
ソニーのNEXシリーズでお仕事♪
■ソニーのNEXシリーズでお仕事♪
今回のネタはソニーのNEXシリーズ。ミラーレス一眼のNEX-7とNEX-5N、それからHDビデオカメラのNEX-VG20だ。各機ともレンズ交換式で、レンズマウントとしてEマウントを採用している。ので、Eマウント対応レンズを各機で使い回せる。
武蔵野電波の業務用としてNEX-5Nを導入したら、コレが良かった。ので、さらにNEX-VG20も導入した。そしたらビデオのほーも非常に良かった。ので、個人的にNEX-7を購入。すると、もーこのNEX-7がすんごく良かった!!
結果、静止画や動画に関する業務の多くを、これらNEXシリーズで行うようになった。また、これらを使うことにより、効率良く仕事を進められるようになったと感じている。マジ感謝。もっと早く導入すればよかったなぁ、と。
というわけで、以降、各機の俺的環境における使われ方、その使用感などをレポートしてみたい。なお、画質や機能詳細に関しては、NEX-7についてはこの記事、NEX-5Nに関してはこの記事、NEX-VG20に関してはこの記事が詳しいので、そちらをご参照いただきたい。
■NEXシリーズに至るまでの顛末
まず、なぜNEXシリーズ野郎になったのかという顛末を書いてみたい。NEXシリーズの俺的使用感などを読みたい方はこの章読み飛ばしちゃってください~。
発端は、ナナオのFlexScan SX2462W-HXを2台買ったことから。詳細は省くが、ビシッと正しい発色のSX2462W-HXでデジカメ画像を精査していたら、いろいろ気づくことがあった。そこで「仕事用に使うデジカメの一部を変えようかな」と思ったのだ。
仕事用に使っているデジカメは、ブツ撮りや本格的な取材用にキヤノンのEOS 5D Mark IIを使っている。コレ最高。ワイヤレスファイルトランスミッターWFT-E4と組み合わせると無敵感急上昇。でもファインダー視野率100%だし高感度でもノイズが超少ないEOS 5D Mark IIIが出るから買い換えようかナ? とか思ったりも。
もう一台の仕事用デジカメは、パナソニックのLUMIX Gシリーズ。DMC-G1、DMC-GH1、DMC-G3と使ってきて、直近では再びDMC-G1に戻った。これらカメラ、仕事の猫撮影や取材に大活躍した。EOS 5D Mark IIなどと比べると非常にコンパクトで軽量だが、十分仕事に使える機能や画質がある。またストロボなど業務系機材との親和性も悪くないので、長年便利に使ってきた。
のだが、前述のとおりモニターをリプレイスしたら「やっぱりLUMIX Gシリーズの写真って発色が黄色に寄るなぁ」と再認識。でも、よく見ないとわからないレベルで、あからさまに黄色っぽくなるわけでもない。ちょっとレタッチすれば業務にも使えるのであまり気にしていなかった。
が、毎回仕事系撮影してモニター見るたび「ん~今回もやはり黄色に寄ってる」と気になり始めた。そこで「試しにキヤノンのデジカメを使ってみようかな」と考えた。LUMIX Gシリーズの代わりに使い始めたのは、PowerShot G12とPowerShot SX40 HSだ。
両機ともバリアングル液晶が使えて、ホットシューがあるので業務用ストロボと同調発行でき、マニュアル撮影モードがあるということで選んだ。それと、キヤノン製デジカメの発色にも信頼を置いていたってのもある。
主にストロボを使って猫を撮るために、これらカメラを使うんですな。使い方としては、各機にサンパックのPF20XDなどのクリップオンストロボを装着し、COMETのTWINKLE 02 IIなどと(フォトセルで)同期発光させて撮る。
で、PowerShot G12とPowerShot SX40 HSを使って猫撮影を行ったら、結果、イマイチであった。両機ともストロボ使用時のシャッタータイムラグが短くなく、「その瞬間」を撮るにはやや不向き。猫がおもちゃにパンチした瞬間とか、舌をペロッと鼻を舐めた瞬間とか、そーゆー猫雑誌読者が大好きだと思われる写真を狙いにくい。
