スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

M3 MacBook Air携帯時に役立つ、キワモノ感もある「ペン型マウス」の使い心地は!?

 マウスなどのポインティングデバイスにおいて、俺の場合は1つだけ「使ってみて快適だった試しがない」というカテゴリーがある。ペン型マウスだ。「試しがない」といっても過去に2〜3機種買って使っただけだが、いつも「コレはナイなぁ」と死蔵する結果に。

 とか言いつつも↓またこんなのを買ってしまった。サンワサプライのペン型マウス「400-MAWBT202R」だ。サンワダイレクトで6980円だった。

サンワサプライのペン型マウス「400-MAWBT202R」はペンのように握って使えるワイヤレスマウス。※画像はメーカー直販サイトより抜粋。
400-MAWBT202シリーズのカラーはブラック/ブルー/レッドの3色展開。※画像はメーカー直販サイトより抜粋。

 結果、コレはそこそこ良かったのでレビューしてゆきたいッ!!! のだが、俺はなぜペン型マウスにミョーにこだわっているのか? それを少々。

 マウスやトラックパッドって、誰もがけっこう使っていて慣れているから「問題なく使える」「使いやすい」と感じていると思う。でも、じつは不自然なポインティングデバイスだと思う。だって手でガバッと掴んで繊細なマウスポインター操作をするのだ。よくまあこんなポインティングデバイスに慣れたよなー、と思う。

 一方でペン型の入力デバイスはより自然だと思う。そもそもマウスなどよりも鉛筆や筆なんかに先に慣れる人が多い。そのぶん、ペンなどは非常に繊細に「その先端をポイント」できる。マウスで小さな文字を描くのは難しいが、ペンなら楽勝であり、それは我々がペンの扱いにスゲく慣れているからだ。だからマウスよりもペンタブレットのほうが繊細な線を描けるしポインターも緻密に操作できる、と思う。

 じゃあペン型マウスならマウスよりずーっと繊細なマウスポインター操作ができるハズ! とも思うのだが、俺的経験では、これまで使ったペン型マウスはどれも「あれ〜こんなハズでは……」的な使いにくさであった。

 でもこの「400-MAWBT202R」は、そこそこ良かった。率直なところ、使い慣れたマウスやペンタブレットよりは、かなり使いにくさがあるが、一方で「これなら慣れればかなりイケるかも」と思ったりもした。ということでレビューしてゆきたいッ!!!

BluetoothやUSBドングルで無線接続できるペン型マウス

 まず「400-MAWBT202」シリーズの概要から。無線接続のペン型マウスで、接続方式はBluetooth(Ver.5.0 Class2)もしくは付属USBドングル(2.4GHz RF電波方式)。

ペンと付属USBドングル。USBドングルはUSB-Aタイプだが、USB-A・USB-C変換アダプターが付属する。
USB-Aドングルはペンの片端に格納できる。変換アダプターは格納できない。

 このペン型マウスの最大の特徴は、俺的観点では「細さ」。ペンとしては四角く、大きさは1.72×1.24×15cm。重さは約19.3gだ。

多機能ボールペン(3芯)と比べた感じ。5芯とかの多機能ボールペンに近いサイズだと思う。
握った感じは「ちょっと太いけどペンに近い握り心地」といったところ。

 以前に使ったペン型マウスはどれもけっこう太かった。太いうえにボタンを「ペンを握った指で無理矢理押させるような仕様」でもあった。ペン的な握り心地はないし、ボタン操作も慣れにくい。使っていると「こんなデバイスに無理に慣れてもメリットがなさそう」みたいな印象と、使わなくなったペン型マウスだけが残ったのであった。

 一方この「400-MAWBT202」シリーズは、いきなり握りやすいっていうか、ペン的に握ったときの違和感が少ない。またボタン操作における違和感も少ない。加えてマウスポインター操作で最も使う左クリックボタンがペン先にあり、「ペン先を机面などに軽く押せば左クリック」になるのがナイス。使い始めていきなり「コレかなりイイのでは!?」と感じた。

