ノートPC向けスピーカー2機種を試用
■ノートPC向けスピーカー2機種を試用
ノートPCをわりと多用する俺なんですけど、いつもつきまとう残念感と言えば内蔵スピーカーの音質。音質云々のレベルにすら至らない例のあのチープな出音ですな。大きめのノートなら多少マシだが、携帯を前提としたノートPCの音は……全滅状態と言えよう。
解決策としては、ヘッドホン/イヤホンを接続するか、あるいは外部スピーカーをつなぐか。フツーはヘッドホン方面でサクッと解決すると思う。が、リラックスして音楽を聴くとか、複数人数で楽しむにはやはり外付けのスピーカーが欲しいところ。
てなわけで今回は、ノートPCに外付けするに良さそうなスピーカー2機種を試してみた。両方ともロジクール製で、それぞれLogicool Laptop Speaker Z205、Speaker System Z320である。
Logicool Laptop Speaker Z205はポータブルスピーカー。ノートPC用で、かなり小型なのだが意外とイイ音を出してくれる。USBバスパワー駆動の利便もあり、サブノートやネットブックと一緒に持ち歩くならコレかも。
Speaker System Z320は汎用スピーカーだが、写真の印象よりもコンパクト。ノートPCと組み合わせて使ってもチグハグ感がない。独自の360°サウンド(オムニディレクショナルサウンド)は、良い意味で「ステレオスピーカーを大雑把に活用する」においてナイス感が高いかもしんない。
ともあれ以降、これら2機種の機能や使用感を見ていこう。
■携帯も利用もラクなZ205
まずはLogicool Laptop Speaker Z205(以下、Z205)から。ノートPCの液晶パネル額縁にクリップオンして使える小型のステレオスピーカーですな。
Z205のサイズは幅180×奥行き34.33×高さ64mmで重量は150g。テレビの小振りなリモコン……的な大きさ&重さだ | キャッシュカードと比べるとこんな感じ | このようなポーチ(付属)に入れて持ち歩ける。付属のUSBケーブルの長さは60cm。コネクタ部(ミニB側)が直角になっていて扱いやすい |
台座部分はクリップになっていて、20mm程度開く。液晶額縁が10mm程度までのノートPCになら問題なく装着できるだろう。もちろん、机上へ立てての設置も可能 | 液晶額縁にはこのようにセットする | 後方から見たところ。使用時は本体後方下部にUSBケーブルなどがつながる |
Z205には直径40mmのフルレンジユニット(スピーカー)が2基内蔵されている。最大出力は2Wで、周波数特性は210Hz~18kHz。PCとはUSB接続し、音声はUSB経由で送られ、電源はUSBバスパワーを利用する。ま、要はこの小さなスピーカーをPCとUSB接続すれば即ステレオサウンドを楽しめるっつーコトですな。
肝心の音質はと言えば、スピーカー自体が小型なので低音はあまり得られず、高音が目立つ感じ。だがチープな音というイメージではなく、アナウンスなどの音声は明瞭でバランスが良く、音楽を聴いてもまあまあ楽しめるし、ステレオ感もまずまずある。
さすがに重厚とか荘厳とかいうイメージの音楽だと「なんか軽い曲になっちまいますな」的な印象は残る。が、ノートPC内蔵スピーカーとは比べられないほど高音質だったりする。
拙者的印象は「こんなに小さくて薄っぺらいステレオスピーカーなのに、意外なほど頑張ってる」というもの。ロジクールオンラインストア価格が3980円となっているが、携帯性抜群&ソコソコ高音質なポータブルスピーカーとして、わりあい優れたコストパフォーマンスなのではないだろうか。
ともあれ、そのサイズや質量、音質、クリップのギミックを確認すべく、一度実機に触れてみるのがいいと思う。
■外部入力アリ、外部バッテリーでも一応動作のZ205
なかなかヤルなZ205、とか思ったのは、このスピーカーに外部入力端子がある点。このサイズのUSBスピーカーってコトでハナから「USB接続したPCからの音しか出せない」と思い込んでいたが、各種音楽プレーヤーなどの音も出せるのであった。
PC(USB)からの音声と、AUX端子につながったiPodなど外部機器からの音声が鳴る。なかなかイカス!! ……けど、もしかして排他利用? どっちか片方の音しか出なかったりする!?
