本日の一品

ダイソーのワンコイン ミリタリーウォッチ
2020年7月13日 06:00
ミリタリーウォッチとチープカシオとは異次元の流れだったはずだが、ダイソーがワンコインのミリタリーウォッチを発売しだした頃から、筆者の頭の中ではボーダーが無くなりつつある。
ダイソーの腕時計を記事としてネット上でご紹介したのはもう遥か10数年以上昔だと思うが、もともとは店頭で買える100円ウォッチとして世に出たBLUE PLANETブランドがそのオリジナルだ。
アルカイダの自爆テロ学校の卒業記念として軍からプレゼントされたという噂で関心を集めたCASIO F-91Wのなんちゃって版腕時計としてデビューしたBLUE PLANETブランドは今も存続する。
チープなイメージでは、先輩ブランドであったはずのF-91Wはチープカシオの代表的リーディングモデルとなり、今や安いネットショップでは1000円をアンダーする勢いだ。
そんなチープウォッチの世界に於いて、そろそろ必要なのは、従来のチープウォッチとの機能的な差別化とストーリー(うんちく物語)だ。しかし、原価100円以下のクォーツムーブメントを採用してもコストをある程度抑えようとすると、機能強化はなかなか難しい。
チープ性をキープしながらストーリーを産み出すには、ウォッチフェイスなど外観上のリフレッシュ作戦での対応が得策だ。そんな背景があったのか従来の長く続いたBLUE PLANETブランドではない税別500円のアナログ表示クォーツモデル「MILI WATCH」(ミリウォッチ)が登場した。
ダイソーの腕時計の最大の意義はそれが100円で購入できたことだったが、今回のミリウォッチはなんとその5倍の500円もする高額モデルだ。しかし原材料費や製造コストのアップする昨今、500円腕時計と言えども、もうほとんど余裕は無い。
オリジナルのTIMEX社のミリタリーウォッチも、時刻表示機能優先で、カレンダー表示は無し、本体はチープなプラスティック製、ベルトはナイロン製のNATOベルト系が本物の証だ。ミリタリーウォッチという使い捨て腕時計に目を付けたところはさすがにダイソーだ。
ベゼルのサイズは昨今のスマートウォッチや大型のアナログ腕時計などの直径45㎜サイズでは無く、伝統的な腕時計で採用されている直径38㎜なので女性がしても違和感はない。
文字盤デザインも視認性を最大限要求するミリタリーウォッチなので、ビジーさを排除したシンプルデザインが本物だ。
実際に500円ミリウォッチを買って2週間、隔日に使ってみたが、ほぼ1週間は週の秒誤差が限りなくゼロに近かった。裏蓋に記載されている腕時計データを見てみると、駆動バッテリーは腕時計ではメジャーなSR626SWだ。
驚いたのは、ムーブメントがセイコーSII社のブランドライセンスでシンガポールで製造されているPC21Sを採用していることだった。ムーブメント単体はネットでも入手可能だが、約1000円前後、バッテリーのSR626SWは安くても1個で100円前後だ。当然と言えば当然だが、なんとダイソーの500円ミリウォッチは故障しても修理より新品購入の方が修理の半額以下なのだ。
さてミリタリーウォッチと言えば、夜間の視認性も重要な要素だが、500円ミリウォッチも、時刻のインデックス部分と3針には蓄光型の蛍光塗料のようなモノが塗られている。
ミリタリーウォッチの肝でもあり、実際にLEDライトを1分ほど照射して、その後部屋を真っ暗にして試してみた。もちろん比較対象も必要なので、筆者愛用の50年ほど前のRolex Explorer II(数年前に3針を交換)と並べて同じ条件でやってみた。
残念ながらミリウォッチは最初の1分ほどで発光しなくなってしまったが、最初はとても明るく光っていたので、単なる夜光塗料色のラッカーだと思っていたので正直驚いたり感動したりだった。
約1カ月ほど使ってみた結果、筆者的には、ミリタリーウォッチなのに、NATOベルトのぴかぴか光るシルバー金属パーツ(尾錠・定革・遊革)にはどうしても納得がいかず、以前入手していた別のミリタリーウォッチの黒塗装の金属パーツを採用しているNATOベルトに交換した。
出来れば黒マット塗装の金属パーツを使ったNATOベルトに交換したいのだが・・・交換ベルトを買う値段で、ダイソーのミリタリーウォッチが半ダース近く買えてしまうのでもはや洒落にもならない。
BLUE PLANETブランドの100円ウォッチでスタートし、300円ウォッチでメタルチープカシオに追いつき、ついに500円のミリウォッチを登場させTIMEXに迫ったダイソー腕時計には単に安いということだけではなくある種の気合を感じてしまった。
製品名 | 発売元 | 購入価格 |
---|---|---|
ミリウォッチ | ダイソー | 500円(税別) |