本日の一品

ノートパソコンからくり抜いたようなデザインと使い心地――「LIFEBOOK UH Keyboard」を試す

 クラウドファンディングサイト「GREENFUNDING」で12月24までキャンペーンを行っていた「LIFEBOOK UH Keyboard(以下UHKB)」が届いた。

 主にUMPCで使うことを想定しているが、せっかくなので、スマホやタブレットでも使いたい。スマホと接続できれば、わずかなスキマ時間でも長文を入力しやすそうだし。

 ……と思ったのだが、なんとAndroidには非対応だという。一応、Bluetooth接続はできるし、Galaxy Z Fold3 5G側でも「テキスト入力」用という認識をされているし、文字入力の必要な場面でソフトウェアキーボードが表示されないので、外付けキーボードとして認識されているような気配はあるのだが、いくらキーを叩いても入力できない。

 そこで、Smart Keyboard Folioを持っているのだが、ちょっと入力しづらいなぁと感じていたこともあり、iPad Pro 12.9(第4世代)に接続してみることにした。

 その前に、UHKBの概要を紹介しておこう。

 UHKBは、タイピングしやすさで定評のあるFMV『LIFE BOOK UHシリーズ』のキーボード部分だけを取り出したモバイルキーボードというのがコンセプトでデザインされており、クラウドファンディングの実行者は本家本元、富士通クライアントコンピューティングだ。

 出資者向けのパッケージは特別仕様で、ノートパソコンを模した箱のキーボード部分にUHKBがはめ込んである。「よぉ~し、ノートパソコンからキーボードだけを取り外しちゃうぞぉ~」と、ひさびさにワクワクしながら開封の儀まで行ってしまった。

特別仕様のパッケージ
「あれれ、ノートパソコンのキーボード部分を取り外せちゃったよ」などと小芝居をしながら開封した
USB Type-A to USB Type-Cケーブル、USB Type-C to USB Type-Cケーブル、取扱説明書などが付属する
UHKBと接続するUSB Type-C端子はL字型。作業台が狭い、尊師スタイルで入力したいという場合に便利だ

 UHKBは、キーピッチ約19mm、キーストローク約1.5mm、サイズは302.6(W)×161.8(H)×10.9(D)mmと薄型で、重量は約350g(実測値では327g)。モバイルするのにぴったりなキーボードだ。

キーピッチの広さが魅力。それから分かりづらいのだが、「無変換」「スペース」「変換」キー以外は、微妙にキートップに凹みがあり(球面シリンドリカルキー)、指なじみが良い

 ボディはアルミ製で高級感があり、出先で見せびらかしたくなるような質感だし、サラサラとした触感が心地よい。これからの汗ばむ季節でも快適にタイピングできそうだ。キーボードには3段階の調光機能付きバックライトがあり、照明を落とした発表会会場などでも作業しやすそう。

バックライト搭載。実は「バックライトなんでいらないよ」と考えていた時期もあったが、バックライトなしのノートパソコンを使って困る場面を何度も経験して考え直した。やっぱりバックライト必要

 何よりありがたいのがタッチパッドを搭載していることだ。今までだと、キーボードのほかにマウスも携帯する必要があり、その丸みが荷物の中で変に場所を取っていた。モバイル用のマウスを買えばいい話ではあったのだけれど。

 タッチパッドのサイズは909(W)×404(H)mm。操作するのに充分な広さが確保されている。左右のクリックボタンはバータイプで、人によっては「細っ」と感じるかもしれないが、物理ボタンを使わずとも、タップでタッチできるので、個人的には問題ない。

幅広のタッチパッドと細いバー状のクリックボタン。光沢感がクール

 接続はBluetooth 5.0またはUSB Type-Cケーブルで。Bluetoothでは、タブレットやPC、スマホなど最大3台に接続できるマルチペアリングを採用している。接続端末を切り替えたいときには、キーボード右上にある物理ボタン(ペアリング先切り替えボタン)を押す。「1」「2」「3」の番号に振られているLEDが2秒ほど点灯し、どの端末に接続しているかがわかる。

