本日の一品

ビール缶のフタを切り落とす「Draft Top」を買ってしまった

 ビール好きな人なら最近のネット動画で一度は見たことがあるかもしれない「Draft Top」(ドラフトトップ)という新商品がある。缶ビールの上面のプルトップ面をプルトップを引っ張ることなく全面カットしてフルオープンのジョッキの様な解放感を創り出す超クールな米国生まれの缶切りの仲間だ。

YouTubeなどの動画を観ると超簡単そうなDraft Topだがそれなりにコツや準備が必要なことは余り知られていない

 クラウドファンディングで登場した米国版も国内に並行輸入され早くから売られていた。今回、筆者が手に入れたのは日本規格の缶サイズに最適化した製品だ。

オリジナルの米国版もその後登場した日本版もクラウドファンディングの応援購入でスタートしたDraft Top
日本の缶にチューニングし対応した

 米国からの輸入版が人気を博したのでにわかに買った人はきっと国内のビール缶対応で苦労してるのかもしれない。国内規格に対応しているkibidango storeのDraft Topのパッケージには「日本版」「日本規格版」「350~500mlサイズの日本缶に対応”等とパッケージのあちこちにそのアドバンテージが一杯記載されている。

 プロモーションビデオを見る限り、きちんと缶開けのお作法や手順が説明されている動画もあるが、多くは、冷えたビール缶をクーラーボックスからワイルドに片手で取り出し、もう一方の手でDraft Topを握りしめて、缶の上部に当てて、キコキコとひねるだけ。次には蓋が取れてジョッキ状になったビールをグビグビ飲んでるという構図だ。実に大雑把なアメリカンなノリだけの雰囲気だ。

 さて、実際にはどんなプロセスなのか、筆者も現物を使って早速やってみた。

 表面を見ていても缶を切り開けるメカニズムは全く分からない。裏側にひっくり返すと内部には4つの周囲が少し鋭利な丸いカッター刃がある。連動したハンドルのを引き出し、次に押し込むと4つの丸いカッター刃が同時に外側に向かって広がってゆくのが分かる。

 Draft Topは、飲料系のアルミ缶のプルトップ面の浅い窪みに、まずハンドルを引き出して4つのカッター刃を繋ぐ円を最小半径にしてはめ込む。

 次にハンドルを握る。

 広がろうとする4つのカッター刃がアルミ缶の周囲の低い壁に当たるまで握ってその位置でDraft Topをねじることでアルミ缶の上部の内側側面を浅くカットする仕組みだ。缶を抑えるほうの手は缶の中央部分では無く強度のある底面付近が良いだろう。

片手でハンドルを握って内部の4個の丸い刃を外側に広げて捻る

 何度かやっていると徐々にコツが分かってくるが、実際にはそれほど強力な握力やねじる力は要求されない。どちらかと言えば軽くひねるという説明がピッタリ。筆者を含め動画を見た多くの人は、握力で捩じってカッター刃で切り取る“缶切り”のイメージを想像していると思うが実際は全く違う。

 Draft Topは、ねじるだけでは缶ビールのプルトップ面を切り落とすことはほぼ不可能だ。実際のカットの様子を紹介している動画を見れば分かるが、第一段階はDraft Topとビール缶を両手で持って軽くねじって、アルミ缶のプルトップの内側の壁に刻み傷を付ける。そして第二段階の処置として、プルトップを指先やハンドルの広がっている柄の部分で押し込んで缶の中にフタの部分を落としてしまうのが正しい手順だ。

ねじるだけで、缶切りのように缶のトップが完全に切り離されるわけではない。ある程度ねじってから、最終的にはDraft Topのハンドルか指先でを使って缶のトップを内部へ落とす

 詳細な動画を見て、筆者も自分の想定と大きく違うことをその時初めて知った。勢いで買ってしまったのであまり文句は言えないが、Draft Topは、まず「フタを切り落とすタイプの缶切り系ではない」そして「トップを大きく開けるためにカット溝を事前に付ける役目がDraft Top」であり、「プルタブの付いたプルトップをフルオープンにするにはフタを缶の中に落とし込む作業が必要」ということだ。

 世界中の人が”消毒第一のコロナ禍”を過ごしたかどうかは別にして、別の動画では、Draft Topをプルトップにあてがう前に、プルトップ上を綺麗に消毒する。という0番目のけっこう手間のかかるプロセスが説明されている。確かにビール缶のプルトップがこれから飲むビール缶の中に落下してしまうのが前提なら綺麗に消毒してもし過ぎることはないだろう。

 ということで、灼熱の太陽を浴びて、速攻でビール缶を開けて飲みたい季節に、極めてスピーディでクールなDraft Topの多くの動画はピクピクするくらい魅力的だが、実際には、「プルトップの消毒」「Draft Topでキコキコ擦って傷つけ作業」「ハンドルの柄か指先を使ってプルトップを缶の中に落とし込む作業」、それらが完了してやっと飲むことが出来るというけっこう長いプロセスがの必要だ。

 Draft Topを器用にキコキコやっている貴方を見ている仲間が”クールだ!”と言ってくれるような腕前になるまでには短いと言われている今年の夏が終わってしまいそうな不安を感じてしまう。もちろん全てのビールのプルトップは事前にまとめて消毒しておこう。

 また缶の中に落ち込んだトップや缶側の切断面は不器用な筆者の場合、それほど安全なカットになっている感じはなかった。調子に乗って自慢の為にうっかり指先でゴシゴシしない方が良さそうだ。十分コツを理解して3つのプロセスを分断なくクールに出来るようになるまではまだまだ修行が必要だ。

筆者が不器用なのか捻って切って中に落ちたフタや缶の淵はそれほど安全な感じはしなかった

 Draft Topはビール好きの夏のクールなエンターテイメントと割り切って使い、一連の作業のクールさを競うには楽しいアイテムなのかもしれない。ただ筆者の知る限り、切り取ったフタが缶の中に落っこちる飲料系はラムネ以外に見たことが無かったのでけっこう驚いてしまった。

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