ただ、発色は非常に良好だった。実際LUMIX Gシリーズで撮ると、必ず「黄色みを抑えるためのレタッチ」が必要だったが、キヤノン両機だとそういった手間があまりかからない。「なるほどー。発色がより正しいと、レタッチの手間が減るなぁ~」と痛感した。
そんなところへ、武蔵野電波でNEX-5Nを導入しようという話が持ち上がった。静止画も動画も撮れて仕事に使える手軽な一台、ということで選んだ。そして導入して使ってみたら予想以上にイイ。このボディサイズでAPS-Cサイズのセンサが使えて(っていうかイイ感じのボケ味が得られて)動画もイケるって考えてみたらスゴいネ♪ てな感じに。
同時に「あ、もしかしてNEX-5で猫撮影したらイイかも」と思ったので試してみた。外部ストロボとの同調のためヘンなアダプタを使ったりして若干苦労したが、まずシャッタータイムラグの短さが非常に良かった。発色の正しさもグレイト。
しかしマニュアル撮影時の操作感がさほど良くなかった。また、俺の手にはちょっと小さいボディで、ホールドしにくい。不意に誤操作しがちでイラッとしがち。前述のとおり外部ストロボとの連携性もイマイチ。
このあたりNEX-7はどうなんだろう? と調べたら、まさに俺が求めている操作感や仕様であるっぽい!! ので思い切って購入!! そして使ってみたらコレ最高!! 色ヨシ速さヨシ操作性もヨシ!! 長年お世話になったLUMIX Gシリーズとは、この時点でお別れということになった。
それからビデオカメラ方面だが、これまで業務用途でソニーの ハンディカム「HDR-CX12」を使ってきた。プロトタイパーズやブレッドボーダーズの動画(SD)はほぼ全部コレで撮った。のだが、発色が黄色~緑にすこ~しだけ寄りがちで、音もいまいち良く拾ってはくれなかった。結局、動画編集時に色や音声の補正が必要になり、けっこー手間がかかった。
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ソニーの ハンディカム「HDR-CX12」。家庭用ビデオカメラだが、業務用途としてSD動画撮影用に使っていた | ソニーの「NEX-VG20」とEマウントレンズ「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」組み合わせて使用の図。絵も音もイイ!! | APS-Cサイズの撮像素子と高感度マイク。家庭用ビデオカメラのレベルを遙かに超えた品位の動画を撮れるのだ |
そこでNEX-VG20。マニュアル系撮影機能が比較的に充実しているし、レンズ交換可能だし、音も良く拾ってくれそう、ということで武蔵野電波機材として導入してみた。するとコレがまた非常に良い結果に。SD映像を撮っても解像感の高さが即わかるし、オートホワイトバランスも良好。これにより、動画編集時にかかっていた補正の手間がガクンと減った。
という感じで、現在の主力ビデオカメラがNEX-VG20に。主力カメラがNEX-7で、サブがNEX-5に。NEXシリーズで快適に仕事に臨んでいるというわけだ。
■NEX-7とNEX-5Nの用途と使用感
まずNEX-7だが、購入したのはNEX-7Kで、ボディとEマウントレンズ「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」のセット品。主に取材と猫撮影に使っている。
で、俺的使用感の結論を言えば、ちょっと代替品がないレベル。操作感、携帯性、機能/性能どれも非常に優れている。サイコー。
ぶっちゃけ、使いにくさもある。たとえばUI。物理的なボタン操作に画面表示(アニメーション)などが連携したりする。カッコイイし、設定変更の度合いがわかりやすい。が、インパクト重視の気があって、アニメーションの表示位置と設定変更がなされたあとの数値表示位置がチグハグ。当初こういったところに扱いにくさを感じた。
それからαシリーズから受け継いだ風変わりなホットシュー。市販の一般的な機材を使うにおいて、このシューは不便だ。内蔵ストロボの性能は良好だが、このクラスのカメラに「とりあえず的なストロボを内蔵」するのも解せない。さらなる上位機種の予定があったりするのかな?
