは何か。ポインティングデバイス、いわゆるマウスと同種の道具にあたる。マウスとの違いは、本体を動かさない事。トラックボールは本体を動かさず、ボールを動かしてカーソルを移動させる。机の上で移動しないため、机上のスペースを有効に使える。製品タイプとしては、人差し指・中指を使って操作するタイプと、親指で操作するタイプに分類される。狭い業界ながらここで派閥争いが生まれがちなのだが、エレコムの解は「両方ラインナップする」である。

人差し指操作タイプ。側面に3つ、ボールの奥にもう一つボタンがある
親指操作タイプ。普通のマウスのように、ホイール左右にボタンが2つ。ボール下部にボタンが2つある

 今回紹介する"bitra"の共通する基本性能としては、5ボタン(ホイールの押下を含む)、分解能の切り替え(750/1500カウント)ボタンつき、Bluetooth接続、単4電池1本で駆動する点。いずれも2.4Ghz帯を使うバージョンもラインナップされており、USBドングルを使って接続するタイプも選択可能だ(今回は両方ともBluetooth版)。また静音ボタンを使用しているため、クリックしてもホイールを動かしてもカチカチ音がしない。静かな環境で使用するにはうってつけだ。

裏面に電源ボタンと、Bluetoothのペアリングボタン。親指タイプは、ボールの取り外しボタンも
専用ケースがついている

 サイズはいずれも奥行きおよそ9cm。幅は人差し指タイプが約6cm、親指タイプが約7cmとなっており、いずれも十分にコンパクトで、成人男性の手であればすっぽりと隠れてしまう。重量は人差しタイプが83g、親指タイプが77gで、これは操作するトラックボールの大きさによるものだろう。親指タイプは指一本で操作するので多少小さくても操作に支障はないが、人差し指タイプは人差し指・中指の2本で操作することが多く、ある程度の大きさがないと操作しにくい。とはいえ持ってみても重さの違いはほとんど感じない。

親指タイプは、本体に手のひらをどっしり乗せると使いやすい(写真は対比のため、手のひらを浮かせている)
人差し指タイプは、手のひらを浮かしてつまむようにすると操作しやすい

 実際の操作感は、人差し指タイプは手のひらを少し浮かせて操作するとしっくりくるのに対し、親指タイプは手のひらを本体に乗せると操作しやすい。どちらがより優れているというものでもなく、これは好みにより選択すべきものだろう。個人的な意見では、人差し指タイプは繊細な操作がしやすいが、手のひらを浮かせているためやや疲れやすい。親指タイプはどっしり操作できるが、繊細な操作にはやや不向き、と感じる。あくまで個人の感想なので逆の印象を持つ人もいると思う。

本稿の執筆風景。いずれも同じ端末で同時に使っているが、こんな使い方をする人はいないだろう……

 普段デスクトップで使用しているトラックボールはいずれも大きいものばかりで、モバイル向けにしても使いづらくなるなのでは、という懸念を持っていたが、いずれの製品もすぐに慣れてしまった。最近は出先で原稿執筆することも多く、我慢して小型マウスを使っていたが、狭い机上での作業時に窮屈な思いをしていたが、それも解消された。出先で快適に作業したいなら、ぜひ考慮いただきたい一品である。そしてぜひ購入して、トラック野郎人口増にご協力いただきたい。

商品名販売元購入価格
bitra 人差し指操作タイプ/親指操作タイプエレコム各6987円