スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

たまたま買ったワコムのペンタブがナニこれ! 超快適!!!

ワコム「Wacom Intuos Medium ワイヤレス ブラック(CTL-6100WL/K0)」

 2023年7月11日の夜、気づいた。今日と明日がAmazonのプライムデーであることを。

 そうか! プライムデーか! じゃあ、なに買おう! と思ったが、買いたいモノは……扇風機とか? 暑いから……くらいしか思いつかないのでWebブラウザを閉じた。

 のだが、急に思い立った。そうだ、最近の俺的なAI生成画像修正お絵かき遊び、ペンタブレットがあれば快適になるのでは?

 そうだ快適になるハズ! じゃあ久々にペンタブレットを買おう!

 というコトで、どちらかというとAmazonプライムデーのお得感を体感したくて本末転倒な「買うもの選び」をした感じ。

 なーるべく安くて、でも無難な買い物になるようなペンタブレットを……と選んだ結果、ワコム「Wacom Intuos Medium ワイヤレス ブラック(CTL-6100WL/K0)」を買った。Wacom IntuosシリーズのSサイズとMサイズのうち、Mサイズの無線(Bluetooth)接続対応モデルですな。

ワコム「Wacom Intuos Medium ワイヤレス ブラック(CTL-6100WL/K0)」はこんなサイズ感。PCとはUSBもしくはBluetoothで接続できる。

 ワコムストア価格は2万1780円だが、【Amazon.co.jp限定】品は2万369円。それがプライムデーセールで1万6132円だった。ので、なかなか強い値引きってコトで迷わず買った。

 そして速攻でペンタブレットが届いた。配達員様、猛暑なのにご苦労様。さっそく使おうとして、一応このタブレット(以下、Intuos Medium ワイヤレス)についてネットで調べたら、あら失敗! ということがわかった。

 なんかこのタブレット、激安通販ショップとかだと1万5000円台で買えちゃいますな。毎日がAmazonプライムデーより安価! みたいな。あ〜あ、やっちまった。

 気を取り直して別に激安ってわけではなかった1万6132円のIntuos Medium ワイヤレスを使用開始。まあ高く買ったってわけでもないので、ニュートラルな気分で淡々と使用開始である。

  ……すると、あれ? ワコムのタブレットってこんな簡単に使い始められたっけ?

 とか思った。ワコムのタブレットはペンタブレット(板タブ)も液晶タブレット(液タブ)も何機種か使ってきたが、セットアップ時にいつもなにかしら“ハマった”という記憶がある。

 それがIntuos Medium ワイヤレスに関してはサクッとセットアップ完了。ワイヤレスってあたりで「ナニかハマりそう」と少々危惧していたが、全然問題なしであった……俺環境の場合ではあるが。

ワコム製品を使うための総合設定アプリ「Wacom Center」。これも使いやすくなったような気が……。久々だから……気のせい?

 さらに使い始めてみると、予想を遙かに超える実用性があった。1万6132円で買ったペンタブレットとして、ものすごいコストパフォーマンスの高さを感じた。

 ナニこれ! 超快適じゃん! AI生成画像修正処理フォトショッパーの俺は、いま、猛烈に気分がイイ!!! AI生成の非日本語的文字列や指多過ぎの手やスタイリッシュ過ぎの表情や余計な小物描画とかをスイスイと加工修正できる!!! 大成功的なハードウェア選びが(偶然にも)できたゼ!!!

 えーっ、ワコムのこのタイプのタブレット、こんなに手軽で快適だったっけ? 2020年代あたりはこれが当然なの? いやーイイわIntuos Medium ワイヤレス。予備買っちゃおうかニャ。というほど気に入ったので、今回はIntuos Medium ワイヤレスをレビューしてゆきたいっ!

充電式でBluetooth接続、完全ワイヤレスで使えるのがイイ

 Intuos Medium ワイヤレスは使い始めて即日くらいに超気に入った。その最大の理由は、このペンタブレットは完全ワイヤレス状態で使えることだ。

Intuos Medium ワイヤレスはPCとケーブル接続する必要がない。ので、自由な位置で手軽に手描き入力を行える。

 これまで使ってきたPC向け汎用のペンタブレット/液晶タブレットは、タブレットになにかしらケーブルがつながっていた。ペンタブレットを常時使うわけではない俺の場合、いつもはペンタブレットを片付けておく。「いまちょっと使いたい」と思ったときだけ、ペンタブレットを出してきて机上に置いて使うというスタイル。