ペン型マウスの右側面。右利きの場合、先端手前の黒い部分(滑り止めラバー)に人差し指を置くことになる。ペン型マウス上部には、右クリックボタン、押下可能なホイール、カウント(ポインター速度)切り替えボタンがある。カウントは800/1200/1600count/inchで切り替え可能。
ペン型マウスの左側面。ダブルクリックボタンがあるので、左利きだと握りかた(人差し指の置き場)に制限が出てしまう。……実質、右利き専用かもしれない。下部には電源スイッチと充電用USB-Cポートがある。
ペン先にはブルーLEDやセンサーが内蔵されており、ペン先が左クリックボタンを兼ねている。

 動作時間は、連続動作時間が約14時間、連続待機時間が約40時間、使用可能日数は約35日としている。それぞれ満充電の状態からの時間で、1日8時間パソコンを使用中に操作を5%程度行った場合。

 なお、Bluetoothのマルチペアリングには対応していない。また、Bluetooth・USBドングルの切り替えは独特で「先につながった接続先とのペアリングを(電源オンの間は)維持する」という感じ。BluetoothとUSBドングルを使い、2つのデバイス間でこのペン型マウスを切り替えつつ使う場合は、切り替えに一工夫が必要になる。

 具体的には、Bluetoothペアリング済みのデバイスと、USBドングルを挿したデバイスがあり、それらの近くでこのペン型マウスの電源をオンにすると、通常はUSBドングルに接続する。なので、Bluetoothデバイスにつなぎたい場合は、USBドングルを抜いてからペン型マウスの電源を入れるなどの手順が必要になる。

毎日、次第に慣れていけるペン型マウス

 俺の場合、このペン型マウスを使い始めた日から、すぐ慣れられた感じではなかった。毎日少しずつ慣れつつある感じ。マウスを別の機種に買い換えてすぐ仕事に使う、みたいな「スピーディーな慣れ」ではない。

 たとえば使い始めにマウスポインターが反応しないことがあった。ペン型マウスの先端LEDセンサー部が、机上にわりとピッタリと密着していないと反応が悪いのだ。ペンをやや寝かせ気味に握る癖がある俺だが、そんな持ち方でこのペン型マウスを握るとマウスポインターの反応が悪いんですな。

 なので「ペン型マウスは立て気味で握る」と意識するようにした。するとそれを手指が覚えて、間もなく「マウスポインターの反応の悪さ」はなくなった。

 ちなみにこのマウスは白いデスクの上で使っていて、スムーズにポインターを動かせる。ほかイロイロな面でも試したが、ガラス面の上や薄い樹脂プレートの上あたりだと反応が悪い(もしくはポインターが動かない)。まあでもほかの一般的なマウスと同様という感じで、センサー感度は十分実用的だと感じる。

 それからペン型マウスの先端が左クリック操作になっている点。ペン型マウスを立て気味で握るようにし始めてから、ペン先を動かすときに不意に左クリックしてしまうことがあった。たとえばポインターを速く動かしたいとき、その動かし始めに左クリックが入りがちだった。

 そこでペンをより軽く握るようにしてみた。すると不意の左クリックも減少。現在では不意に左クリックこともほぼなくなった。

 それと、ペン先を机面に押し込んで左クリックするとき、俺の場合は左クリックと同時にペン先が少し前方に動いてしまう(マウスポインターが狙った点からズレる)という癖があるようで、狙った点を左クリックできないことがあった。そこで左クリック時にペンを僅かに手前に引きつつ机面に押し当てるようにした。この操作に慣れてきて、左クリック時にマウスポインターの位置がズレることもほぼなくなった。

 それからダブルクリックボタン。ペン型マウスの左側面のボタンを押すと左ダブルクリック操作になる。のだが、俺の場合はこのボタンが押しにくかった。右手親指で押すことになるが、俺の場合はペンを親指と中指でホールドする持ち方なので、親指の位置を動かして行うダブルクリック操作がしづらかった。