と思って説明書を読んだら、「パソコンでメディアアプリケーション(音楽/動画)を実行しながら、外部音楽プレーヤー(iPodやMP3など)を再生することは可能ですか?」という設問があり、これに対する答えとして「可能ですが、推奨しません」とあり、さらに「外部音楽プレーヤーを機器ながら、ノートパソコンで一般的な作業をすることができます。Z205では、MP3プレーヤーやiPodなどで音楽を楽しんでいる間に、あらゆるプログラムのアラート音やサウンドを再生します」と書いてあった。
要するに、PC(USB)からの音も外部機器(AUX)からの音も、両方再生されるということですな。でも、理由はよくわかんないけどメーカー的には「推奨しません」となっている。ともあれ実際に試してみると、確かにどちらの入力からの音も同時に鳴る。なかなか便利じゃんZ205!! とか思った。
ちなみに、恐らく、これはさらにメーカーが推奨しない使い方だと思うが、Z205に汎用のUSBバッテリーをつないだら……と思って試してみた。結果、使えたりした。
メーカーが推奨しないというよりもメーカー保証外であり可能性としてはZ205の破損も考えられなくはないので自己責任でネ、的なトライだが、PCの代わりにUSBバッテリーをつないでも機能しちゃったZ205であった。USBバッテリーもしくはUSB ACアダプタと(自己責任で)組み合わせればPCがなくても使えるスピーカーになるって点で、Z205の拙者内部価値がさらに高まった気がする。
■みんなで使うのに向くSpeaker System Z320
それから汎用スピーカーであるSpeaker System Z320(以下、Z320)。サイズは幅89×奥行き145×高さ198mmで重量は1,140gで、電源をACアダプタから取る据え置きタイプのステレオスピーカーだ。ロジクールオンラインストア価格は5980円。
据え置きって点で、前述のポータブルスピーカーZ205とは利用シーンが異なるが、このZ320もノートPCやiPodなどの音楽プレーヤーと相性が良いように感じた。たとえば家の中、家族がよく居るような場所(リビングとか)にZ320を置いとくんですな。
そこにノートPCを持ってきた人は、ノートPC内のサウンドをZ320で鳴らせる。iPodを持ってきたなら……てな感じで共用のスピーカーとしてZ320を使ったりすると、なんつーか、こう、良い意味で「乱雑かつテキトーに使うスピーカーとしてZ320が便利」だと感じる。
そう感じる理由のひとつは、まず接続や操作が非常に簡単なこと。右側スピーカー下部のツマミが電源オンオフ~ボリューム調整になっていて、本体から伸びたケーブルの先に3.5mmのステレオプラグがあるだけなのだ。プラグをノートPCなりiPodなりiPad(先取りっ!!)なりウォークマン(古っ!!)なりのイヤホンジャックに挿し、ツマミをヒネれば使える。当然っちゃぁ当然のコトだが、こーゆー単純明快さは家族で共有する機材として実用的で良い。
もうひとつ、Z320に搭載されている360°サウンド(オムニディレクショナルサウンド)技術。ステレオスピーカーが本来持つスイートスポットを大幅に広げたことにより、室内のドコに居ても高音質で聴けるというものだ。
これを実際に体験してみると、なるほど自分の位置が変わっても、スピーカーから出てくる音の印象はあまり変わらない。不思議なことにステレオ感が大きく変化するという印象も少ない───逆に言えば、まあ立体的ではあるけれど、そのステレオ分離度が曖昧だという印象になる。もちろん、Z320の真正面に来れば「ここだな」とわかるスイートスポットはあるのだが。
言い方は悪いが、マジメにリスニング位置を追求する気などはそーんなに出てこないZ320。しかしソコがラクかもしんない───Z320の近くに居ればソコソコの音&何となくのステレオ感でリラックスして楽しめる感じなのだ。前述の操作性や接続方法と合わせ、やはり全体的に気楽に使えるZ320だと思う。
なお、音質は、低音も高音も少し物足りないかも!? という印象になった。が、音楽に集中するのが目的ではなく「もう少し音が良ければ楽しい」とか「みんなで聴きたい」という用途なら十分な音質だと感じられた。ともあれ、Z320の音質や360°サウンドの効果など、やはり実機で確認するのがいいだろう。
てな感じのノートPC向けスピーカー2機種。拙者的にはUSB接続でポータブルなZ205がかなり気に入れた。据え置きのZ320に関しては、ロジクール製品だけでも相当数の競合製品があるので、Z320だけの強力な魅力ってのに乏しい。一方、Z205には他社製品を含めても「ありそうでなかった機能/使用感」がポチポチと。小粒で地味ながらも、なかなかソソる魅力を持つポータブルスピーカーですな。
2010/5/10 06:00