Intuos Medium ワイヤレスのサイズは、264×200×8.8mmで、質量は410g。軽量・薄型の板タブなので、スマートフォンスタンドで縦置きにしても邪魔な感じはしない。

 なので、結局は「いちいちケーブルでPCとつなぐのが面倒」とかいう些細な理由から、ペンタブレットの使用頻度が落ちていった。液晶タブレットになるとHDMIケーブルと電源ケーブルとUSBケーブルが必要だったりして(現在はUSB-Cケーブル1本でOKだったりするが)、「このテの手描きタブレットって常用する人向きだよなー」とか思っていた。

Intuosのワイヤレスモデルは当然だが充電式。電池残量なしから満充電までの充電時間は約3.5時間で、満充電から最長15時間使える。
バッテリー残量はPC上に表示しておくこともできる。

 そんなこともあり、ペンでの手描きはiPad Pro(12.9インチ)を使いがちだった。いつものiPad Proを手にしてペンを使うだけで済むから手っ取り早い。ペンの使い心地もいい。

 だが、PC上で画像処理をすることが多い俺の場合、その画像をペンで処理したい場合に「画像をクラウドなどで共有してiPad Proで手描き処理して保存してまたPC上で読み込んで処理する」というフローが遠回りに感じられる。

 iPad ProとMacを接続してSidecar機能を使って、macOS上のアプリへiPad Proから手描きするというテもある。

 しかし実際にやってみると「macOSアプリやiPad Proに自分の作業スタイルを摺り合わせていく必要が多々ある」と感じられたりして、俺の場合は「これなら画像をMac/iPad Proで共有してそれぞれのデバイスを使ったほうがスムーズ」と感じてしまうのであった。

 って完全ワイヤレスで使えるのがイイぜ、というIntuos Medium ワイヤレスの利便の話から逸れているが、結局はIntuos Medium ワイヤレスの場合は「ケーブルをつなぐとかいう些細な面倒もナシに、PC上のアプリにいきなり手描きできる」というのがイイ。思い立ったらすぐ手描きに移行できるというクイックさと手軽さがサイコーにイイ。

俺の場合はPhotoshopを主にマウスで使っているが、「ここちょっとペンで修正したい」という場合、キーボードをちょいと前方にズラし、横に立てかけておいたIntuos Medium ワイヤレスを置き、電源ボタンを押せば3秒くらい(再ペアリング時間)で手描きできるようになる。

 なお、Intuos Medium ワイヤレスの読み取り可能範囲(ペンで描けるタブレット上のエリア)は216×135mm。A4用紙を半分に折ったサイズとほぼ同じで、本格的にペン描画したい人にはちょっと狭いかもしれない。

 だが、キーボードの手前に置いたり、あるいはちょっと手に持ってペンを走らせるにはスゲく便利なコンパクトさ。「このサイズで十分イケる」という人も多いと思うので、ぜひ実機で描いてみてほしい。

マウスで描けないor描きにくいものがスラスラ描ける

 久しぶりにペンタブレットを使って強く感じるのは、当然ではあるが、マウスでは描くのが困難だったり描くのがスゲく面倒なものを、スイスイ&スラスラと描けるという快適さだ。「こんなの鉛筆で描けばラクなのに、マウスだと四苦八苦だゼ」的な描画は、やはりペンタブレットだとスムーズ。

 とか言いつつも、じつはマウスでの描画もけっこう得意な俺である。なので、写真やAI生成画像の処理の多くをPhotoshopのマウス操作で行っている。

 考えてみればPhotoshop歴はもう30年以上。いまだにPhotoshopの機能を使いこなしているとは(まるで全然)言えないが、マウスさばきだけはナカナカのものだと自負している。

 ただ、マウスだとやはり苦手な描画があって、たとえばハッチングのような連続した平行線を描くような場合。気合で乗り切ることも可能だと思うが、気を抜くとすぐに線の平行が失われてしまう。

 1本の線を多数コピペしたほうが速いかもしれない。でもペンで描ければ、テンポよくけっこうキレイな多数の平行線を描ける。マウスと比べると、こういうところがペンと手のスゲいところだよなーとか思う。

 それと、マウスだとどうしてもできないことがある。それは強弱を伴った描画だ。たとえば1本の線で、描き始めが最初は太く濃くて、描き終わりが薄くて細い線になるような、太さも濃さも変わる線。こういうのはマウスでは描けない。しかし、筆圧対応のデジタルペンならけっこうラクに描ける。

