iPodをクルマで使いたい!! 「KENWOOD KOS-A300」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


iPodをクルマで使いたい!! 「KENWOOD KOS-A300」

 コレは使えそ~だニャ!! と思ってケンウッドのKOS-A300を購入した。クルマでiPodなどのポータブルオーディオを使うための機器ですな。

ケンウッドのKOS-A300。iPodなどの音源と、クルマのオーディオユニットの間に入るインターフェイスで、既存のオーディオユニットにさまざまな外部音源をつなげる機器だ

 クルマで移動中の俺はいつもiPodで音楽を聴く。もちろん安全第一。iPod片手に操作しつつ運転なんてコトはしていない。でもiPodを操作できたりする。それは、harman/kardonのdrive+playを利用している(いた)からだ。

 だがコレ、現在の拙者にとって少々使いにくくなってきた。iPodを手元で操作できる利便はナイスだ。が、特定のアルバム/アーディスト/曲を選択するのがビミョーにタイヘン。また、曲名などに日本語が入っていると文字化けしたり最初の一部分しか表示されなかったりする。ついでに、LINE出力がやや低いのか、カーオーディオ側のボリュームを通常レベルよりも少々上げる必要があったりした。

harman/kardonのdrive+play。ハイダウェイユニットにiPodなどを接続すると、丸いノブで選曲などの操作ができ、ディスプレイには再生中の曲名などが表示される。カーオーディオとiPodをつなぎ、快適に操作できるようにするインターフェイスですなこんな位置にディスプレイを取り付けていた。手元のノブを操作すると、操作結果(選択された曲など)がこのディスプレイに表示される操作のためのノブはこんな位置に。操作感はiPodの丸いコントローラーに近いので、快適に操作できた

 ま、基本的には非常に便利なdrive+playなんだが、3年使ってきたら細々したアラが気になり始め、少々ストレスを感じていたというわけだ。そこで、コレの代替えになりそうな上記のKOS-A300を購入した。

 とか言ってますけど、KOS-A300購入時、わりと“賭け”な気分でもあった。購入前に実機に触れることができなかったので、イマイチ製品かも的可能性を拭えなかった。

 実際、このテのiPod系機能を持つカーオーディオ~インターフェイス製品は、拙者の知る限りでは当たり外れがある。例えば「確かにiPodがつながるけど……この操作性ならiPod直接操作した方が128倍快適なんですけど」とか「な~んか操作のたび、ヤケに待たされるんですけど」てなことも。

 KOS-A300を思い切って買ったのは、ケンウッドのカーオーディオ製品のうち、iPod接続機能を持つ製品はマトモなものが多かったから。以前に何機種かショールームで触れたが、レスポンスは良好だし操作性もまずまずだしで、印象が良かった。ので、「ケンウッド製だからきっとヘンなコトにはならないであろー」と決断した。

 結果、かなりイイっすコレ。このテの製品のなかでは、恐らく最も快適に使える部類という印象。また、機能/接続性も高い。てなわけで以降、KOS-A300の機能や使用感についてレポートしてみたい。



KOS-A300ってナニ?

 KOS-A300は“エクスターナルメディアコントローラー”という名を持つ。外部のメディアを操作する機器、ですな。つまり、カーオーディオに外付けするポータブルオーディオ機器などを操作できるというモノだ。

KOS-A300一式。左上がハイダウェイユニット、右がコントロールノブ、下がディスプレイハイダウェイユニットにiPodをつないだ状態。使いやすい位置にコントロールノブを取り付けてiPodを操作できる曲名を始めとする情報や検索時の表示はディスプレイ部が行う。クルマのなかでiPodを始めとする音源(プレーヤー)を快適に操作できるようにするためのインターフェイスなのだ

 KOS-A300(のハイダウェイユニット)には、わりとイロイロな音源がつながる。

 ハイダウェイユニットにはAUX IN端子とUSBポートがあるので、まずライン出力があるポータブルオーディオなどを接続可能(インピーダンスの違いを意識して機器の破損を防げるならヘッドホン出力端子のあるポータブルオーディオも、一応、つなげたりする)。

 USBポートには、曲(ファイル)が入ったUSBフラッシュメモリや、マルチカードリーダーを接続できる。USBフラッシュメモリに曲を入れてつなげば、カーオーディオで鳴らせる曲のバリエーションを容易に増やせるってわけだ。ちなみに、再生可能なファイルはMP3、Windows Media Audio(WMA)、AAC(.m4aファイル)、WAVとなっている。

