思わず「HP Slate 2 Tablet PC」を購入!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


思わず「HP Slate 2 Tablet PC」を購入!!

 2010年の5月からiPad(Wi-Fi)を使い始め、翌年2011年2月にはGALAXY Tab(Wi-Fi+3G)も使い始め、さらにその年の5月には3G回線入りのiPad 2(Wi-Fi+3G)も使い始めた俺。その結果、初代iPad使用開始以降、ものすご~くモバイルノートPC(Windows)の使用頻度が下がった。

アップルの初代の「iPad」。64GBのWi-Fiモデルを購入した。この端末を買ってから、俺のPC生活に緩やかな革命が起き始めたドコモの「GALAXY Tab SC-01C(SAMSUNG製)」。約7.0インチ(1024×600ドット)Android2.2タブレットだ。これもよく使ったアップルのiPad 2。買ったのは容量64GBのWi-Fi+3Gモデル。色は白。現在も非常によく使っているタブレットだ。毎日必ず使用中

 iPadもGALAXY Tabも「データ閲覧」の常識を一変させた。ボタン一押しでパッと起動。指先でペペッと操作すればウェブページやファイルを参照できる。ケータイを使う感覚でウェブやファイルを見られる。モバイルノートPCを使用頻度が急激に下がった。

 しかしその一方で、iPadやGALAXY Tabでは「データ作成」の自由度が低いと感じられた。テキスト書いたりファイル作ったりするなら、やはりPC。でもな~いちいちノートPC持ち出してタッチパッドとキーボードでってのもタルいんだよな~、もはや。

 それに加え、iOS端末やAndroid端末(4.0を除く)だと、俺においては「PCに圧倒的に負けてる点」があった。複数あるが、ひとつはOneNoteがビシッと使えない点。もうひとつはChromeが使えない点。詳細は省くが、OneNoteの機能をフルに発揮させるにはWindows PCしかない。Chromeを使うには、MacやWindows PCが必須な感じ。

 そんなふうに悶々としていたところへ、こっそり登場していた日本HPの「HP Slate 2 Tablet PC」。存在を知った後、一瞬迷ったが、すぐさまポチッとな。

日本HPの「HP Slate 2 Tablet PC」。8.9インチワイド液晶を搭載した質量約690gのタブレットPC。Windows 7 Professionalを搭載する入力は指で画面をタップしたり、デジタルペンで書いたりして行う。ソフトウェアキーボードを使っての文字入力もまずまず実用レベルだ付属のデジタルペン。指でのタップ入力とデジタルペン入力の自動排他利用に設定することも可能。デジタルペンでの手書きは快適っす

 購入したのは「z670/8.9WT/2/64S/N/n/7PR/W/M/S Wi-Fi+3Gモデル」。すなわち「HP Slate 2 Tablet PC z670/8.9WT/2/64S/N/n/7PR/W/M/S Wi-Fi+3Gモデル」であり超長い名称なので、以降は「Slate 2」と呼びつつ、その機能や使用感をレポートしてみたい。


Slate 2のモバイル性能

 購入したSlate 2は、質量約690gで8.9インチワイドのタッチパネルを搭載するスレート型PCだ。操作は指によるマルチタッチなどと、付属のデジタルペンで行う。なお、このモデルのOSはWindows 7 Professional(32bit)で、プロセッサーはAtom Z670(1.5GHz)、メモリは2GB、ストレージは64GBのSSDとなる。通信機能はWi-Fi(11a/b/g/n)と3Gに対応している。

 なお、Slate 2のスペック詳細はこちら。そして本体各部の詳細はこちら

サイズは幅23.4×奥行き15×1.5cmで本体質量は約690g。液晶の画素数は1024×600ドット(WSVGA)であるPCとしての主要スペックはこんな感じ。Atom Z670のPCとしてはかなりの割高感があったりするのだが……プチ結論を言っちゃうと、所々で遅いが、SSD搭載のためか「遅いなぁ」という印象は少なかったりもする

 まずモバイルという側面での使用感。携帯性は上々ですな。大雑把に言えば、重さはiPad程度だが、よりコンパクトに携帯できると言う点で、モバイルしやすい端末だと思う。

 俺の場合は片手にSlate 2を、片手にペンを(もしくはその指で)、てな使い方でも問題ない。ただ、「iPadって片手で持つには重い」と思う人にとっては、Slate 2もやはり片手で使うには微妙にキビシい端末になると思う。

 それと、携帯時にはちょっとスッキリ感がないかも。Slate 2ではデジタルペンという非常に有用な入力デバイスを使えるが、このペンをどうやってSlate 2といっしょに携帯するかという点でシックリ来ない。

 Slate 2本体内にペンを収められるような機構はない。付属ケースにペンを挿すことはできるが、そこから抜くのもいまひとつスマートでない印象がある。まあ慣れもあるし、バッグなどのペン挿しに入れるという手もあるが……やはりSlate 2本体内にペン用スロットのようなものがあってソコに入れられればベストだと思う。

