スタパ齋藤のApple野郎

iPhoneで撮った写真、位置情報はリスク? 利便?

新しめのiPhoneの位置情報精度はと〜っても高い♪

 iPhoneなど今時的スマートフォンで撮った写真には、GPSによる位置情報を付加することができる。……って皆さんご存知ですな。

 iPhone上の膨大な写真の中から「あの1枚」を見つける場合、「いつ頃の写真か」「どこで撮った写真か」などから、絞り込んで見つけていくだろう。サムネイルをブラウズして見つけて行くには、たぶん大半の人は全写真の枚数が膨大過ぎる状態だと思う。なので絞り込み。

 そんなふうに絞り込んでいって、iPhone上の大量の写真の中から目当ての写真を見つける時に、この写真に付加された位置情報が役立つ。「確か伊豆とかで撮った写真で、一昨年だったか……」てなところから写真を探し出す場合、写真アプリのアルバムから[撮影地]を表示。地図上に写真のサムネイルが並ぶので、心当たりの写真をタップしていけば短時間で見つけられる。

 そうそうコレこれ〜♪ と、見つけることができる。……って、これも皆さんご存知ですな。

 そしてこの位置情報、今時的スマートフォンだとたいてい“ヒッジョ〜に高精度”である。特に通信圏内だとそうで、多くの場合で“写真を撮った立ち位置”まで正確だったりする。

 上の写真をMacの写真アプリで見たのが、下のスクリーンショット。撮影地……というか撮影した立ち位置は農道の道の端(北側)で、背後(南側)に小屋のようなものがある(他の写真から確認できた)。そして位置情報により示されたピンの位置は、まさにソコ!!!

 いや〜、わかっちゃいるけど検証するたびに驚かされるゼ、今時的スマートフォンの位置情報の正確さってヤツには。ちなみに、スマートフォンが受信しているGPSなど測位衛星のリアルタイム配置は、「GNSS View」のサイトやiOS/Androidアプリで容易に確認できる。

 ↑は、左がiOS版GNSS Viewの表示例で、中央は同アプリのAR Display表示。右はWeb版の表示例。ちょっと話が逸れたが、興味のある方はゼヒ!!!

住所が“ネットばれ”する!? 位置情報のリスクってどうなの?

 撮影者の立ち位置までわかる今時的iPhoneの位置情報精度。俺的にはこの精度の高さが大きなメリットってゅーか大きな喜びになっている。自分がいる位置や写真を撮った位置がビシッとわかるなんて、ステキっ♪

 だがしかし、こういう位置情報は危険性もはらんでいる。たとえば一昔前、ガラケーからスマホに変わりつつある頃は、写真に埋め込まれた位置情報などメタデータが“住所バレ”につながるなどとして大きな騒ぎになった。

 具体例を挙げると、スマートフォンで撮った写真をSNSに投稿して「おウチでくつろぐ愛犬でーす♪」とか書いた場合。写真に位置情報が含まれていたら、自宅で撮ったその写真から自宅の正確な位置がネット上に漏洩してしまう。SNSの閲覧者が悪意のある悪辣な悪人だったりすると、かな〜りヤバいってわけですな。

 あるいは、一連の位置情報付き写真を投稿した場合。写真には位置情報の他に撮影時間など各種メタデータが埋め込まれているので、撮影位置や撮影時間が漏れてしまう。場合によっては、撮影者の移動軌跡や行動パターンが知られてしまう。ストーカー的な悪人にとっては最高の情報になったりする。

 と、言うのは、一昔前の話。現在では、SNSに投稿された写真の位置情報などは全部削除されるのが運営側の常識となりつつあり、主要SNSならまず安心して大丈夫。フリマ系も同様。ブログ系はサイトによっては位置情報を残す設定にもできるので要チェック。WordPressなどを使って自前でサイトを作っているなら、EXIF情報(位置情報などの撮影関連メタデータ)を削除するプラグインをインストール・設定する必要がある。

 ちなみに、iPhoneで撮影した写真に埋め込まれているEXIF情報は以下のようなもの。撮影日時からスマートフォン機種名から位置情報までバッチリわかる。

 SNSに写真を投稿しても、撮影場所のネットばれが起きにくい現在においては、むしろ積極的にEXIF情報を残して活用したい、と俺は考えている。写真にEXIF情報が残っていれば、写真を整理しやすかったり後から撮影情報が得られたりして便利だからだ。

写真の共有はヤバい……かも!? サクッと位置情報を消すには?