 USBポートにはiPodも接続できるが、この場合は専用ケーブルKCA-iP101が必要。つなげるiPodは、iPod with video、第1~第4世代のiPod nano、iPod classic、第1~第2世代のiPod Touch、iPhone 3Gとなっている。てか、iPodをつなげるってのがKOS-A300のキモですな。

 ハイダウェイユニットとカーオーディオの接続にも自由度がある。ハイダウェイユニットにはLINE OUT端子とANTENNA IN/OUT端子があるので、カーオーディオのLINE IN端子とつなげば既存のカーオーディオで各種音源の曲を楽しめる。また、アンテナ線を接続すれば、KOS-A300をFMトランスミッタとして使い、カーFMラジオから音楽を鳴らせる。

KOS-A300のハイダウェイユニット。コレに音源(ポータブルオーディオプレーヤーなど)、ディスプレイ、コントロールノブを接続する。インターフェイス製品だけあって入出力系統は豊富だハイダウェイユニットのサイズは156×95×31mm。シートの下なんかに余裕で入りますな。車種によっては助手席足元やグローブボックス内に入れられるかも付属の取り付け具。ディスプレイやコントロールノブの設置の自由度も高めだ

 実際にKOS-A300を使うには、基本的には取り付け工事が要る。また、クルマ側にはAUX IN端子を持つオーディオもしくはFMラジオが要る。取り付けについては、KOS-A300(のハイダウェイユニット)がシンプルなので、クルマからどう電源を取れば良いのか/カーオーディオへの接続はどうしたら良いのかあたりを知っている人なら自力でイケるだろう。

 で、KOS-A300を取り付けると、扱いやすい位置に取り付けたコントロールノブでiPodやUSBメモリ内の曲を選曲/送り戻し/検索しつつ、見やすい位置に取り付けたディスプレイで曲情報を確認し、音楽を楽しめるようになる。

 てなわけで、KOS-A300は、クルマに各種外部音源をつなげるためのハブであり、それら外部音源を同一の操作感で扱えるインターフェイスなのであった。



iPod専用インターフェイスとして活躍中

 拙者の場合、クルマでの音源はiPod classic。なので、KOS-A300とiPodを接続して使っている。取り付け位置はこんな感じ。

このような位置関係で取り付けてみたコントロールノブはこんな位置シフトレバーに手を置いた状態でコントロールノブを操作できるのだ

 てな感じで、運転席にて運転姿勢のまま、コントロールノブを操作し、曲情報を確認できる。iPodを単体でカーオーディオに接続した場合、こーゆーコトができづらい/できないですな。結局、クルマのなかでiPodを最も操作しやすい状態にしてくれるKOS-A300なのである。

 で、その使用感だが、かなりイイ。ディスプレイは日本語で5行表示可能(曲再生時は実質4行)で、明るい昼間でも夜間でも視認性は良好。後述のバックライト色変更可能な点も含めると、ずいぶん凝った作りだと感じる。

 ただ、使用中、若干スクロール速度が遅いことと、英文字を半角表示できないことが、気になると言えば気になる。スクロール速度に関しては、長い曲名/アーティスト名などをパッと見では確認できなかったりすることが。同時に英文字を半角表示できないので、やはり長い曲名などを確認するときにスクロールが終わるのを待つ必要があり、若干タルい。

 コントロールノブは非常に使いやすい。ボタンとしては上下左右、押下、左右への回転ができ、上部に3つのキーがある。曲の再生、送り戻し、それからサーチあたりまで、わりと快適に行える操作感だ。

 ただ、非常に多機能なKOS-A300であり、操作に対してわりと敏感に反応するコントロールノブなので、うっかりと誤操作しちゃうことも少なくない。例えば、不意に触れてしまったらしく、ナゼかいつの間にか検索モード(表示)になっていた、てなコトも。

ディスプレイの表示例。iPodを接続している状態ですな。表示はカスタマイズ可能で、曲名やアーティスト名をどの行に表示するかを選択できたり、iPod接続時には進捗バーを表示させることも可能だUSBフラッシュメモリ接続時の表示曲などの検索方法もいくつかある。これはリレーテッドサーチで、現在再生中のものと同じアーティストやジャンルの曲を検索できる
リレーテッドサーチの結果。同じアーティストの曲がリストアップされる。曲の選択はコントロールノブの回転で行うアーティスト、アルバム、曲名などを一覧から検索していけるほか、それらの頭文字をアルファベットで入力して検索することもできるKOS-A300のコントロールノブ。上部に3つのボタンがあり、丸い部分は上下左右・押下・左右への回転を行える