Slate 2には合皮製と思われる専用ケースが付属する。ケースでSlate 2を自立させられる。ケースには付属デジタルペンを収めるためのホルダー部があるが、Slate 2本体にはデジタルペン用スロットなどはない。非常に便利なペンだが、携帯時のハンドリングにモヤモヤが残る

 俺の場合、用途としてはウェブブラウザー(Chrome)とOneNote、付箋アプリを使ったメモ書きが主体で、不使用時はスリープさせている。ネット接続は主にWi-Fiで、たまに3G。アプリ利用においてはわりとライトな使い方だと思うが、こんな使い方で合計5時間程度は安心して使える感じ。ユーザーにもよると思うが、俺的使用スタイルならまあまあ一日バッテリーが保つという印象だ。

 それと、じつはIIJmioの「ファミリーシェア1GBプラン」の利用を(武蔵野電波で)開始した。ので、そのSIMをSlate 2に入れて使用中。Slate 2のみ持ち出せば、いつでもどこでもウェブを見られるしクラウドにアクセスできる。

 iPad 2やGALAXY Tabでもネットなどにはアクセスできたが、Slate 2はWindowsマシン。スリープからの復帰も速く、指やペンでササッと操作でき、多くのネット系サービスをフル機能で利用できちゃうしで、ちょっとゾクッとキた。急激にWindows 8およびその世代のスレート端末が気になり始めたりもした。


PCとしてのパフォーマンス

 Slate 2のプロセッサーはインテルのAtom Z670(1.5GHz)。俺は「Atom」って聞くだけで「うへぁ~遅そう」的な拒絶反応を示すヤツであるゆえ、前述のとおりSlate 2の購入を考えたときに「一瞬迷った」のである。このプロセッサでWindows 7を動かして速いわけはナイと思い込んでいたのだ。

 が、主要ストレージが64GBのSSD。この点で「SSDの速さに助けられて、恐らく起動後のアプリはフツーに使えるであろー」とか思い込んでみた。Slate 2の主な使用目的はOneNote(←アプリとして非常に軽い)とChrome(←これも軽いと思われる)の利用。たぶんだいじょぶっしょ!! とポチったのであった。

 結果、OneNoteやChromeの使用中はフツーに軽快。たとえばOneNote使用時、付属デジタルペンで手書きメモをサササッと取るような使い方をしてもストレスはない。Slate 2の画面表面はツルテカ系で、付属デジタルペンのペン先もツルツル系。書き味としては違和感があるが、それに慣れれば紙と同様のスピードで手書きできる。

 というあたりで、軽めのアプリを使うには遅さをほぼ感じさせないSlate 2。であるが、ときどき「あ~Atomね」と思わせる「遅さ」が見え隠れしたりもする。

 具体的には、起動があまり速くないアプリは、よりいっそう速くない感じになる。ってアタリマエですな。しかし、ホントに「ただでさえ遅いアプリなのによりいっそう遅い」のであり、かつ、指先やペン先で操作して起動するので、さらに問題が起きる。

 てのは「あれ? いまアイコンをクリックしたけど、アプリが全然起動しない。クリックをミスった?」というほど起動が遅いので、「じゃあもう一度クリック」してしまうのだ。実際、これを何度か繰り返すことがアリガチ。すると、アプリによっては二重三重に起動したりして。

 全部のアプリやユーティリティがそうではないが、こういう遅さがあるので、「いつも使っていてその起動~動作速度を体感しているアプリ以外では、じっくり様子を見ながら注意して起動したり使ったりする必要がある」と思う。フツーのノートPCやデスクトップPCで使っていて「少々モタつく」ようなアプリの利用は想定すべきじゃないかもしれない、Slate 2では。

 あと、文字入力に関してだが、これは思った以上に快適であった。Slate 2での文字入力は、ソフトウェアキーボードを指でタップしての入力や、付属デジタルペンでの手書き文字を認識させての入力を行える。もちろんBluetoothやUSBなどでキーボードやマウスをつなぐこともできる。

 指やペンでの入力だが、何通りかの入力メソッドがある。具体的には、Windows 7標準の手書き入力、Swypeソフトウェアキーボード、ExTOUCHのケータイ風入力などが使える。

Windows 7標準の手書き入力。手書き文字の認識率は大したモン級。Slate 2で使っても遅さは感じられない。個人的には「Slate 2でストレスなく書くなら、これがいちばんかも」と感じているSwypeのソフトウェアキーボード。コンパクトなサイズにすることもできる。そのままキーをタップして入力してもいいが、なぞるように入力すると高速で文字列を認識する入力方法も使えるExTOUCH。別途ダウンロードが必要だが、タブレットPCの指による操作をより快適にするためのシェル&ランチャ的なユーティリティですな。スマートフォンと同様のフリック入力も使えたる

