スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ポケットジンバルカメラ「Osmo Pocket 3」の使い心地は? 先代モデルと比べつつレビューしてゆくッ!!!

 そうだッ!!! コレだッ!!! DJIの「Osmo Pocket 3」を買う必要性があるッ!!! だから買うしかポチィ〜ッ!!!

DJI「Osmo Pocket 3(オズモ ポケット スリー)」は1インチ撮像素子(CMOS)を搭載したポケットジンバルカメラ。水平を保持しつつスムーズなパーンやティルトを用いた動画撮影が可能だ。静止画も撮れる。DJI直販価格は7万4800円。

 Osmo Pocket 3を買った理由は、猫Vlogカメラとして使うためだ。俺の趣味のひとつに“猫サイクリング”がある。自転車で走りつつ外猫を探し、見つけたら接近して触って猫ちゃんと遊ぶというアクティビティだ。自転車である理由は、広範囲を巡りつつクルマやバイクで入れない道まで探れるからであり、健康にもよいからである。

 この猫サイクリングでは、これまで“猫カメラ”で猫を撮影していた。近寄ると逃げちゃう猫もしっかり望遠で撮れるコンパクトデジタルカメラで、キヤノンの「PowerShot SX740 HS」を使っている。iPhone 15 Pro Maxもときどき使う。

 猫サイクリングの回数を重ねていたら、より多くの猫出現スポットを知り得た。同時に触れる猫との遭遇回数も増えた。触れる=間近に猫がいる→じゃあ猫動画も撮ろう!!!

 という流れで上記コンパクトデジタルカメラやiPhoneで猫の動画を撮影した。のだ、が、どちらのカメラで撮っても、なんかこー映像がちょっと不安定。揺れたり傾いたり。まあ猫を撫でながら撮っているというのもあるが、もーちょっと動画を安定させたいナ、と。

 そこで以前に買った「DJI Pocket 2」を使い、猫サイクリングで猫を撮ってみた。ちなみに俺の場合、DJIの歴代ポケットジンバルカメラを買っている。初代「Osmo Pocket」のレビューは↓こちら。

初代「Osmo Pocket」の次に登場したのが、この「DJI Pocket 2」。DJI直販価格は3万9600円。ちなみに、初代「Osmo Pocket」の発売日は2018年12月15日、2代目となる「DJI Pocket 2」は2020年10月21日発売、最新の「Osmo Pocket 3」は2023年10月25日に発売された。

 DJI Pocket 2で猫動画を撮ってみたところ、映像自体はバッチリOKであった。だが、さすがに購入してから4年近く経過していて、低下していたのであった、俺の視力が。

 DJI Pocket 2の1インチ画面サイズじゃ見えなーい! しかもこの小さい画面をタッチ操作でしょ〜無理ムリ無理! いやDJI Pocket 2はiPhoneなどスマートフォンと合体させ、スマートフォンでライブビュー表示させたり操作したりもできるが、その状態で猫撫で撮影とかけっこう煩雑な感じで手軽さクイックさに欠けてイラッとしたら猫ちゃん逃げちゃう!

 というわけで、画面が大きくなった最新機種Osmo Pocket 3を購入した。発売当初から「あー最新型は画面デカめでいいなー」と思っていたが、ここにきて猫Vlogカメラという用途ができたので、心置きなく買えた次第である。てなわけで今回はOsmo Pocket 3を、歴代DJIポケットジンバルカメラ購入者視点でレビューしてゆきたいッ!!!

前の機種と比べてどう変わったか?