 てな感じで、まあ、使い慣れたiPodよりはプチ回りくどい操作感とも言える。が、iPodの操作性をかな~り踏襲しており、また、iPodの検索機能もしっかり活かせるあたり、非常にマジメに作られた製品だと感じる。

 なお、drive+playにあった前述の問題だが、KOS-A300ではそういった問題はほぼ見られない。ボリューム問題もなく高音質だと感じられるし、曲情報は日本語でも英語でもおおよそ問題なく表示される。ただ、日本語の特殊記号(“Ⅱ”とか)が入った曲名などが表示されないことがある。



“光りモノ”としてもチョイ凝ってる

 KOS-A300を使い始めて約1カ月少々経つが、全体的に満足している。敢えて不満を言うならば、ちょ~っと高機能過ぎかも!? ということ。

 要はですね、アレコレいろいろデキて便利は便利なんですいけど、ときどき“全く使ってなかった機能”を(自分の操作ミスで)呼び出しちゃったりして、戸惑ったり。ええっ!? コレってナンのモード? 初めて見たかも~、みたいな。まぁでも、コントロールノブの左ボタン(FNCキー)を数度押せばモトの画面に戻れるからいいんですけどネ。

 気に入っている箇所はいくつもあって、例えば(当然と言えば当然だが)iPodに対して充電が行われることや、ダッシュボード付近に(本体付属の)USBケーブルを出しておけばiPod→USBフラッシュメモリといった音源変更が手軽なことあたり。それから、ハイダウェイユニットがシンプルながらも汎用的なので、この先も使い続けられそうな点──ケンウッド製のカーオーディオと接続しないと動作しません的な特殊さがナイのもイイですな。

 拙者的にちょいとツボだったのが、ディスプレイやコントロールノブのイルミネーションのカスタマイズ性。下の写真のようにイルミネーションの色を変更できるのだ。

ディスプレイの(バックライトの)色は、10色のプリセット色から選べる。また、R/G/Bを細かく(約1000色)調整したユーザー設定色も使える(白がユーザー設定表示)コントロールノブの周囲およびボタン文字の色も、10色のプリセットカラーとユーザー設定色から選べる

 使用開始当初、単にカラフルに遊べるバックライトとか思ってたんですけど、意外に実用的かも!? と。ヘンな色とかハデな色にして遊ぶってのもアリだと思うんですけど、クルマのメーターパネルなどの色に合わせると、統一感が出て気分が良いのだ。

拙者のクルマ、メーター周りの色が赤~橙って感じなんですよ。なので、KOS-A300のコントロールノブもソレに近い色に変更。まとまった印象になったディスプレイの色も統一さいわい、カーナビの文字など表示色もカスタマイズ可能だったので統一した。全体的にまとまった!!
個人的な印象だが、暗い状況で見ると、KOS-A300のコントロールノブがクルマの純正部品のように見えたりしてただし、赤~橙の地に黒の文字だと、昼間は視認性がイマイチ。なので、昼間はディスプレイ部を白色(ユーザー設定色)にしたりしているこんな感じ。視認性バッチシ。ディスプレイやコントロールノブの色は容易に変更できる

 こういう部分まで凝っている、というか凝るあたり、日本メーカーを感じさせますな。

 てな感じで、基本的な機能についてオーケー度が高く、クルマのなかでiPodを安全&快適に操作でき、細々したトコロまでキッチリ作ってあるKOS-A300。あとはやっぱ、値段でしょうかね~。

 2009年7月現在、実勢価格にやや開きがあって、3~4万円のレンジで売られているようだ。iPod本体を買えちゃう価格、とか書くと、ヤケに高価なコントローラーって気もしてくる。

 のだが、クルマを多用し、クルマのなかでiPod使いまくりの人なら、たぶん恐らく、大きな利便が得られ、それを安全さ快適さと合わせて喜べるんじゃないかと思う。既存のカーオーディオとiPodをスマートに接続し、さらにiPodの操作性をなるべくそのまま活かしたい、てな人は一度実機に触れてみるのが吉だと思う。

2009/7/13 12:17