 それぞれの手書き文字認識入力やソフトウェアキーボード入力を試してみたが、大雑把に言えば、慣れればどの方法もわりと快適だと思う。前述のように速くはない端末ではあるものの、文字入力~変換に関しては引っ掛かりや遅さなどはほぼ感じなかった。

 個人的に常用する入力方法は、Windows 7標準の手書き文字認識やソフトウェアキーボードだ。とりわけこの手書き文字認識は大した認識精度だと思う。けっこーメチャクチャな感じの手書き文字でも、前後の文字からの類推なども加わり、非常に高い精度で認識してくれる。修正や挿入も簡単なので、ちょっとしたテキストを書く場はヘタにソフトウェアキーボードを使うより、デジタルペンでの手書き文字を認識させたほうが効率が良いように思う。


主にブラウズするための端末として

 Slate 2のディスプレイは、8.9インチのWSVGA(1024×600ドット)表示。前述のようにデジタルペンにも指での操作(マルチタッチ対応)でも操作できる。

 で、購入前に気になったのはその解像度。iPad 2などが1024×768ドットなので、それより狭い感じ。しかも基本的にはWindowsなので、文字やアイコンの表示が細か過ぎて……などと危惧していた。

 そして、いざ使ってみたら、確かに文字やボタン類は小さくて扱いにくいこともあるのだが、データをブラウズするための端末としてなら悪くなかった。アプリ上で細々した要素を作るための操作性や解像度ではないが、調べる、閲覧する、ちょっとメモる、といった操作なら問題ないように感じる。

 たとえばウェブブラウザーの使用。Chromeを主に使っているが、ブックマーク一覧からそのひとつをタップするのにときどき失敗するとか、設定メニューの細かな操作にミスるといったことはあるが、ページの内容はキッチリ読めるし、リンクを辿ったりするのにも問題ないしで、フツーに利用できる。

画面は1024×600ドット。ファイルエクスプローラでの表示はこんな感じ。8.9インチの表示なので文字が細かくて読みにくいかもChromeでの表示。iGoogleですな。ブックマークなどの操作は、ターゲットが小さく行いにくいが、ブラウズ自体はとくに問題ナシ端末を縦にすれば表示も追従する。拡大縮小を指先で行えたりもするが、iPadなどのようにスムーズには行かない。やや残念な感触

 マルチタッチ対応のパネルで、拡大縮小などもできるが、追従性がいまひとつなのであまり多用していない。ただ、ブラウザー表示を指先でユニバーサルスクロールできたりするあたりは非常に便利。無理にマルチでタッチしなくても十分利用できると思う。

 それからSlate 2の購入理由のひとつであるOneNoteの利用。閲覧時はデスクトップPC上のOneNoteと同じイメージを参照できるので抜群に便利。またデジタルペンによる手書きメモも実用的。もう少し慣れたら取材時に本格的に使ってみようと思う。

Slate 2でOneNoteを使うの図。PC上と同じレイアウトで各ページを閲覧できるのは抜群に便利&ストレスフリーな感じ。速度的にも問題ナシ。OneNote端末としてバッチグーデジタルペンで手書きしているところ。もう少しキレイに書けば、正確に手書き文字認識できると思われる。筆圧に対応しているので、わりと人間味のある筆跡になっているSlate 2でSkyDrive上のOneNoteデータを見たところ。Cloud上のデータを閲覧するための端末としても好印象。Windowsマシンゆえ開けるデータに制限が少なく安心感が高い

 それから、デジカメ母艦としてはどうなのかな? と思って画像ブラウザーのACDSee Pro5を使ってみた。Slate 2にはSD/SDHC/SDXCカードスロットがあり、また連続駆動時間もわりと長いので、巧く使うとカメラマン向け端末にもなるかもしれない。

ACDSeeを起動したところ。その解像度ゆえサムネイルは小さめに全画面表示にしたところ。撮影後の画像確認などには十分ですなウェブブラウザーと同時表示……は、少々無理があるかもしれない

 てな感じのSlate 2。たくさん書くとかドキュメントを作るとかにはあまり向かない端末だが、主に閲覧するための端末としてはそーとーイイ♪ と感じた次第。また、使うアプリを工夫するなどすれば、手軽に持ち出して指やペンでササッと使えるフル機能のWindowsマシンという点で、魅力の多い端末だとも思う。

 個人的には買って良かったっス!! 現在は小型キーボードと組合せつつ、秀丸エディタとATOKをインストールして「原稿を書いてみたい」と画策中。巧く行けば取材スタイルを大きく変えるSlate 2だと思って若干コーフンしているが、しかし、話題になりませんなこのマシン。みんなWindows 8待ち? 俺はしばらくSlate 2でアレコレ挑戦してゆきたい!!


2012/3/19 06:00