 しかし上記のようにペン先を机面に押し当てての左クリック操作が快適にできるようになったら、ペン先を机面に2度押し当ててのダブルクリック操作もそこそこイケるようになった。ただ、それでも失敗しがち。ダブルクリックの瞬間にカーソルが動いて失敗しているっぽい。

 その後、ダブルクリックする場合は、ペン先をいったん机面から離しつつ、親指でダブルクリックボタンを押すようにしたら。すると上記の問題も解決した。

 という感じで、まだマウスのほうがずっと快適に使えるものの、「このペン型マウスだけで仕事をしろ」と言われたら、イヤだが、そこそこデキると思う。でもまだまだ仕事用にバッチリ使えるペン型マウスと言えるほど慣れてはいないわけだが、ホイール操作や左クリックは最初から普通に快適に使えているし、Webブラウジングとか簡単なアプリ操作とかはフツーにできる。

 あと、ペン型マウスならペンタブレットのように描画系アプリとかで「描くこと」も快適かなーと試したが、それほどではなかった。できなくはないけど、向かない、みたいな? 左クリックを継続しつつ(ペン先を机面に押し込みつつ)描くことになったりして、違和感が結構ある。そういうコトをする場合は素直にペンタブレットを使ったほうがいいな、と。

狭い場所が得意、滑りにくい素材の上だとなお快適、携帯性は抜群

 このペン型マウス、狭いトコロで使うのに便利だ。マウスだと「ポインターが届かないからマウスをいったん持ち上げて操作し直す」的なことがあると思う。ペン型マウスだとペン先を上げ下げすればそれと同じことができる。

 実際、ペン型マウスを持った手のひらの、手首に近い位置(小指球)を、机面に当てたままで使っている。ペンでなにか書くときと同じ状態ですな。

 ペン先が動く範囲は名刺サイズからそれより少し広い程度。そんな面積でマウスポンターを扱えるので、出先でマウスを使いにくいという場合でも、フツーにマウスポインターを扱えて快適だ。また、よくよく考えてみると「こんな狭い範囲内でマウスポインターをけっこう精密に扱えてるって……指先の繊細さってすごいなあ」とあらためて思う。

 あとこのペン型マウス、若干抵抗のある素材の上で扱うと、各操作がよりスムーズに行えると思う。たとえばツルツルした机面よりもノートの上とか。そうするとペン先が不意にズレにくく、マウスポインター操作も左クリック操作もより安定する。俺の場合ではあるが。

 そして携帯性は抜群。普通のペンとほぼ同じなので、まあどうにでも持ち歩ける。M3 MacBook Air 13インチの天板に貼った「ノートPCに貼るオーガナイザー」にも、もちろんスッポリと入る。ただクリップがなく全体的にツルツルしているので、胸ポケットとかに入れると落としそう。後付けのペン用クリップとかを装着してみようかなと考えている。

M3 MacBook Air 13インチの天板に貼った「ノートPCに貼るオーガナイザー」にペン型マウスを入れた様子。

 じつはこのペン型マウス、M3 MacBook Air 13インチを持って出掛けるときが、たぶんいちばん役立っている。仕事場でもペン型マウスを使うことはあるものの、ペン型マウスの操作の一部にまだ苦行感が残るので、いつも使っているマウスを使う。

 でも前述のとおり狭いところが得意なペン型マウス。MacBookでモバイルするときに「普通のマウスを出すとかえって不便」みたいな狭さでも、このペン型マウスならフツーにポインター操作ができてけっこう快適なのだ。

 ちなみに、M3 MacBook Air 13インチのパームレスト上でもペン型マウスを使える。ミッドナイトのカラーしか試していないが。また、ペン型マウスでマウスポインター操作をしつつ、一瞬ペン型マウスを横向きに持ってキーボード入力するということも可能だ。

こんな風にペン型マウスの使用を一時中断しつつ横向きに持ち、キーボード入力することもできる。

 てな感じのペン型マウス「400-MAWBT202」シリーズ。けっこう実用的だと感じられつつ、狭い場所など状況によっては「すごくイイじゃ〜ん」と思える瞬間もある。まあでもキワモノ感もあるので、興味のある方はジックリと慎重にチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。