 ただ、写真から位置情報などが漏れてしまうケースはまだまだ考えられる。たとえば写真をメールに添付して送ったり、iOSのAirDropを使って近くの人に写真を送ったりする場合である。SNSと違って、こういう方法で写真を渡すと、写真には位置情報を含んだ各種メタデータが残ったままになる。オリジナルの写真を相手にコピーすることになるわけですな。

 まあ、知らない人に写真を渡すわけではないので、わりと多くのケースで「位置情報ごと写真をコピーしても問題ない」ということになると思う。のだが、写真を渡した時点で、写真上の位置情報が漏れるリスクが高まったと考えたほうがいい。

 要は、写真を渡した相手が、その写真を意図せず漏洩させる可能性が出たということ。まあ「意図して」かもしれないが、自分の個人情報とも言える位置情報が、自分の管理下から外へと出てしまうわけで、当然、情報漏洩のリスクが高まるというわけですな。

 じゃあどうすれば? 最強なのは、そもそも写真に位置情報を付加しない設定にして撮影すること。iPhoneの場合は、[設定]→[プライバシー]→[位置情報サービス]で[位置情報サービス]をオフにするだけだ。

 この設定にすると写真から位置情報が漏れないという観点に置いては最強ではあるものの、マップアプリは使い物にならねぇわ無くしたiPhoneをリモートで発見する方法がねぇわでiPhoneの不便さも最強と化す。

 位置情報サービスのオンオフは、アプリ毎に設定可能で、もちろんカメラアプリだけをオフにすることもできる。のだが、上のスクリーンショットのとおり、位置情報サービスのオンオフを設定するには、メニュー階層をけっこう深く辿っていく必要がある。写真を撮るシチュエーションに応じてこの設定をいちいち変えるのは非常に面倒。

 それ以前に、今時的スマートフォンにおいて位置情報を使わないのは、やはりイロイロと不便を招きがち。「このアプリは怪しいから位置情報与えない!!!」というのはアリだが、位置情報の漏洩をただただ不安がってどんどん位置情報をオフにしていくと、やっぱりスマートフォンの便利さを削ぐことになる。

 要するにこの最強の方法は最高に使えねぇ方法とも言える側面があるので、ねぇ〜じゃぁもっと手軽な方法ないの〜? となるので、その手軽な方法をご紹介。

 非常に簡単だ。iPhoneで写真を共有するステップで、[オプション]から位置情報を含めない設定にし、その後に共有を行えばOK。

 写真を誰かに送信する(共有する)時、一瞬「位置情報を付けておく必要があるかな? 位置情報付けておいて大丈夫かな?」と考えて、位置情報が不要なら上のように設定するのがいい。「写真共有時は必ずオプションで位置情報を“含めない”に設定」と決めちゃうのも、まあ無難と言えば無難かもしれない。

 ……なんか、こういうメタデータの漏洩って、個人レベルならまだしも、在宅ワークが進む現在では企業レベルの部外秘情報漏洩にもつながりそうである。そういう観点でも十二分に注意したいところですな。

アプリを使えばEXIF情報の編集ができるョ!!!

 おまけ。写真に付加される位置情報を含めた各種情報(EXIF情報)は、自由に編集することもできる。ただし、そういった機能を備えたアプリを使えば、である。

 そこで俺が使っているアプリをご紹介。位置情報がない写真に位置情報を追加できるアプリはないものか……と探していて見つけたのが、「Exif Viewer by Fluntro」という370円の有料アプリ。位置情報付加の目的を達した後でも何かと便利に使えている。

 細かな設定ができつつ、位置情報のみの削除やEXIF情報の一括削除が可能。写真の位置情報のみ削除できるアプリはけっこうあるが、写真のメタデータを総合的&多角的にイジるにはこのアプリが非常に実用的だ。ちなみに、無料で使えるデモ版「Exif Viewer デモ Fluntro提供 & 写真」もある。

 このExif Viewer by Fluntro(有料版)での位置情報編集は、以下のような感じで行える。ピンを好みの位置にズラす程度で完了。写真の撮影位置を東京・多摩湖付近から南極大陸にしてみた。

 他のEXIF情報も手軽に処理でき、複数枚を対象とした一括処理も可能。iPhone写真のEXIFデータをイジりてぇ〜!!! という人はぜひチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。