ペアリング先切り替えボタンを押してペアリング先を切り替える

 対応OSは、Windows 10(64ビット版) / macOS 12 / iPadOS 15以降。なお、iPhoneでも最新 iOS 15.4.1 で動作することを確認した。接続する端末によってOSが異なるため、モード(キーマッピング)を切り替えられるのも特徴的だ。切り替えは、「Fn」+「F1」キーで行う。

 端末と接続するには、キーボードの電源を入れてから番号のLEDが素早く点滅するのを待って、端末側の設定画面から操作する。もし何らかの事情でキーボードのLEDが点滅していないという場合は、ペアリング先切り替えボタンを長押ししよう。点滅が始まって、ペアリング待機状態になる。

 有線接続する場合は、電源をオフにする。オンにしているとBluetooth接続になってしまう。

 実際に、iPad Pro 12.9(第4世代)にBluetoothや有線で接続してみたところ、キー入力だけでなく、タッチパッドによるポインタ(マウスカーソル)も遅延なく動作することを確認できた。

 とはいえ、2つの問題点がある。

 1つはiPad上からポインタが消失してしまうということ、もう1つはかな入力だと通常のJISキー配列どおりに入力できないというものだ。

 1つ目の問題、ポインタの消失であるが、接続直後ではUHKBのタッチパッド操作でカーソルが表示されているのに、文字キーから入力すると、それが非表示になり復活しない。タッチパッド上で指を滑らせると「ははぁん、今、ここにポインタが乗ってるな」というのがなんとなくわかるのだが……。

 これを解消するには、iPadの設定から「アクセシビリティ」「タッチ」「AssistiveTouch」と進み、その中の「AssistiveTouch」「オン」にしておく必要がある。しかし、そのままだと画面上にAssistiveTouchボタンが常に表示されてじゃまになってしまうので、同じ画面の下部にある「メニューを常に表示」を「オフ」にしておこう。

Assistive Touchはオンに、メニューを常に表示はオフにしておく

 ポインタの大きさ、カラー、スクロール速度などは、設定の中の「アクセシビリティ」「ポインタコントロール」から行う。タッチパッド操作を長時間行わないときにポインタを非表示にする設定もここから行える。

 さて、2つ目の問題である。手元のJIS配列キーボードを見てもらうと、ほとんどの場合、キートップにアルファベットや数字、記号のほかにかなが刻印されている。かな入力は、このかな文字を拾って入力していく入力方式だ。

 通常、「ろ」は右側Shiftキーのすぐ左にあるし、「へ」はDeleteまたはBackSpaceキーの2つ左隣に位置している。長音記号はDeleteまたはBackSpaceキーと「へ」の間だ。

 UHKBではそうはいかない。「へ」は長音記号の位置と「ろ」の位置の2カ所にあるし、なぜかShiftキーとの組み合わせで入力できる「ぉ」(「お」の小書き)は、なぜか「へ」の位置にある。

 以下に、かな入力時の単体またはShiftキーとの組み合わせで入力できる文字を図表化したものを掲載したので、参考にしてほしい。

白い文字のものが、通常のJIS配列で入力できるものと同じキー配列の箇所。赤い文字のものは、JIS配列で入力できるものとは異なるため注意が必要。なお、上側の文字はShiftキーと同時押しで入力される文字

 筆者はこれを覚えられる気がしないので、iPad Pro 12.9(第4世代)ではおとなしく純正のSmart Keyboard Folioを使うことにした。

 とはいえ、ローマ字入力の人であれば、断然使い勝手がいいし、市販化が決まったUHKB(市販品の製品名はFMV Mobile Keyboard)のほうが純正のMagic Keyboard(4万1580円)やSmart Keyboard Folio(2万4800円)より価格がほんの少しお安い(2万2000円)ので、選択肢に含めてみるのはどうだろうか。

違和感なし

 当初の予定ではAndroid端末にも対応するとの話だったので、ファームウェアアップデートなどでそれができるようであれば、Galaxy Z Fold3 5Gとモバイルディスプレイで、なんちゃってノートパソコンとして使いたいなぁ……と妄想ばかりがふくらむのであった。