スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
人工知能が写真を一変させる「Luminar AI」
2021年9月13日 05:00
AIが写真を美化・好印象化・便利化
今回のネタはAIが処理を請け負いまくりの画像処理アプリ、SKYLUM「Luminar AI(ルミナーエーアイ)」。以前に「Luminar 4(ルミナー4)」をレビューしたが、その後継アプリだ。Luminar 4はAIが空を置換しちゃったりするアプリですな。
リンク先の記事のとおり、俺の場合はLuminar 4を使ってそのAI処理機能にビックリ。ユーザーの手間が大幅に省かれ、処理結果も十分満足できるものだった。てゅーか「コレってAIによる自動処理なんだョ!」とか言わなきゃバレないレベルで、写真を半自動的に美化・好印象化してくれるのであった。
こういう「空だけを別の写真のものと差し替える」といった編集は手作業でもできる。が、実際はタ〜イヘン。手間暇かかりまくり。しかしLuminar 4だと「空の写真を選ぶ程度」でデキちゃう。効率が超イイし仕上がりも十分キレイだしで、仕事に使えるレベル。なので、Luminar 4を多用し始めた。
そして2020年の12月15日にLuminar 4の後継アプリとなるLuminar AIが発売された。処理性能が高まりつつ使いやすくなっているっぽかったので、Luminar AIを購入&使用し始めた。
ちなみに、Luminar 4とLuminar AIの違いだが、人工知能エンジンが刷新され、処理速度が高まり、新しいツールや機能が加わっている。アプリの特徴としては両者よく似ているが、後継アプリLuminar AIのほうが容易に使えて機能も豊富という印象だ。
Luminar 4もLuminar AIも、「写真を手軽に処理して思うイメージに近づけたい」というユーザーに向く、直感的に使えるアプリ。アプリを扱うスキルにおいては初心者レベルでも使える使い勝手でありつつ、仕上がりはプロクオリティ、みたいな。そんなアプリとして使い始めたLuminar AIだが、結果、非常に気に入っておりその処理機能もスゴいと感じる。てなわけで以降、Luminar AIの特徴的な機能についてレビューしてゆきたいッ!!!
SKYLUMのお家芸こと“スカイAI”で空を置換
Luminar AIは非常に多彩な静止画処理ができるアプリだが、やはり特徴的なのが空を置換するスカイAI機能だ。写真を撮りに出かけたら「チガーウ、この感じの空じゃナーイ」ってときでも、ロケに出たら「あちゃ〜薄曇りになった〜青空が欲しかったのに!」ってときでも、スカイAIにより好みの空に置き換えることができる。しかも超簡単に。まずはその手順をスクリーンショットと説明文で見ていこう。
以上が基本的な使い方だ。空の手前にある山とか木々の隙間とかそういった要素を自動認識して空をはめ込んでくれるあたり、相変わらず「さすが!!!」である。
さらに細かく画像を調整していくこともできる。空を少しボカすとか、全体の明るさや色温度を微調整するとか。
でもまあ「だいたいLuminar AIがやっちゃってくれる」という感じ。ホント手軽なのだ。ユーザーが苦心するのは微調整とかそーゆーコトよりも、「どういうイメージが自分のなかでの理想なのか」をハッキリさせることかもしれない。
以下、ご参考までに、スカイAIツールで空を置換のビフォーアフターを。左がオリジナル写真で右が空置換後写真。たまに一部失敗があるが、だーいたいうまくいくのであった。
といった感じで、たまに失敗する箇所もあるわけですな。「シーンのリライト」スライダーの調整具合でこういった失敗が抑えられたりはするが、「どうしても完璧には空の置換ができない写真」もあるというわけだ。
でも、Luminar AIで大まかな空の合成を済ませて、違和感がある部分のみ手作業でレタッチすればいいとは言える。というか、広告写真のプロの人でも実際にLuminarをそういうふうに使うことがあるとか。まあ仕事に使えちゃうレベルですよね、コレ。
新機能「ポートレートボケAI」がツカエる!!!
