スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

猫カメラに最適なのはどっちだ!? キヤノンのコンデジ2台を衝動買い!

 キヤノンのコンパクトデジタルカメラを2台買ってしまった。買ったのは「PowerShot SX740 HS」「IXY 650」。近所のヤマダデンキで、前者を5万3000円、後者を3万5000円で買った。10%のポイント還元があり、それを差し引きすれば、前者が4万7700円、後者が3万1500円となる。

左がキヤノン「PowerShot SX740 HS」、右がキヤノン「IXY 650」。ポイント加減を差し引いての合計価格は7万9200円。

 ちなみに、PowerShot SX740 HSの発売日は2018年8月30日で、IXY 650の発売日は2016年5月26日。どちらも5年以上前の機種である。

 なーんで今、こんな古いコンデジを買ったのか? しかも2台も。

 理由はサイクリングであり猫である。

 つーかですね、コロナが5類になって外出気分が高まったじゃないスか。サイクリングなんかもしたいじゃないスか。川沿いサイクリングロード走るじゃないスか。

 いーっつも猫がいるんスよ。毎回絶対見る。

こーんな道をサイクリング。川沿いの遊歩道でサイクリングしてもOKの道だ。
あーっ、猫! 箱座りしている。だが猫的に顔見知りでない人の場合は、一定以上近づくと距離を置かれてしまう。
あっまた猫! これ以上近づくと逃げちゃう。

 そこで俺の最強に強まったコンピュテーショナルフォトグラフィーデバイスことiPhone 14 Pro Maxで猫写真撮ろうとするじゃないスか。でも近寄ると猫が一定の距離を保って遠ざかるじゃないスか。結局、猫をアップで撮れないじゃないスか。

 だってiPhone 14 Pro Maxの光学ズームは3倍までで、距離を保つ猫はアップじゃ撮れないじゃないスか。デジタルズームだと猫の毛がノッペリしたりするからダメじゃないスか。

サイクリングにはiPhone 14 Pro Maxを携行。キレイな風景とかを撮るにはいいが、望遠性能が強くないので、ちょっと遠くにいる猫はアップで撮れない。

 じゃあ倍率の高いレンズを備えたカメラで撮るしか! ってなるじゃないスか。

 でも俺の高倍率レンズってミラーレス機用のデカくて重いヤツだからサイクリングに持ち出すのはアレじゃないスか。超望遠コンデジのニコン「COOLPIX P950」も、コンデジなのに約1005g(電池、メモリーカード含む)の重さで、けっこーデカいからアレじゃないスか。

左はEOS R5とRF24-105mm F4 L IS USMの組み合わせ。右がCOOLPIX P950。重さは、「どちらもサイクリングで使うにはかなり重い(EOSのほうがずっと重い)」って感じ。
どちらも嵩張る。バックパックのショルダーハーネスに装着すればサイクリングにも……なんてコトは思いつかない程度に嵩張る。

 じゃあ小さくて望遠性能の高いコンデジ欲しいじゃないスか。探すじゃないスか。あるじゃないスか。買うじゃないスか。ソレ持ってサイクリング行って猫撮るゼ!!! というのが今回の話である。猫やコンデジやサイクリングに興味のある方はゼヒ!!!

猫カメラ、どれにしようかな?

 サイクリングに携行して猫を撮るためのカメラ、どれにしようかな? と考えて調べたが、けっこー種類があるもよう。

 ただ、俺が優先するのは「ある程度遠くの猫を狙える光学ズームレンズ搭載」ってコトと「バックパックに着けたコンパクトデジカメ用ケースなどに入る小ささ」くらい。防水性能もあったらいいかなーとは思ったが、まあコンデジケースに入れて携行するから、防水防塵はあまり気にしない感じ。

 小さくて光学ズームがやや強いコンデジ。こういうザックリしたテーマでネット検索すると、望遠コンデジオススメ10選みたいな記事がヒットしまくるが、正直、スペックを並べて機種ごとの強みだけ書いていたりするので、まるで参考にならない。俺はサイクリング用の猫カメラを買いてえんだよーん!!!