他にも細々と不満な点はある。のだが、UIは慣れちゃうし、ホットシューは市販変換アダプタで対応できる。そういった細かな難点を、操作感~携帯性~機能/性能のバランスで「どうでもいいこと」にしてしまうのがNEX-7のヤバさだと思う。
俺の場合は「NEX-7でしばらく行こう」と考えているわけだが、その理由は「以前より良くなったことが多々あるから」だ。総じて「仕事を効率良く進められるようになった」と感じている。
具体的には、まず画質と発色。当初は「有効画素数約2430万なんて過剰だし不要かも」と思っていたが、やや高感度にしてもノイズが少なく、APS-Cサイズの撮像素子からくる背景のボケ味なども良い。よりライブ感のある写真が撮れるようになったし、メモ写真の実用性も高まった───あとで写真内の図表などを拡大して資料的に見るのも現実的となり、使える仕事道具を得たという感覚で満足している。
仕事のひとつである猫撮影もラクになった。NEX-7は発色が正確で、たとえば特定の色に偏るようなことは感じられない。ので、撮影後のレタッチにかかる時間を大幅に減らせた。それとこのカメラ、シャッタータイムラグが約0.02秒と非常に短い(NEX-5Nも0.02秒)。あらかじめピントを合わせておけば「今だ!!」と思った瞬間にシャッターを切れる感覚。これにより猫の瞬間の動きをより小気味よく狙えるようになった。そして、猫パンチや猫ジャンプや猫あくびや猫テヘペロ(!?)の瞬間をより多く撮れるようになった。
操作性も非常に良い。使う人にもよるとは思うが、俺の場合はホールド感や重さ、ボタン類の操作性はどれも良好だと感じる。
ホールド感については、携帯時の容積をかなり抑えられる小さなボディなのに、グリップが大きめで手前に親指を当てる十分なスペースがあるため、かなりガッシリとホールドできる。安定してホールドできるので、各種物理ボタン類の誤操作も起きにくい。
物理ボタン類はどれもキッチリ精密に作られて押下感などが心地良いが、イケてるのがTri-Dial Navi。手前のコントロールホイール、シャッターボタン手前にあるコントロールダイヤルL/Rの3つのダイヤル類ですな。
Tri-Dial Naviのコントロールホイールは、上記のUIとの絡みで些細な残念感が残るが、コントロールホイールやコントロールダイヤルL/R自体の操作感は非常に良い。回すときに軽すぎず、体感できるクリック感もあって扱いやすい。とりわけマニュアル撮影/シャッター速度優先/絞り値優先の各撮影モードにおけるコントロールダイヤルL/Rの使い勝手は、値を変更しやすいし、少し慣れれば直感的に使えるようになるしで、すんごくイイ。
それと携帯性が非常に良い。ボディ+レンズ2本程度携帯するくらいならほとんど苦にならない。NEX-7の場合、とくに「背が低い」という点がイイ。ペンタプリズム部があるデジ一眼は、ペンタプリズムによる背の高さが携帯時の嵩張り感をUPさせちゃっていると思うが、NEX-7にはそれがナイ。スリムに携帯できて快適だ。
前述のように、NEX-7はAPS-Cサイズの撮像素子からくるボケ味が得られるが、これも大きな魅力のひとつ。要はデジタル一眼のような「いい雰囲気の写真」が撮れるのだが、携帯性と撮れる絵を両取りしているトコロが単純に嬉しい。
NEX-5Nだが、購入(武蔵野電波で導入)したのはNEX-5ND。ボディとEマウントレンズ「E 16mm F2.8」と「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」のセット品だ。
NEX-7と比べると、俺における「仕事カメラとしての貢献度」は低い。また物理ボタンやホールド感でNEX-7と大きな差があって、ハッキリ言って「気合入れて仕事に使おうとするとイラッとする」ような面が多い。
のだが、NEX-7よりコンパクトで軽く、携帯性が良い。外部ストロボと同期だとか、マニュアル系機能を快適に使うだとか、どんな状況でも確実にホールドして失敗を減らす、そういうコダワリがないのであればNEX-5Nのほーがずっとラクに使える。いつもプログラムオートやおまかせオート、たまには絞り優先オート、という感じなら、より軽快に使えるNEX-5Nのほうがいいように思う。
てのは実際にそうして使っているから。最初は「俺には合わないかも~」とか思ったNEX-5だが、撮ってみるとその画質はNEX-7とよく似ている。同等のレンズを使っているので、ボケ味も同等。デジタル一眼的な雰囲気の写真になる。あまり深く考えず、ISO感度AUTOで撮影モードをプログラムオートあたりにして、いつでも撮れるように手近に置いている。
そしてNEX-5で日常を気軽にスナップすると、狙ってでは撮りにくい写真が撮れたりする。朝起きて見たら猫が棚の上からこっちを見ていた、のをスナップ。送られてきた封筒のキレイな切手をスナップ。雲が流れる夕空をスナップ。「展示会に行くけど、一応オサエでNEX-5持っていこうかな」と持ち出して、気軽にスナップ。とかやってると、ブログなどで使える写真がけっこーたまってくる。写真自体は十分高品位なので、問題無く利用できる。
そんなあたりが俺におけるNEX-7とNEX-5N。仕事使いのNEX-7、普段使いのNEX-5N、てな感じだろうか。マウントやバッテリーが共通なのでレンズや電池も共用できるってのも、なかなかスッキリして良い。
■段違いの動画が撮れちゃうNEX-VG20
最後に武蔵野電波で導入したNEX-VG20。レンズが品薄だったため、最初にボディを導入し、後からレンズ単体SEL18200を追加導入した。
使用目的は業務系のビデオ撮影で、現在のところは専らSD動画を撮っている。HD動画はまだ業務で使う機会がなかったりしており、趣味的な撮影にとどまっている。
NEX-VG20は、ヒッジョーに画質が良い。これまで使ってきたハンディカム「HDR-CX12」の画質とは比べものにならない。てゅーか民生用ビデオカメラでこんな動画が撮れるなんて初体験であり衝撃!!
