本日の一品
“スプリング式注射器”みたいなインク吸入式の“TWSBI GO”万年筆
2019年10月7日 10:34
JR上野駅構内にあるステーショナリーショップで面白い万年筆を見つけて、いつもの“通りがかりポチ”をしでかした。筆者の場合、ステーショナリーは、ホチキスのタマやセロハンテープ、スティックのりなどの実用常備アイテム以外のモノは脊髄反射系の衝動買いが100%だ。
今回は、店頭で眺めていた少しチープでカジュアルな万年筆の本体から、うっすらと透けて見えた骨太の“スプリング”が極めて個性的且つ印象的だったのが最大の理由だった。
一般的に万年筆のインク補充・交換の手段としてポピュラーなのは交換使い捨て型の(1)“カートリッジ式”。そして、それとは対極に位置するインクボトルから直接インクをバレル(胴軸)に吸い上げるクラシカルで伝統的な万年筆らしい(2)“吸入式”。カートリッジの替わりに同様のコネクターインターフェースにマッチしたインク吸入器具を利用する(3)“コンバーター式”の3種類がある。
“カートリッジ式”のメリットはインク交換のスピーディーさだが、デメリットとして、インクコストは多少上がり、そしてボトルインクほどの多様なインクカラーの選択が出来ない。
カートリッジ式の対極にある“吸入式”のメリットは、やはり多種多様なボトルインクを自由自在に選んで、インクの変化楽しめること。加えておおむねバレル内のインクタンクが大きく、一回の吸入でたっぷりとインクを蓄積出来ることだろう。
ただし、インク交換にはそれなりの時間と手間がかかり、うっかりインクボトルをひっくり返したりしたら大事だ。それらを面倒だと考えるか、万年筆を使う楽しみや“味”と考えるかで大きく選択は変わってくる。
“コンバーター式”はその両者の良いとこ取りをしたイメージではあるが、敢えてデメリットを言うなら、一回で吸い上げられるインク量がやはり少ないことだろう。
まあ、その時は一時的にカートリッジ派に改宗することで急場はしのげるが、万年筆のメーカーはインクの使用に関しては同一メーカー製を推奨することも多く、メーカーや色を変える時は、必ず完璧な洗浄を前提条件とすることも多い。
そういう意味では、万年筆とインク及びインクカートリッジは常に同一のモノを使用するのが正解だという考え方もある。ただしそれでは余りにも自由度が無く、市場に存在する多種多様なインクの使い道が無くなってしまいそうで残念だ。
今回、筆者が購入した“TWSBI GO”(ツイスビー・ゴー)というカジュアルな万年筆は、万年筆に無縁だった多くの人たちに使ってもらおうという点にフォーカスして作られた台湾生まれの安価な万年筆だ。
ツイスビー・ゴーは、一言で言ってしまえばスプリング式の注射器のような構造(プランジャー式と呼ぶ人もいる)でボトルインキを一気に1.5ml(一般的なカートリッジ容量の約2倍)もの多くのインクをバレルに吸入することのできる繊細な筆記具に豪快な機構を採用した興味深い万年筆だ。
押す時に親指の腹にかかるスプリングの反発度もかなり強力だ。実際にインクボトルからお目当てのインクを吸い上げる前に、何度か、片手に持って親指でスプリングを押す、緩める動作を繰り返し練習した方が良いかもしれない。慣れないうちにインクボトルからインクを吸入する時にうっかりスプリングを弾いてしまったりしたら大惨事だ。
筆者は、大昔から日本では人気のFine(細字)のペン先が性に合わないので、今回も中字のツイスビー・ゴーを買った。実際に筆者が長く愛用しているモンブランの太字万年筆と描き比べをしてみたが、ツイスビー・ゴーは極めてこしゃくだ。万年筆をコスパで選択、購入したことは無いが、もしコスパという選択要素があるなら95点以上だろう。
筆者の購入したツイスビー・ゴーはスモークなプラスティックボディにスプリングが透けて見える少し落ち着いた雰囲気だが、POPに遊ぶ筆記具が好みなら、ボディのもう少し透明度の高いモデルを選べば極めてクールな雰囲気になるだろう。
ツイスビー・ゴーは断面が円形で多少太目な胴軸だが、キャップにストラップホールの出っ張りがあり、キャップを取り付けている限り、机の上から転がり落ちる心配は無い。またストラップホールに適当な長さの紐を通して、オフィスなどでは常時首にかけておいてスピーディーに使うのも適している。
外装がプラスチック製で、重厚なイメージが少なくポップなトランスルーセントカラーモデルなどは、カチッとしたノートなどとはコーディネートしづらい雰囲気はある。マッチングを狙うなら、ツイスビー・ゴーのイメージとしては多少地味だが、筆者の買ったスモークなブラックなどが良いかもしれない。
商品名 | 購入場所 | 価格 |
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TWSBI GO SMOKE | アンジェビュロー(JR上野駅構内) | 3672円 |