 ということで量販店に行くことにした。近所に出店したばかりのヤマダデンキに、散髪のついでに寄ってみた。

 行ってみると望遠系コンデジコーナーがあった。種類はそーんなに多くはないが、現在セール中でお値段は比較的に安価。実機を触れて望遠の感じを試せるのが非常に参考になる。実店舗の稼働実機ってやっぱイイ。紙のカタログもあり比較もしやすい。店員さんに「あのぉー機種名メモりたいんで写真撮っていいスか?」と訊くと「いいですよ〜」とやさしい。

 結果、俺が買うべき猫カメラは、キヤノンの「PowerShot SX740 HS」「IXY 650」だなーという、ほぼほぼの結論が出た。だが一応帰宅してじっくり考えることに。あとネットでの相場も調べることに。

 「PowerShot SX740 HS」も「IXY 650」も、どちらもコンパクトで携帯しやすく、猫カメラとしての光学ズーム性能は十分高い。ただ、小ささ軽さまで含めた携帯性はIXY 650が勝る。でも、フリップするディスプレイを搭載したPowerShot SX740 HSは、猫目線やそれより低い位置からのローアングル撮影に好適……ではあるが過度なズーム倍率が大きさ重さに影響していて携帯性でやや劣る。

 じゃあIXY 650かな? と、ネットで調べると、案外お安い。

 じゃあポチッと……あれぇ〜? えっ、在庫なしで3カ月待ち? マジ? すぐ使いたいのにー!

 あっでもヤマダデンキには在庫ナシとか書いてなかったし。ヤマダデンキでもかなり安いしセール中だし。ヤマダデンキにまたすぐ行くしか!

PowerShot SX740 HSとIXY 650の両方を、俺は思わず買うーッ!!!

 ヤマダデンキに行って展示台につながれたIXY 650を指さして店員さんに「コレって在庫ありますぅ?」と訊いてみると、「はいありますーブラックでよろしいですかー?」とか言ってスグ在庫持ってきてくれるのかニャーと思っていたら、端末を取り出して「いまお調べしますねー」と言いつつ渋い表情になって「在庫ないですねー入荷に3カ月くらいかかるかな」と。

 え? 量販店でも。ってかアレか「半導体不足とかなんですか?」「そうなんですよねーカメラのほうがパソコンよりも深刻なようですねー」と。

 じゃあ高いほーのPowerShot SX740 HSでいいやーと思って訊くと「PowerShot SX740 HS……ですね、あーこれも……ブラックになっちゃいますけど1台……あります」とのこと。速攻で「じゃあ買います買わせてください」「ではいますぐ持ってきます〜」と話が進んだ。

 間もなく店員さんがPowerShot SX740 HSの箱を手に戻ってきつつ「あのーIXY 650も1台ありましたけど、どちらにされます? なんか今日入ってきたみたいで」。

 店員さんの右の手と左の手にPowerShot SX740 HSとIXY 650。じつは先ほど、コンデジ全般が在庫薄だという話を聞いていたのだ。各所でイベントが開かれるようになって望遠系のカメラはけっこう人気らしい、インバウンド需要もあるらしい、みたいな話。

 俺の腹づもりでは、安いほうのIXY 650をとりあえず使ってみて、猫カメラとしてイイ感じなら使い続ける、と。やっぱりローアングルでもっと望遠で、となったらPowerShot SX740 HSに買い替える方向で、と考えていた。

 だが在庫がなければそういうコトも叶わない。これから秋で猫カメラのハイシーズンなのに!

