手描きデバイスが登場したころから、そのほとんどを使ってきた筆者だが、2022年6月になって「Surface Duo 2」が期間限定で割安な価格になっている知り、いつものヨドバシ・ドット・コムで通常より数万円以上安いお得な値段で手に入れた(編集部注:7月1日時点で値引き販売は終わっている)。ブランドはマイクロソフト社のSurfaceだが、Android 11搭載のタブレットモデルだ。
届いてすぐに手書きを、と考えたが、肝心のスタイラスのスリムペン 2は別売、ペン専用充電器も別売、本体保護のコーナーバンパーも別売ということで、結局はまたすぐに何万円かの追加出費となってしまった。しかしSurface Duo 2は、筆者が2世代に渡って愛用の連続2画面のGalaxy Z Foldとはまた違ったなかなか良く考えられた面白いデバイスだ。 ペン系の周辺デバイスが届いた日にさっそく充電してMicrosoft OneNoteとPost-itアプリで、適当に手書きで文字や絵を描いてみた。ところが、ここ何年か経験したことのないような“ガラス板にボールペンで描くよう様な余り馴染みのない感覚を味わった。とにかく液晶画面上を気持ち悪いくらいペン先が滑るのだ。
筆者の普段使いの手書きはレガシーなアナログのAmazonスタンダードのリーガルパッドや文具好きの仲間と一緒にツバメノート社とコラボして企画制作したThinking Power Notebookの両者だ。加えて電子デバイス系はE-Inkパネル搭載の富士通QuadernoやBOOX Nova Air C(カラーモデル)等を日々並行的に愛用している。 ご存じのようにE-Ink系のデバイスの多くはペンにバッテリ非内蔵のワコムの電磁誘導方式(EMR:Electro Magnetic Resonance)を採用しているものが多い。本体側に多少コストが必要な反面、ペン側は安価だ。それ故、サードパーティ製のペンも多く、充電不要でペン先の素材のバリエーションも多い。粘度の高い濃い鉛筆系から硬質な感じのする鉛筆やボールペン系迄その書き味にチョイスの幅がありユーザにはたいへん嬉しい製品だ。 残念ながら、今回、筆者が手に入れた「Surface Duo 2」は今のところデザイン的にもサイズ的にもマッチするペンは筆者の購入したスリムペン2だけのようだ。オマケにこのペンには今のところ筆記時のタッチ感の異なる交換芯は発売されていない。
筆者が数年前に使っていたSurface Pro 4の時代には出荷時のペン先をユーザがお好みで交換できるエラストマー系やポリアセタール系の芯先が4本セットになった純正オプション交換芯が素晴らしかった。ネットで調べて見たら現在も継続発売されているようだ。 ところが今回のSurface Duo 2では同社が販売しているオプションの交換芯は出荷時のデフォルト芯先がチビてきた時の交換用保守パーツだけの様だ。製品企画担当者の対市場感度が低いのか気合の差なのか、あるいはDuo 2は手書き筆記に余り重点を置いていないのか、いずれにせよマイクロソフト社の製品だけでは解決がつかないことだけは確実だった。 幸いにもSNS上で、「ガラスにボールペンで描く感じ」と、あわせてオプションの芯がないことを投稿したら、いつもいろいろアドバイスをくれる知人から紙に書いているような感覚というコピーの「ペーパーライク保護フィルム」があると紹介してもらった。
昨今の一部のスマホメーカの様に出荷時からスマホやタブレットに保護フィルムが張り付いている場合は別にして今迄、自ら保護フィルムを貼ることは皆無だった。しかし既に背に腹は代えられない状況まで追い込まれていたので今回は速攻で注文した。 さっそく、送られてきたペーパーライク保護フィルムはガラス(つるつる)の対極付近にある、“ざらざら”に限りなく近い製品で非反射系の保護フィルム。それほど手先は器用では無いが、一度だけフィルムと液晶の間に小さなゴミが入ってやり直したが、それほど問題なく左右両面を無事に貼り終えた。
ペーパーライク保護フィルムはDuo 2の両画面を隅から隅までカバーするサイズでは無いが、中央のヒンジ寄りの狭い縦長エリアを除いてほぼ全画面をカバーしてくれる。確かに無用な反射が少なくなり画面も少し見やすくなった感じだ。 肝心の画面タッチのイメージだが、当初の、ガラスにボールペンで描く感覚はほぼなくなり、筆者が普段使っているE-Inkデバイスの富士通Quadernoにフェルト系ペン先を搭載しているサードパーティ製のEMRペンで描く雰囲気にかなり追いつきつつある感じだ。
書き味に、ざらざらとまではいかないが、それに似た筆記感があるので、スリムペン 2の芯先の減りは保護フィルムを貼る前よりも早いかもしれないが、そんなことはどうでも良いと思えるくらいの改善だった。
Surface Duo 2は物理的にはGalaxy Z Fold等と異なり非連続の2画面スマホだが、ユーザチョイス(設定)による同時に使いたい関連アプリの左右液晶同時起動等、今迄無かった提案のある極めて面白いAndroidタブレットだ。一刻も早く他のSurfaceモデルのペンの様にエラストマー系やフェルト系芯材を使ったスリム2用の交換芯を発売して欲しいものだ。 商品 | 価格 | 販売 |
ペーパーライク保護フィルム | 1650円 | PDA工房 |