 最新のDJIポケットジンバルカメラであるOsmo Pocket 3。名前のとおり3代目のポケットジンバルカメラとなる。その前の機種はDJI Pocket 2で、それが2代目ポケットジンバルカメラだ。

 最新型と1世代前で変更点はイロイロあるが、俺的感触からすると「2代目と3代目は別モノ」という印象。使用感も機能性も性能もけっこう違うが、最大の違いは「2代目はスマートフォンと合体させての使用が重視されていて、3代目は単体での使用が重視されている」という気がする。

 どちらの機種もスマートフォンと連携させて使えるし、単体でも使えるのだが、2代目はスマートフォンと連携させると「使いやすい〜」って感じで、3代目はスマートフォンと連携させての使用が「なんかメンドクサイい」という感じ。

2代目のDJI Pocket 2を単体で使っている様子。画面もボタン類も小さく、握りにくかったりもする。まあ慣れはするが。
3代目のOsmo Pocket 3を単体で使っている様子。画面が大きくボタンも適度に押しやすく、握りやすい。単体使用の場合、Osmo Pocket 3が非常に快適で、DJI Pocket 2に戻れなくなる。
DJI Pocket 2はスマートフォンと合体させて使える。接続はUSBかLightning。ライブビューや各種設定などをスマートフォン上で行えるようになる。スマートフォンとよりしっかり合体させるためのグッズも発売されている。
Osmo Pocket 3もスマートフォンと連携して使えるが、合体する機構はない。接続はWi-Fi。スマートフォン連携は便利で容易だが、単体で使ったほうが煩雑さがなくてラクという印象だ。Osmo Pocket 3を三脚などに固定して使う場合にスマートフォン連携はとても役立つ。

 使い勝手というか使うスタンスが異なる2機種なので、やっぱり別モノだなぁ、と。また後述のような違いもあり、それぞれが「ユーザーの好きずき」でもあるので、DJI Pocket 2とOsmo Pocket 3は現在も併売されているのだと思う。

 Osmo Pocket 3に備わった新しい機能としては、たとえば画面の大きさ。DJI Pocket 2は1.08インチでほぼ正方形のディスプレイだったが、Osmo Pocket 3は2インチのワイドで、縦向きでも横向きにもできる。

DJI Pocket 2とOsmo Pocket 3のディスプレイ。視認性が全然違う! ディスプレイをタッチ操作して設定なども行うので、操作性も全然違う!
ディスプレイは電源スイッチとしても使える。横画面で電源が入っているときに、画面を縦にすると2秒後に電源が切れるが、「続行」をタップすればそのまま縦画面撮影を行える。また「続行」表示はせず画面を縦にしたらすぐ電源オフという設定にもできる。録画ボタンの長押しで電源をオンオフすることもできる。……この動画、スゲくヘンな姿勢で撮ったので、手がプルプルしてしまい、失礼!

 画面をクリッと回転させての電源オンオフ、操作してみると非常に小気味よい。非常に実用的な画面回転機構だが、そこに実践的な電源のオンオフ機能、さらには操作時の気持ちよさまで盛り込んできているあたり、さすがだと思う。

 Osmo Pocket 3はDJI Pocket 2より一回り大きく重い感じだが、そのぶん手に持って扱いやすくなった。でも棒状で、使いやすい専用ケースもあるので、持ち歩きにくいという印象はない。本体のみ携帯して使うポケットジンバルカメラとして、俺的にはOsmo Pocket 3が「決定版」だと思う。

Osmo Pocket 3には(DJI Pocket 2にも付属してるような)専用のハードケースが付属している。ケース内側にはマグネット吸着式広角レンズなどを吸着保管しておけるスペースもある。
本体を専用ケースに入れた様子。フタなしでも本体を保護でき、本体の出し入れもラクな、スゲく便利なケースなのだ。

 細かいところでは、Osmo Pocket 3は電源をオフにすると、レンズ部を内側に向けた形態になり、レンズ部は軽くマグネットで吸引される。なので少しの振動を与えたくらいではその形態を崩さない(強い振動が加わると形態が崩れてカメラが外を向いたりする)。

 DJI Pocket 2は電源オフ時にレンズ部を内側に向けた形態にはなったが、その状態で少し振動などが加わると、レンズ部が動いてしまう。なのでDJI Pocket 2の場合は、少々専用ケースに入れにくかった。Osmo Pocket 3ではこういう細かな部分も改良されている。