 と思ったところで俺は気絶した。直後に第二の俺が発生して気絶した俺の口を自在にコントロールして「じゃあ両方くださーい!」と言いつつ気絶した俺の財布から現金を取りだして会計を済ませた。どうやら第二の俺はカードの暗証番号とか知らなかったんだニャーと思うあたりで俺は意識を取り戻し、気付いたら自宅仕事場の机上にカッコよく見える角度でPowerShot SX740 HSとIXY 650が置かれていた。

 コンデジも売れ筋っていうか需要がある機種は在庫切れすることが多いそうだ。なーんか電動アシストスポーツ自転車ことe-bikeみたい。欲しいと思ったときに躊躇して買わず、しばらく経って「やっぱ買おう」ってなっても、「在庫切れで入荷未定なんですぅ〜すいません〜」と、買うことが不可能になってしまうから俺と同じ目的で猫カメラ買いたいニャーって人は急いで! もうナイかもしんないけど!

どのくらいズームできるの?

 で、肝心のズーム。どのくらいズームできるのか、と。なお、ズーム以外にも各機には特徴・魅力があるが、それらは公式サイトでご確認願いたい。PowerShot SX740 HSはコチラ、IXY 650はコチラ

 まずPowerShot SX740 HSだが、光学40倍ズームレンズを搭載し、35mmフィルム換算で24〜960mmとなる。プログレッシブファインズームを使うと約80倍の1920mm相当の望遠撮影が可能だ。デジタルズームまで含めると最大160倍・3840mm相当の撮影もできる。

PowerShot SX740 HSはコンパクトデジタルカメラのなかでは少し大きめ・重めだが、それでもまあ手のひらサイズだ。
撮影時はこのようにレンズがせり出す。望遠撮影時はさらに伸びる。
キヤノン公式サイトよりPowerShot SX740 HSの望遠イメージ。プログレッシブファインズームの約80倍・1920mm相当なら、画面いっぱいに満月を写せる。

 作例(レタッチやトリミングは加えていない/以下同様)。広角端24mm、光学望遠端960mm、プログレッシブファインズーム・約80倍・1920mm、デジタルズーム約160倍・3840mmの順。ものすごーいズーム!

 光学ズーム以降は画像がやや荒れるものの、それ以上に「超望遠オモロ!」という興味深さが勝ってしまう。

被写体を変えて同様にズーム撮影。光学望遠端960mmで十二分に楽しめるしツカエる。

 ちなみに、光学望遠端960mmなら手持ちでの撮影も可能。手ブレ補正がよく効くのだ。ただ、そのくらいのズーム領域になると手持ちだと「被写体を捉え続けるのがけっこう難しい」ので、これらの作例は一脚を使って撮った。

使用した一脚のSLIK「スタンドポッド」。前出のヤマダデンキで衝動買いした。縮めると72cmで重さは720g。ミニ三脚で自立もする。雲台、一脚、ミニ三脚は分離でき、雲台とミニ三脚を合体させてテーブル三脚としても使える。直販価格8600円。スゲく便利っす! 三脚を広げられない場所で役立ち、三脚を広げるのメンドクサイって人にも役立つ。
いっぱいに伸ばすと177.5cmになる。その高さにビデオカメラをとかをセットできるので「最前列に立てなかったけど運動会でがんばる我が子を絶対撮りたい」みたいな要望も叶えてくれそうだ。

 続いてIXY 650。光学12倍ズームレンズを搭載し、35mmフィルム換算で25〜300mmとなる。プログレッシブファインズームを使うと約24倍の600mm相当の望遠撮影が可能だ。デジタルズームまで含めると最大48倍・1200mm相当の撮影もできる。

IXY 650は「これぞコンパクトデジタルカメラ」という感じの小ささ薄さ軽さ。IXYってやっぱりカッコイイすね〜。
撮影時はこのようにレンズがせり出す。望遠撮影時はさらに伸びるが、そーんなに長くは伸びない。
キヤノン公式サイトよりIXY 650の望遠イメージ。このサイズのコンデジで光学300mmで撮れるってスゴい。

 作例(これもレタッチやトリミングは加えていない/以下同様)。広角端25mm、光学望遠端300mm、プログレッシブファインズーム・約24倍・600mm、デジタルズーム約48倍・1200mmの順。これもスゴいズームですな。光学ズーム以降は画像がけっこう荒れる感じは否めない。

ポケットサイズのコンデジでこういう望遠撮影を楽しめるのはイイっすね〜。

 どちらも多彩な望遠撮影を楽しめる。そして猫カメラとしての望遠倍率は十二分。この2台を身につけ、サイクリングに行き、猫を撮ろうとする俺であった。

猫は撮れたのか?