2021年7月27日にLuminar AIの最新版であるアップデート4が公開された。そのタイミングで加わったのが新機能「ポートレートボケAI」。AIが被写体と背景を区別して、背景にボケ味を加えるという機能だ。どんな感じで使えるのか、スクリーンショットと説明文で見てみよう。
ほぼバッチリですな〜。この写真での「ポートレートボケAI」適応結果について突っ込むとしたら、顔の左側のマスクと帽子あご紐の間が背景として認識されなかったこと、写真左側の背景ほど奥に位置していないクルマまでボケてしまったこと、あたり。
ただ、そのあたりは手動で対応可能。ポートレートボケAI上の「ブラシコントロール」の「フォーカス」や「ボケ」「復元」のスライダーで手動調整できる。「フォーカス」でボカさないエリアの指定、「ボケ」でボカすエリアの指定、「復元」でAIが認識したエリアに戻せる。
細かいことはさておき、AIが人物を認識&範囲選択して、背景を思われる部分をボカしてくれる、というところまで全自動。大したモンなのである。
しかしここまでキレイかつ自然に背景をボカせると、「ボケ味を楽しみたい」という以上にさまざまな用途にツカエる。たとえば「写って欲しくないものが背景にある」という場合、そういった様子を自然な雰囲気で見えなくすることができる。まあ上の写真も「背景が汚い」のを隠しているとも言えるが。ともあれ具体的に何ができるか、「ポートレートボケAI」ビフォーアフターで見ていこう。
メディアに掲載する写真で背景をきれいに隠すのって、けっこうタイヘン。モザイクにすると違和感が大きいし、トリミングでも限度があるし……といった場合、この「ポートレートボケAI」機能がひとつの優れた解法になる。Luminar AIは、写真を美化したり好印象化するのに加え、写真の用途を広げて便利化してくれるというわけだ。
AI任せで顔も背景も処理、お腹へっこまし機能もあるョ!
Luminar AIには顔や肌のアラを自然に処理するAI機能もある。「フェイスAI」「スキンAI」といった機能だ。どんな感じで使えるのか、スクリーンショットで見てみよう。
こんな感じで、違和感のない処理ができる。オッサンの写真だとピンとこないとは思うが、これを写真に写った人物によっては「若返った」「肌が綺麗になった」「イキイキした」といった効果が非常によくわかるケースが少なくない。
ところで、こういった機能と前出の背景ボカしや雲の置換などを合わせて使ったらどうか? これがなかなか愉快。けっこうキマるのである。具体例をスクリーンショットと説明文で見ていこう。
大したモンですな、Luminar AI。考え方によっては「Luminar AIにより写真が描き変えられた」「写真になかったものが加わった」という「ニセモノ感」があるかもしれない。でもまた別の考え方によっては「フィルムや撮像素子で実際の風景を記録した時点で全部ニセモノ」とも言えよう。どうせニセモノ、どっちが好き? みたいな。
もうひとつ、ちょっと興味深い“Luminar AIによる写真の描き変え”がある。それは「ボディAI」機能で、体型を自然な雰囲気で変えてしまうというもの。これも具体例をスクリーンショットと説明文で見ていこう。
といった感じのLuminar AI。ちょっとした色補正から手軽なレタッチまでいろいろデキるアプリだが、やっぱりAI任せの処理の多くを「凄〜い!!!」と驚けて印象的。常用の現像・レタッチアプリとしているユーザーも増えているようで、実際使っていくと「この写真はLuminar AIで処理すればもっと良くなる」と感じることが少なくない。平易な使い勝手でもあるので、初めて使う画像処理アプリとしてもいいかもしれない。
ともあれ、興味があればぜひ一度チェックしてみてほしい。使用期間は限定だが、無料でフル機能を試せるトライアル版もある。