 ちなみにメニュー類は画面が大きい分Osmo Pocket 3のほうが使いやすいが、両機ともわりと独自のメニューで、少々慣れは必要。ただ、慣れればどちらもシンプルに操作していけるようになる。

 Osmo Pocket 3は撮像素子として1インチCMOS(解像度未公開)を搭載している。DJI Pocket 2より大型の撮像素子となり、後述のとおり画質もかなり向上したと感じられるが、撮影可能な最大静止画サイズが小さくなってしまった。そのサイズはOsmo Pocket 3が3840×2160ピクセルで、DJI Pocket 2が9216×6912ピクセル。

 おそらくは動画撮影に特化した撮像素子を搭載したということなのだろう。動画撮影でジンバルが機能すると映像が非常に安定し見やすくなるが、静止画撮影にジンバルはそーんなに影響しない。またDJIポケットジンバルカメラシリーズはズーム性能も弱い。それに静止画ってみんなスマートフォンで撮るから、Osmo Pocket 3は動画重視のポケットジンバルカメラにしちゃおうぜ! みたいな?

動画カメラとして使いやすくなったOsmo Pocket 3

 俺の場合、Osmo Pocket 3を猫Vlogカメラとして導入し、猫(静止画)カメラは望遠性能に優れたコンパクトデジタルカメラを使っている。動画を撮るときはOsmo Pocket 3を使っているわけだが、使うたびに「Osmo Pocket 3は動画撮りやすいなあ」と実感している。

 その理由は少々前述したが、ディスプレイの利便。電源オンオフが片手で素早くできるし、ファインダーとして最小サイズって感じではあるが最低限の実用性があり、タッチによるメニュー操作もしやすい。

 もう一回り大きくてもいいように思うが、そうなると片手で持って親指で画面などを操作しにくくなるような気がする。いやでもそういう機種が出たら買うが。ともあれOsmo Pocket 3の画面サイズは操作性や視認性など総合すれば最適なサイズなのだと思う。

DJIポケットジンバルカメラシリーズは、どの機種も左手でも右手でも使えると思う。片手で持ってその親指で画面のメニュー類やジョイスティックやシャッターボタンを押すのも容易だ(画面右のスライダー操作は左手親指での操作をしづらいが)。ただ、どの機種も細め短めで掴みにくくて落としそう……。Osmo Pocket 3も細め短めだ。
付属の「Osmo Pocket 3 ハンドル(1/4インチ ねじ穴付き)」をセットすれば、より握りやすくなる。
「Osmo Pocket 3 バッテリーハンドル」をセットすれば、さらに握りやすくなる。

 細かな操作感も良好。ボタン数はジョイスティックとシャッターボタンの2つだけだが、長押しや画面操作を併用することで手軽に操作できるという印象だ。たとえばジョイスティックでカメラのパーンとティルトを行えて、画面右のスライダー操作でデジタルズームを使うことができる。スライダー操作をカメラのティルト操作にし、ジョイスティック上下操作をデジタルズームにすることも可能。

 オートフォーカスで合焦もスムーズだが、画面上でピントを合わせたいところをタップしてフォーカスさせることもできる。カメラの上下左右操作からズーム操作からフォーカスまで片手でさささっと操作できて快適だ。

 また、考えてみると、こういう棒状の部分をグリップできると、動画をとても撮りやすいとあらためて実感する。Vlogカメラやアクションカメラとかにも棒状グリップ着ける人多いじゃないスか。アレは自然な状態でカメラをホールドでき、手が疲れにくくラクだからだ。

 Osmo Pocket 3などDJIポケットジンバルカメラシリーズはみんな棒状。なので自然にホールドできて快適に動画撮影ができるのだと思う。

 サイズ感から細かな部分まで含めて、俺的には「動画を撮るならOsmo Pocket 3がいちばんラク」という感じ。Vlogカメラとかビデオカメラとかも持っているが、Osmo Pocket 3によりそれらカメラの出番がどんどん減っている感じ。

動画も静止画もフツーにキレイ! ジンバル効果で動画がステーブル!