 2台の猫カメラを携行して自転車に乗ってサイクリングする俺の危惧は「猫カメラはあるけど猫がいない」というものであった。だが、数日のサイクリングで俺は猫出現パターンを完全に把握した。そして猫写真を多々撮ることができ非常に満足なのである。

 猫カメラとしての使用感だが、まずIXY 650はコンパクトで携帯性抜群なので、サイクリングに携行するカメラとしてとても魅力的。だが、特定条件で猫を撮ろうとすると「ちょっと使いにくい」という感じ。望遠倍率や画質などは猫カメラとして好適だが、カメラを下方に構えてのローアングル撮影がしづらい。液晶画面が固定式なのと、小さく薄いのでホールドしにくいからだ。

 なお、以下の作例はリサイズのみ施している。また猫保護の観点から周囲風景にボカシを加えている。

IXY 650で遊歩道にいた猫を撮影。近づくと距離を置こうと移動してしまう猫なので、猫から7〜8mくらいまでしか近づけない。
IXY 650で望遠撮影すると、猫にズームインできる。あら写真傾いちゃった〜。

 上の写真が傾いているのは、ローアングル撮影で画面が見にくく、ホールドもしにくく、300mm相当の少し手前の望遠撮影で被写体を捉えにくく……と複数の「猫をローアングル・ズームアップして撮るときのIXY 650の使いにくさ」から、写真の垂直水平まで気が回らなかったからだ……と言い訳してゆきたいッ!!! まあ普通に猫を撮るには文句ないんスけどね。

 続いてPowerShot SX740 HS。サイクリングで携行するには少々大きめ重めではあるが、猫カメラとしてヒッジョーに使いやすい。ホールドしやすいこと、手ブレをかなりよく抑えてくれること、画面がフリップすることが、ラクして猫を自由に撮れることにつながっている。

 ホールドしやすさは、カメラの「少し大きめ」ということがもたらすメリットだ。またフリップする画面もホールドするための取っ掛かりになる。画面がフリップするのでローアングル撮影も非常にラク。猫カメラとして使うならPowerShot SX740 HSのほうが格段に快適だと感じる俺であった。

遊歩道のはずれで猫集会に遭遇。これ以上近づくと距離を置く猫たちだ。PowerShot SX740 HSのズームで撮るゼ!!!
敢えて土の上に座る白黒猫。涼しいのかもしれない。
コチラには三毛猫。けっこうズームして撮っている。
さらに遠くの猫たち。同じ方向を見つめているのは、ほかの猫がケンカ中だから。
ケンカに負けそうになって木に登るニャわいそうな猫ちゃん。
ところ変わって遊歩道。最近友だちになった猫で、ニャーニャー言いながら寄ってくる。
お腹も触らせてくれる!
じゃあねーまたねー。地域猫なので入れ替わり立ち替わり誰かに可愛がられているのであった。

 上の寄ってくる猫だったらスマートフォンで撮影すればいいって感じなのだが、このエリアでは寄ってくる猫が30%くらいで、残りは近づくと逃げたり距離を置いたりする猫。やはり猫カメラが必要だゼ!!! と。

 てな感じのPowerShot SX740 HSとIXY 650。俺的にオススメなのは、猫カメラとしてより使いやすいPowerShot SX740 HS。PowerShot SX740 HSは高性能・高機能なので、猫カメラ以外にも安心して汎用できると思う。ただ、IXY 650の小ささ軽さスタイリッシュさも非常に魅力的。両機に興味があれば、ぜひ実機に触れつつ吟味していただきたいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。