 たとえば、猫のヒゲや人の髪の毛。キレイな曲線を描いたメリハリのあるスッとした線を描くには、マウス vs ペンタブレットだと、どうしてもペンタブレットが圧勝しまくりだ。

 あるいは雨のしずくの描画。しずくの描き方にはいろいろあると思うが、俺の場合は範囲選択してエッジに明部と暗部を加え、部分的にハイライトを入れて描く。

 マウスでの範囲選択だと滑らかなしずくのラインを描きにくく、明部や暗部の描画にもムラができがち。だがペンを使うと範囲選択から明部暗部の描画さらにはハイライトの追加まで、とてもラクに描ける。

 ほかにも最近のアプリ(のブラシツール類)ではペン描画の強さやペンの傾きで描画が変化するとか、色が変化するとか、滲みのシミュレートが変わるとか、イロイロな描画機能がある。またそういう描画こそ手描きコンピュータグラフィックの妙味だったりもする。

 だがマウスだけだとそういう効果をほぼ活かせない。しかし、筆圧・傾きなどを検知するペンタブレットの類があれば、アプリのそういう機能性をしっかり活用することができる。

 てなわけで、やっぱりペンタブレットとかがあると、いいよな〜、と、改めて実感した次第。これで俺のPhotoshop遊びがより楽しくなったゼ!!!

 あ、仕事にはペンタブレット、そーんなに活用していない。仕事で撮るのは記事掲載用ハードウェアだったり作例用風景だったりしつつ、掲載用ハードウェアをレタッチで大きく変質させたり、作例風景などを美化しちゃうのは一種の「御法度」だからだ。作例はトリミングのみで、ハードウェアは明るさや色味やコントラストを調整してトリミングする程度なので、ペンタブレットじゃなくてマウスで済んじゃうってわけですな。

わずかに遅延あり? 小さめ板タブを大画面でどう使う?

 Intuos Medium ワイヤレスはPCなど端末とUSBもしくはBluetoothで接続できる。Bluetoothでの無線接続こそこのペンタブレットをスゲく便利にしているのダと思う件は前述した。

 一方、このペンタブレット、Bluetooth接続で使うと遅延が大きいという意見もある。購入時にその点はちょっと気になっていた俺だが、「まあ、ひどい遅延だったらUSB接続で使えばいいかな」と考えていた。

 では、実際Bluetooth接続で使用したときの遅延はどうなのか? 結論から言えばポインターや描画の様子をよーく見ていると「肉眼で遅延を確認できることがある」というレベルで、ペンの動きから画面上の反応がわずかに遅れているようだ。使用しているPCはM1 Ultraチップ搭載Mac Studio。

 ただ、俺の場合は「必要に応じてときどきIntuos Medium ワイヤレスを使う程度」の使用頻度。常時手の動きと画面上の描画を意識しているわけでもないし、Intuos Medium ワイヤレスを使ったときの「やっぱペンで描くと効率いいわ〜!」という喜びのほうが大きいので、正直なところ「全然気にならない遅延」だと感じている。

 ちなみに肉眼で遅延を確認できるのは、ペンをかなり速く動かしたとき。テンポよく、速く、往復運動のようにペンを動かすと、画面上のポインターがわずかにそのテンポとズレている瞬間があり、「あっこれ遅延か」とわかる程度。

 俺の使い方ではそんなに速くペンを動かすことはまずなく、わりとゆっくりしたスピードで丁寧にペンを動かす使い方なので、このわずかな遅延は全然気にならないのだと思う。

 それよりも、使い始めにディスプレイサイズとIntuos Medium ワイヤレスのサイズの差に戸惑った。使っているディスプレイはDell(デル)のデジタルハイエンドシリーズ・40インチワイド曲面USB-C HUB モニタ-「U4021QW」で、解像度は5120×2160ドット。

 ペンタブレット製品の使用経験だけはけっこう豊富な俺の場合、Intuos Medium ワイヤレス購入時に「もーしかするとペンタブレットとディスプレイのサイズ差から、致命的な使いにくさが出てIntuos Medium ワイヤレスは即日死蔵になるかも?」と危惧していた。

 だが結果、設定をちょっとイジることで「Intuos Medium ワイヤレスはスゲく快適なPhotoshop用ペンタブレット」になった。つーことは、初期設定だと使いにくかったわけですな。

 初期設定だと、Intuos Medium ワイヤレスの読み取り可能範囲(ペンで描けるタブレット上の面積)は216×135mm。A4用紙を半分に折ったサイズとほぼ同じだ。