 Osmo Pocket 3のスペックは公式ページにあるが、最大で4K/60fpsの動画が撮れる(16:9/3840×2160/24・25・30・48・50・60fps)。スローモーションやハイパーラプスやタイムラプスやモーションラプス動画も撮れる。静止画は3840×2160サイズで撮れて、9枚の写真を合成する180°パノラマ撮影もできる。

 以降、猫サイクリングに行ったときの動画と静止画を掲載してみたいが、ポケットサイズのジンバル付きカメラとして十分高画質だと感じられた。それぞれ、動画は4K/60fps、静止画は3840×2160サイズで撮っている。加工やトリミングなどはしていない。

クッキリとした色鮮やかな動画が撮れた。手持ちで撮っただけだが、上下左右の揺れが抑えられており、動画用フルードヘッド付き三脚にカメラを据えて撮ったように見えるかも。背景の音はオフロードバイクの走行音。
同じ位置から撮った静止画。
動画より暗部が暗い感じ?
これも手持ち撮影。全体的にダイナミックレンジが広いイメージの動画が撮れる。
静止画も、解像度は低めであるものの、細部の解像感は良好だと思う。
明暗階調もそこそこ良好。
胸に装着したチェストバッグにカメラを挿し、自転車走行中に撮影。ジンバルの効果は大きく、ドローンで撮ったような映像になった気がする。
走った場所を静止画で撮影。
細部までよく解像しており、ダイナミックレンジも広いように思う。
猫サイクリングで猫Vlog動画撮影成功! 地域猫の「くるみちゃん」。毛並みまでバッチリ写っている。
くるみちゃんを静止画で。
静止画カメラとしても十分な実力があると感じられる。
Osmo Pocket 3の焦点距離は35mm判換算で20mmの広角レンズ(f/2.0)。フォーカス範囲は0.2m〜無限遠だが、花に近づき過ぎたら一瞬フォーカスを失った。手持ちで歩きながら撮っても、ジンバルのおかげで全体的に安定した映像になる。
その花を静止画で。f/2.0と絞りが浅いので、立体感のある映像になる。
たぶん最短距離での撮影。発色も良好だ。

 なんかOsmo Pocket 3、お散歩カメラとしてもイイかもしれない。コンパクトデジタルカメラよりもバッグなどへの収まりがいいし、クイックに使えてすぐしまえるし、ジンバルによる動画の安定感は特筆モノ。ジンバルは映像の水平垂直を保ってくれるので、不自然に傾いた写真などが撮れてしまうのを自動的に防止してくれるので、そのあたりも「手軽にキレイな映像を残せる日常使いのカメラ」としてイイかも。

 最新版のOsmo Pocket 3と一世代前のDJI Pocket 2は併売されている。どちらを買うべきなのか?

 いや好きなほーを買うのがいいと思うが、コストパフォーマンスの高さやアクセサリーの豊富さが魅力的なのはDJI Pocket 2。画面が小さくてもいいよという場合もDJI Pocket 2がいいかもしれない。

 画面が大きくて視認性も操作性もなるべく良好なほうがいいなら、Osmo Pocket 3。動画画質で選んだ場合もOsmo Pocket 3だと思う。あと老眼なら絶対Osmo Pocket 3がいい。両機では画面の見やすさが全然違うからだ。

 いやーしかし、Osmo Pocket 3を買ってから、Vlogカメラや汎用ジンバルの出番が激減してしまった。猫カメラとしては望遠のコンパクトデジタルカメラが必要で、仕事に使うにはミラーレスカメラが必須。でもほか多くのシーンでは、Osmo Pocket 3だけで撮ろうかな〜とか思ったりしている。

 でもまあ、アクセサリーが多いDJI Pocket 2とか、強烈なブレ補正機能があるGoProとかは、今後も使うだろうとは思っている。思っているのだが、「もしかしてOsmo Action 4とかも良かったりするのか?」とも思い始めている俺であった。

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スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。