本日の一品

短波帯対応ラジオを購入したら、バッテリーはケータイ界で懐かしのBL-5Cだった

短波帯に対応するラジオ、TECSUNのPL-330

 毎年3月11日を前にすると、防災に関する意識が高まると同時に“装備”が欲しくなる。筆者はラジオは好きなほうで、11年前の地震当日にも偶然ラジオを買っていた。そして、今年はなぜか短波帯のラジオを購入したくなったのだ。

 短波放送といっても過去のように遠く離れた異国のラジオ放送を受信するBCLが流行っていた時代とは違い、インターネットが普及し、ストリーミングで音声配信ができるようになると、か弱い電波を受信して海外の情報を得るという時代でもなくなっている。そのため海外日本語放送もだいぶ縮小してしまった。

 とはいえ、短波帯のラジオはある一定以上の年代には郷愁を感じるアイテム。短波帯のラジオがあれば海外放送の現地の電波に直接触れられ、さまざまな電波を受信できる可能性を秘めている。また、一部ではアマチュア無線の受信にも対応しているものもある。

 しかし、最近は日本メーカーからの新製品が皆無。中国メーカーが台頭し、新製品を送り出しているのも、中国メーカーが主という状況になっている。そこで、1台買って試してみたくなったというのも、今回、購入のきっかけのひとつになった。

 いくつか製品を調べていくと、今回購入したTECSUNのPL-330に出会った。短波帯のラジオでシンセサイザーチューナーを搭載し、周波数ずばりで選局できるほか、同期検波に対応し、SSBの電波形式でも受信が可能。それは、SSBで主に交信するアマチュア無線の受信や、電波干渉を受けたAM放送を少しは良好に受信できる可能性を持っている。

シンセサイザーチューナーなので、周波数を直接入力して受信できる
電子ダイヤルも付いており、これで周波数や音量を調整できる
外部インターフェースは充電とイヤホン、そして外部アンテナのみ

 購入は海外から直接購入してもよかったが、早く欲しいことと初期不良などの対応を考えて国内通販サイトから購入した。

 実際に使ってみると、価格的にも短波帯対応ラジオのなかでは普及機クラスということもあり、過度な期待はできないが、ちょっと便利なラジオという感じ。内蔵のホイップアンテナはあるが、短波帯をまともに受信しようとなると外部アンテナが必要になる。コンパクトで軽量ボディということもあって、音質は少々軽い感じなのは仕方ないところ。短波帯以外に国内では放送のない長波や、国内のいわゆるAM放送とワイドFMを含むFM放送にももちろん対応している。

動作するバッテリーは裏蓋の中にある

 さて、このPL-330の電源は乾電池ではなくリチウムイオンバッテリーを使う。交換も可能で、PL-330のバッテリーは「BL-5C」だ。どこかで聞いたことのある型番だと思うが、これはなんと、昔、ノキアのケータイにかなり広く使われていたBL-5Cそのもの。ドコモの「NM850iG」や現ソフトバンクの「Vodafone 702NK」などのノキアはもちろん、世界中でノキアのケータイといえばこのバッテリー、というほど使われていたバッテリーだ。

付属のバッテリーの形状、どこかで見たことがある

 ノキアのケータイがほぼ使われなくなった今でもBL-5Cの互換品が多く出回っているのは、ノキアと関係ない小型の電子機器のバッテリーとして広く使われているからということはなんとなく知っていた。ところが、短波ラジオまで進出、まさか自分が買う製品で使うとは思ってもみなかった。

付属バッテリーと手持ちのノキアのBL-5Cと比べてみた

 そこで、早速、保存してあったノキアのBL-5Cを探し出し、PL-330に装着してみた。恐る恐る電源を入れるとなんの問題もなく動作している。

ノキアのBL-5Cを装着! ラジオのバッテリーの指定はBL-5Cなのでこれが本来の正規バッテリーか?

 さらに調べてみると、BL-5Cとは明記していないものの、全く同一仕様のバッテリーを使っている機器はほかにも国内で出回っているようだ。

 BL-5Cは非常にコンパクトなバッテリーではあるが、その容量は1000mAh程度と、単4ニッケル水素充電池3本ほどに匹敵する。つまり、小型軽量ではあるが、乾電池タイプに劣らない容量を持っていることになる。

 なお、入手後しばらくして東京電力の電力逼迫が発生したが、そのときは、家中のさまざまな電気を消し、パソコンも消してこれでAMやFMのラジオ放送を聞いてみた。期せずして非常事態に役立ってしまったが、今後も短波帯ラジオは手放すことなく持っていたいと思っている。

製品名発売元実売価格
PL-330TECSUN9800円
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