 一方、ディスプレイの「U4021QW」の画面サイズは、A4用紙を横に4枚並べて、さらに上下それぞれに5cm程度のスペースがある、というサイズ。かなりデカい。そして横長。

 ペンタブレットとディスプレイはサイズ感もアスペクト比も全然違う。そのまま使うと、ペンを少し動かしただけでポインターが大きく動くし、Photoshop上で細かな作業をする場合にペンを微細に動かさないといけないという使いにくさにつながる。

 ノートPC用に小型ペンタブレットを買うと「ちょうどいいかな」となることが多いが、大型ディスプレイ用にヘタな小型ペンタブレットを買うと「うっわ使いにく! 液タブにしとけばよかった」とかなりがちかもしれない。

 それは画面とペンタブレットのサイズ差やアスペクト比の違い、さらには解像度の違いからくる違和感だと思う。とくにアプリのアイコンUIの使い勝手に大きな違和感が生まれてしまうように思う。

 で、使用中のディスプレイとIntuos Medium ワイヤレスだと、最初からかなりの使いにくさが生じていた。だが、確かワコムのドライバーにはそういった問題を吸収する機能がある。

 「マッピング」と呼ばれる機能で、「画面のどの範囲をペンで操作可能にするか」と「ペンタブレットのどの範囲をペンで操作可能にするか」を決める機能だ。初期値は「画面の全体をペンで操作可能」「ペンタブレットの全体をペンで操作可能」となっているが、これを任意の範囲に設定できる。

macOSにワコムのペンタブレット用ドライバーをインストールすると、システム設定に「ワコム タブレット」の項目が現れる。そのなかに「マッピング」という機能があり、これを設定することで、画面サイズ・アスペクト比に対するペンタブレットの使い勝手を調整していける。
ディスプレイ上のペンタブレット操作範囲を指定している様子。
このような画面表示になり、タブレットで操作できるディスプレイ範囲を指定していける。

 俺の場合、Intuos Medium ワイヤレスはおもにPhotoshopで使う。なので、画面上のPhotoshop表示エリアを、Intuos Medium ワイヤレスでの操作エリアとした。

 Photoshop表示エリアはなるべくIntuos Medium ワイヤレスのアスペクト比と近づけるようにし、Intuos Medium ワイヤレスの操作範囲はペンタブレット上全域とした。

 結果、初期設定よりずっと操作しやすくなった。初期設定でもまあまあ操作できたが、マッピングを調整することでより直感的にペン操作ができ、ペンでより精密な描画ができるようになった。

 まあでも、Photoshopなどのアプリ側で表示の拡大縮小回転を多用すれば、小型ペンタブレット&大型ディスプレイでも、それなりにスムーズな描画ができるとは思う。

 あと、Intuos Medium ワイヤレス上部には4つのボタンがある。いろいろな機能を割り振れるファンクションキーだ。俺の場合は、Photoshopのブラシの色抽出(スポイト)機能、画面スクロール、画面の拡大・縮小を多用するので、それらを割り振っている。

Intuos Medium ワイヤレス上部には4つのファンクションキーがあり、ここにさまざまな機能を割り振れる。
ファンクションキー設定もシステム設定の「ワコム タブレット」から行う。

 これらファンクションキー、位置的に使いにくいかな? と思ったが、機能を割り振ってみたら使用感は上々。4つしかキーがないという点でも、すぐ覚えられて使いやすい。

 こういう「アプリメニューやキーボードショートカットを使わなくてよくなるボタン類」に慣れてくると、左手デバイスを活用したくなる人も多いかと思う。左手デバイスの方が扱える機能が圧倒的に多いし。

 ちなみに俺の場合、「TourBox Elite」という左手デバイスを使っているが、その左手デバイスと上記ファンクションキーはけっこー併用している。

 Photoshopでちょっとペン入力するときはペンタブレット上のファンクションキーとキーボードショートカットを併用。Photoshopでじっくりペン入力する場合は、ペンタブレットと左手デバイスを併用、みたいな感じ。

 てな感じのIntuos Medium ワイヤレスことワコム「Wacom Intuos Medium ワイヤレス ブラック(CTL-6100WL/K0)」。わりと安価に導入できるわりには、性能はかなり秀逸と言えるレベルだし、ワイヤレスという点でハンドリングも容易でスムーズに使える。

 描画以外にも使える(ふつーにマウスがわりにもなる)ので、初めて導入するペンタブレットとしてハードルが低くてパフォーマンスが高くてヒジョーにイイんじゃないだろうか。ご興味あらば、ぜひチェックを!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。