てのはまず、APS-Cサイズの撮像素子を持つビデオカメラなので、NEX-7などと同様に背景のボケ味を活かした雰囲気のある動画も撮れること。それに加え、SDでもHDでも動画の根本的な画質がスゴく良い。鮮明で精細で発色も良い。発色もほぼバッチリ。多くのシチュエーションでオートホワイトバランスが的確に機能してくれる。
また内蔵マイクで録った音も非常に高品位。場所によっては「音を拾いすぎる」のでセッティングに少々手間がかかるかもしれないが、場の雰囲気が音として克明に記録され、高品位な動画とともに再生される。そのライブ感溢れる動画を見ると誰もが「あ~画質イイですね~」と感嘆する。
ちなみに手持ちのEマウントレンズ3本、「E 16mm F2.8」と「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」と「E18-200mm F3.5-6.3 OSS」で動画を撮ってみたが、どのレンズで撮っても「フツーじゃないヤケに高品位な動画」が撮れてしまう。
あと、マニュアル撮影系の機能が充実している点。動画撮影時にシャッタースピード、絞り、ゲインを個別に手動調節できるので、たとえば画面全体を明るく飛ばして背景をボカシたハイキーな動画なんてのも簡単に撮れる。シャッタースピードを遅くして、動くモノがダイナミックにブレている動画、みたいなのも簡単。
基本性能が非常に高くて撮影時の自由度も高いビデオカメラなので、使い方をわきまえていれば超役立つ。たとえば俺の場合、NEX-VG20により撮った動画の編集が物凄くラクになった。NEX-VG20で撮った動画は画質も発色/オートホワイトバランスも秀逸なので、おかしな部分=補正が必要な部分が非常に少ない。また事前に「やや明るめに撮ろう」「音声はこのくらい絞ろう」といったマニュアル系撮影機能を使えるので、これもまた事後の補正の手間を減らせる要素になっていると思う。実際、動画編集、かな~りラクになり短時間で済むようになった。
ところで最近、レンズ交換式のデジカメでHD動画撮るの流行ってるじゃないスか。単純に思うのは「それならNEXにしちゃえば?」ということ。NEX-VG20なら、レンズ交換式でありかつ撮像素子がAPS-Cサイズでありかつ、内蔵マイクの感度イイし確実にホールドできたりする形状だし、レンズ資産をNEX-5NやNEX-7と共有できるわけだし、とか思うが、まあ人それぞれですな。
蛇足かもしれないが、NEX-VG20、手軽さという観点で見ればイマイチかもしれない。撮影自体は全部カメラ任せにすれば手軽でありオドロキの画質で撮れると思うが、カメラ自体が重めで大きめ。目的ナシで持ち歩く気にはなれない。
あと立ち位置によってはNEX-VG20が中途半端に見えるかもしれない。たとえば業務用方面からNEX-VG20を見ると、マニュアル系の撮影機能(IRISやゲインの調整)は、いちいちボタン操作をして小さなダイヤルを回さなければいけないのが面倒だし、操作の振動や音が撮影に影響しやすい。「できるだけ」で「快適にできる」ではない、と一蹴されてしまうだろう。でも、「そのくらいのレベルでできれば十分」という人にとっては「それでオーケー」となるかもしれない。
NEX-VG20はEマウントを採用しているが、厳密に言うと全てのEマウントレンズがNEX-VG20での動画撮影に向くわけではないとも言える。たとえば「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」を装着して撮影すると、レンズのAF動作音が録音されてしまうことがある。これに対し「E18-200mm F3.5-6.3 OSS」で撮影すると、そういう問題は非常に起きにくいようだ。
細か~いところまで見ると、NEX-VG20もまだ発展途上なのかもしれない。ただ、現時点で、レンズ交換式ビデオカメラとしてはシステム的にも価格的にもオンリーワン。基本性能も非常に高いので、用途に合うなら「買い」の機種だと思う。
さておき、以上が俺的NEXシリーズの用途と使用感である。NEXシリーズ、トータルでは「俺にとって近年希に見る満足度の高い機材群」だと感じている。ある意味、コストを抑えつつクオリティを追求できる機材だとも思うので、興味のある方は一度チェックしてみてほしい。
2012/3/12 06:00